今もっとも見過ごされているバンドと言えば、断トツで１位に挙げられるのがジャグワー・マーだろう。このたびPVを作り直してフル尺ヴァージョンも無料公開されることとなった彼らのデビュー曲を聴くと、そんな思いを新たにせずにはいられない。〈モータウン〉を敬愛しているというのも納得のファンキーなドラムとベース、甘くとろけるような60年代的メロディ、そしてカットアップされたガール・ポップ風コーラス。基本的にマッドチェスター・リヴァイヴァルとされるバンドだが（そして、それで間違っていないと思うが）、この曲は彼らがマッドチェスターのルーツの一端＝60年代サイケやソウルなどにも精通していることを端的に証明している。
〈100%シルク〉初のアルバム作品をリリースしたことでも話題となったロンドンの新世代ハウス・プロデューサー、フォート・ロモーがカット・コピーの新曲をリミックス。原曲は、「2013年版のプライマル・スクリーム“カム・トゥギャザー”か？」とでも言いたくなるような多幸感溢れるダンス・ポップだったが、このリミックスでは原曲のピアノ・リフや女性コーラスを効果的に再利用し、ベースラインが引っ張るフロア仕様のディープ・ハウスに手際よく変換している。どこか霞がかっているサイケデリックなムードも心地よい。
イギリスから将来有望な新人ギター・バンドがまた一組。今年初頭に結成されたばかりというロンドンの４人組で、ホラーズ界隈のバンド達とも親交が深いという（その繋がりで、デビュー前にもかかわらずBBC６のライヴ・セッションに呼ばれたことも話題となっている）。これは間もなくリリースされる初シングルだが、結成間もないバンドらしい衝動的な荒々しさが漲った、痛快なサイケデリック・ガレージ・パンク。ヴォーカルの声質のせいか、グラム・ロック的な艶めかしさが感じられるのもいい。本国では既にパーマ・ヴァイオレッツやテンプルスとのツアーが決まっており、期待値は高い模様だ。
ティガの〈ターボ〉を中心にシングルをリリースしていたゲサフェルスタイン。カニエ・ウェスト『イーザス』にダフト・パンクやブロディンスキと共に参加、そして間もなく発売となる1stアルバムはメジャーからのリリースと、ここのところかなり勢いづいている。そのサウンドはまだフレンチ・エレクトロを引きずっているところがあるが、この1stからのリード曲のように、インダストリアル・ミュージックの影響も取り込み、恐ろしく不穏で攻撃的なムードを醸し出している点は、間違いなく彼の個性だろう。暴力衝動の塊のようなトラックに負けず、PVも過激。
いつの間にこんなに逞しくなったのか？ 海外では10月22日にリリース予定の７曲入りミニ・アルバム『フェード・アウェイ』からの先行公開曲を聴いてみると、思わずそんなふうに驚いてしまう。微笑ましいくらいにヘロヘロだった1stと較べ、2ndはかなり足腰がしっかりした印象を受けたが、今回の曲は何と言うか、筋骨隆々だ。相変わらず砂糖漬けの甘ったるいメロディながら、見違えるほどハードにドライヴするようになったサウンドは、新鮮と言えば新鮮。かわいらしいノスタルジック・ガールというよりは、さっぱりとした姉御肌といった印象だ。でも考えてみれば、以前からライヴでのベサニーはそんな雰囲気だった。
October 22, 2013
December 22, 2022
September 05, 2014
