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  • 君の名前で僕を呼んで(2017) directed by Luca Guadagnino by MARI HAGIHARA April 13, 2018 1
  • クィア・アイ(2018) created by David Collins by MARI HAGIHARA April 13, 2018 2
  • アナイアレイションー全滅領域ー(2018) directed by Alex Garland by MARI HAGIHARA April 13, 2018 3
  • アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017) directed by Craig Gillespie by MARI HAGIHARA April 13, 2018 4
  • レディ・プレイヤー1(2018) Directed by Steven Spielberg by MARI HAGIHARA April 13, 2018 5
  • おおらかな煌めきと荒々しい官能性の二面を持つイタリアの自然と、それに相似する若者の恋。それは共同監督を務めるはずだったジェームズ・アイボリーの『眺めのいい部屋』(86)にも似ていて、ルカ・グァダニーノ監督からのオマージュでもあるのでしょう。そしてあの映画と同じく、ひと夏の間に果実が熟れるように、その人の姿を見た時から始まり、視線や仕草、言葉が一つひとつ重なって、やがて交わされるキス。自然だけでなくイタリアの美術も文学も音楽も、すべてがエリオ(ティモシー・シャラメ)とオリヴァー(アーミー・ハマー)の恋の伴奏となり、うっとりするような時間が流れつづけるのです。これを「普遍的」と呼んでもいいけれど、むしろ1983年に生きる二人の男性が惹かれ合い、セックスに至ることの意味が描かれるからこそ、その具体性に共感するラヴ・ストーリー。痛々しい最後のショットまで見事なぶん、『ビフォア・サンライズ』(95)風に彼らのその後を追う、というグァダニーノの今後の構想には慎重になってほしいところ。とはいえ、サイケデリック・ファーズとリチャード・バトラーが何度も引用される映画を、愛さずにはいられません。

  • 「もうビンジ・ウォッチはしない!」と時流に反した決意をしたのに、彼らの前には無力でした。ファッション/美容/インテリア/料理/カルチャーを担当する5人のゲイ・ガイ=ファブ・ファイブがパッとしない男性を変身させるリアリティ・ショー。2003年から5シーズン続いた前シリーズも面白かったけれど、Netflixでリブートされた新シリーズが最強なのです。というのも前回のテーマが「寛容」だったとすれば、今回は「受容」。5人はそのゲイネスで人々に挑戦し、触れ合い、心を開くことで意識を変えていきます。例えば黒人のカラモは米国南部のマッチョな警官と話し合い、インテリア担当のボビーは信心深い男性に「宗教に傷ついた過去」を告白。そのたび、涙。新シリーズは明らかにアメリカの保守的な地域に入り込み、価値観の違う人々との対話を目指しているのです。結果、誰かが新しいものを受け入れ、殻の外に出て、自信を持つ姿を見ると、こっちまでスッキリ風通しがよくなる。すぐにでも髪を切って新しい服を買いたくなります。それこそがファブ・ファイブの教え。愛と笑いとポジティビティに溢れた全8回。

  • 本作はNetflixが買い付けたというより、完成直前にパラマウントがアメリカと中国以外の放映権をNetflixに売った――という曰く付き。理由は「難解すぎる」。アレックス・ガーランド監督は全世界で劇場公開されなかったことにやや不満なようですが、内容を日和るよりよかったのでは。しかもこの実存的でトリッピーなSF映画は配信向けというか、繰り返し確かめたいディテールに満ちているのです。夫(オスカー・アイザック)の失踪をきっかけに、南部湾岸に「シマー」と呼ばれる謎の光に包まれた区域が広がるのを知った細胞生物学者(ナタリー・ポートマン)。彼女は4人の女性専門家とともにシマーに入り、そこで動植物が変容しつつある世界を目にします。シマーとは何なのか、夫はそこで何を見たのか、人類はどうなるのか。生命の変異のサイケデリックでグロテスクな美を映像化しつつ、見たものに対して解釈の余地が存分にあるところもサイエンス・フィクションの本領発揮。『エクス・マキナ』(2014)のアレックス・ガーランドらしく、男女の機微も「実存」の一部になっています。私は終盤に出てくるフラクタル体にしびれました。

  • アメリカのフィギュアスケーター、トーニャ・ハーディングの「あくまで本人たちが語った」トゥルー・ストーリー。彼女を一躍有名にした93年のナンシー・ケリガン襲撃事件を中心に、インタヴューに答えたのはトーニャと、事件の主犯格とされる元夫。二人はすべてにおいて食い違い、真相も藪の中です。でもそこから浮かんでくる彼女の半生には、ホワイト・トラッシュの貧しさも、母や夫からの暴力も奪えない、トーニャならではの輝きがある。ド派手な衣装、ZZトップの音楽でスケートを滑る彼女にお高くとまったフィギュア界は高得点を与えないけれど、トリプルアクセル・ジャンプの迫力は否定できないのです。まるでアクションのようにフィギュア場面を撮影し、嘘のような悲劇と喜劇のバランスをとってみせたのはクレイグ・ギレスピー監督。でもやはり、何よりマーゴット・ロビーの存在でしょう。今一番勢いのある女優の一人がプロデューサーも兼ねた映画は、まさに力技としか言えない魅力に溢れています。女性アスリートをこんなふうに多面的に描くエンタメ作品は初めてかも。新鮮です。

  • 『ヴァレリアン』、『ジュマンジ』、『トゥームレイダー』と、見れば楽しめる娯楽作が続くこの春。そんなエンタメ大作も本当はガンガン紹介したいのです。でもこれは外せないのが、スティーヴン・スピルバーグによる『レディ・プレイヤー1』。80年代をネタにしたポップコーン・ムーヴィを、80年代にこのジャンルの旗手となった監督が手がけるという、なんだか「ミイラ取り」のような企画でもあります。でもこれだけポップ・カルチャーの引用だらけだと、スピルバーグの名前なしには著作権の段階でボツだったかも。時は2045年。荒廃した世界で人々はバーチャル・リアリティに浸り、若者たちは謎解きに熱中しています。そこに大企業が乗り込んで、激しいバトルが始まり――と、話は大半がおもちゃ箱のようなバーチャル映像。それでも見ていて疲れないのは、やはり洗練されてるんでしょう。ただ80年代を知る身からすると、著作権を考慮したとしても、引用がアンバランスに思えたりもする。それとも、文脈なしに並列されたからか。いずれにせよ共有体験でありながら、個人体験でもあるポップ・カルチャーというものを痛感しました。ある名作ホラーが登場するシークエンスは圧巻の一言。

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