「うわっ、プロディジーだな~」というアホみたいな感想しか出てこない、とんでもなくプロディジーな新曲。6年ぶりのニュー・アルバム『ザ・デイ・イズ・マイ・エネミー』からのリード・トラックだが、リアム・ハウレットが予告していた通り、「純粋な暴力的エナジー」が詰まった凶暴なハードコア・チューンだ。前作では当時隆盛を誇っていたエレクトロへの目配せが感じられたが、今回はEDMもハウス・リヴァイヴァルもどこ吹く風。とにかく狂気と怒りだけで純粋培養されたようなサウンドに揺れ戻している。アルバムにはスリーフォード・モッズが参加しているというのも、めちゃくちゃアガる話。これは挨拶代わりの一発ということで、アルバムはリミッターの針がへし折れるくらいヤバいやつをお願いします。
昨年末にジョーズとスーパーフードがアルバムを出して、いよいよ役者が揃った感のあるバーミンガム・シーン。だが、この新曲を聴くと、「やっぱりピースは飛び抜けてるわ」と改めて痛感させられる。リアムタイム世代としては赤面するくらいに「ど」ブリットポップな曲だけど、印象に残るベース&ギター・リフを作る能力、カタルシスたっぷりなコーラスまでの持っていき方の上手さは、他のバンドとは段違い。昨夏に発表したファンキーな“ロスト・オン・ミー”も素晴らしかったけど、この新曲と言い、1stアルバムからは完全に一皮剥けた感がある。音楽性のフォーカスが定まって、自信に満ち溢れているというか。2月リリースの2nd『ハッピー・ピープル』(すごいタイトル!)には超期待。
「今年期待の新人」が各所で発表される時期だが、そこで頻繁に名前が挙がるマンハッタンの四人組。彼らはチェックリストに入れておいて損はないはず。この曲はバングルスがストロークスをカヴァーした感じというか、00年代インディを通過した感性でアメリカのニューウェイヴ・ポップを再解釈したみたいで、なかなかに新鮮だ。ヴォーカルのジョン・イーサーリーは元ビー・ユア・オン・ペットのドラム――と書くと甘く見られるかもしれないが、いやいや、そんな余計な先入観を軽く吹っ飛ばす完成度の高さです。BYOP解散後、様々なアーティストのサポートや裏方を務めてきたジョンだが、意を決してフロントに立った新バンドの未来は、きっと明るい。
昨年はカサビアンが〈グラストンベリー〉でヘッドライナーを務め、ロイヤル・ブラッドの1stアルバムが全英1位に飛び込みセンセーションとなった。なるほど、確かにUKインディの状況は相変わらずお寒い。だが、いわゆる「インディ・ロック」ではなくて「ロック」は、昨年明らかに調子づいていた。そして、どうやらその勢いが2015年も続いていきそうな予感は、英ケントの二人組、スレイヴスを聴いていると大きくなる。スタンディング・ドラムとギターという変則編成で、ゴリッゴリのリフを武器にひたすら暑苦しく押しまくるこの曲を聴けば、彼らがロイヤル・ブラッドの切り開いた道をドカドカと邁進していくことがわかるはず。今年も「UKロック」は安泰なり。
ベータ・バンドのメンバーの弟が在籍しているバンド、というのも納得のエキセントリックな折衷ポップで好事家たちを唸らせたジャンゴ・ジャンゴ。2年ぶりの新曲が到着です。ビーチ・ボーイズのようでもありチャントのようでもあるヴォーカル・ハーモニーは相変わらずだが、トラックに関してはあっと驚く変貌ぶり。ざっくりと言えばエレクトロ・ポップだけど、BPM110のねっとりとしたビートといい、空間を生かした音作りといい、重心の低いベースラインが絡みついてくる感じといい、かなりハウス・ミュージックを意識しているんじゃないでしょうか。1stでは時おり顔を出す50年代ロックンロールへの愛着が最高だったんだけど、それはどうなっているの?!――ということが気になる2ndは、年内発売とのこと。