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  • Flary PRO8L3M by MASAAKI KOBAYASHI March 09, 2018 1
  • Second Hand Lovers
    Oren Lavie by MASAAKI KOBAYASHI March 09, 2018 2
  • Fangs Out Agar Agar by MASAAKI KOBAYASHI March 09, 2018 3
  • The Other King Tuff by MASAAKI KOBAYASHI March 09, 2018 4
  • Rapin* Jenny Wilson by MASAAKI KOBAYASHI March 09, 2018 5
  • ポーランドの注目すべきヒップホップ・ユニット、プロブレムによる、このMVは、パッと見、同じ場面を数秒だけ撮った映像が続けて三回映し出され、さらにそこに続く場面も同様に映し出され、それを積み重ねながら、先へと進んでいるようにも思える。が、三つの映像の細部はそれぞれ異なっている。これは、実際には、日課のように決まりきった行動をとる、とある男の姿や彼の主観ショットを、何ヵ所か決めた同じ場所から、同じ構図で、別々(の日時)に合計三回撮ったものから各々約三秒ずつ抜き出した三つの映像をつなげ、続く場面でもその行程を繰り返してできあがったもので、作りそのものは単純だ。にもかかわらず、最後に映し出される三つの映像が、冒頭のそれときれいに繋がり、循環構造をとっているのは見事だ。とはいえ、半永久的に継続する物語が描かれているわけではない。これは、恐らくは、リリックの内容を受けての後日談であり、全てに終止符を打とうとした男が繰り返した企てに過ぎなかったことに気づかされることになる。

  • 元カノの数自慢ならドレイクにお任せ、ということになっていたはずだが、このイスラエルのシンガーのMVも負けていない。"セカンド・ハンド・ラヴァーズ"と題された、この曲のMVで主役を務めるオレン・ラヴィ自身が、なにせ、もとカノ全員と同居しているのだから。少なくとも、そう見えるし、彼にカノジョがいない間は、元カノ全員の動きが生き生きしているし、優美ささえ湛えた身のこなし方さえも、まさに喜劇で、微笑ましくもある。そんな彼に、新たな彼女ができた途端、元カノたちが一斉に動きを止めるあたりから、その先にある結末が予想できるからこそ、なんとも言えないせつなさに覆われてゆく展開もいい。ちなみに、このMVは三部作の2作目にあたり、前作のMVでは、楽曲同様ヴァネッサ・パラディスと共演している。

  • 最初に画面に映し出される額装されたハスキー犬(数十秒後に、アラスカという名で行方不明なのがわかる)の飼い主が、映画『RAW~少女のめざめ』で主演を務めたギャランス・マリリエであることに気づいた瞬間、これから何か尋常でないことが起きるのでは...アガー・アガーのデビュー・アルバムの先行曲のMVは、そう予感した人たちの期待に応えてくれるどころか、それ以上のものがあるかもしれない。視聴者の目に入ってくるのは、基本的にほぼ全編にわたりVRゴーグルぽいものを装着したままの彼女を取り巻く現実界、ゴーグル越しに彼女の目に見えた世界、その世界における彼女の姿や動きを俯瞰した映像が巧みに組み合わされたものだ。ところが、たった一つ、最後の場面が加えられていることで、その直前まで観てきたもの(映像)はなんだったのか、という大きな謎があらわになってしまう。謎といえば、彼女のグループ名が寒天”を意味する語である事実だけで既に十分なのだが。

  • 編集点のない、いわゆる"長まわし"は、作品時間の短さゆえにMVとは相性が良いと考えられることがある。このキング・タフのMVはどうだろう。始まってからしばらくは、黄昏色に萌える空が画面の半分以上を占めていて、望遠レンズ越しにカメラが興味を持って見つめている被写体がなんなのかわからない。テオ・アンゲロプロス監督作品の一場面のようだが、ここでは、カメラが緩やかとはいえ動いてくれる。同じ長回しでも、それがMVで使われる場合、被写体が(時に激しく)アクションを起こす運動体であり、カメラがそれを追いかける場合が、実に多い。ここでも、被写体はアクションを起こすけれど、その途端にカメラは動きを止めてしまう。これは、紋切り型のMV表現とされるものからは幾重にもズレた手法を選んだ作品であり、また、長まわしがカタルシスにつながる点もユニークだ。

  • 言葉遣いこそ平易だけれど、スウェーデンのシンガー、ジェニー・ウィルソンが、この曲で歌っているのは、彼女自身が性的暴力の被害に遭った時とのことと、その後の精神状態についてだ。啓蒙を目的に作られたレディ・ガガのMVにも、同様の複数の事実に実写で描いたものがあったが、出来事そのものの再現に比重が置かれ、突如として混乱や恐怖のどん底に突き落とされる被害者側の、言葉にならない心理描写には、いまひとつ踏み込めていなかった。MVの一視聴者なんぞに、そうした心理状態など到底理解できるはずがない。そう言われてしまったら、それでおしまいだが、1ミリでもいいから理解に近づけよう、近づいてもらいたい、という思いから、このMVではアニメーションを採用することになったのだろう。直接的な描写に加え、文字通り、フリーフォームな象徴的描写が、大きな説得力を持つに至っている。

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