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  • ゲットダウン(2016) created by Baz Luhrmann, Stephen Adly Guirgis by MARI HAGIHARA August 31, 2016 1
  • トランスペアレント(2015~) created by Jill Soloway by MARI HAGIHARA August 31, 2016 2
  • ミスター・ロボット(2015~) Created by Sam Esmail by MARI HAGIHARA August 31, 2016 3
  • ガールフレンド・エクスペリエンス(2016) created by Lodge Kerrigan,Amy Seimetz by MARI HAGIHARA August 31, 2016 4
  • シックス・フィート・アンダー(2001~2005) created by Alan Ball by MARI HAGIHARA August 31, 2016 5
  • 今月から映画/ドラマ編プレイリスト始めることになりました。まずは今一番ホットな海外ドラマといえば『ゲットダウン』。製作費1億2千万ドルでバズ・ラーマンが撮ったNetflixオリジナルです。「コンテンツには金を出せ」が主流になるかどうかは、結構これにかかってる。でもだから応援してるわけじゃなく、素直にワクワクします。シェークスピアでもフィッツジェラルドでもケレン味たっぷりに翻訳するのがバズ・ラーマン流ですが、「ヒップホップ誕生」という題材がハマった感じ。舞台は77年NY、ディスコ全盛期。マンハッタンではパンクが始まり、放火とドラッグが当たり前のブロンクスでは突然キッズがターンテーブルを2台買いはじめた――そのカルチャー・クラッシュも、「ここからのし上がってやるぜ」というヤンキー的成功譚もいいのですが、何よりティーンが夢を追い、恋をし、創造に目覚めるストーリーになってるところが好き。スニーカーじゃディスコに入れないから自分たちでパーティを始めた、というのにもグッときます。監修にグランドマスター・フラッシュ、ナズ、カーティス・ブロウ。

  • こっちはもうすぐシーズン3が配信されるamazonのオリジナル。老いた父親がトランスジェンダー宣言することから始まる家族劇です。というと流行りのLBGTものに聞こえますが、このドラマの場合主なモチーフをトランスジェンダーとレズビアンにしたことで、性的指向だけでなく、さまざまな「アイデンティティ」がせめぎ合う今の世の中でどうやってエゴとリスペクトをすり合わせるか、というシビアなテーマが描けている気がします。多様化する人間関係のなかで自分と相手はどう共存できるのか。例えばシーズン2では「女による女のフェス」というヒッピー的フェスが出てくるのですが、そこでは「生まれながらに女性ではない女性」は排除されていて、その差別意識に主人公同様、ショックを受けてしまう。しかも憎まれ役は一人も登場しないのです。強いキャストのなかでも、スリーター・キニーのキャリー・ブラウンスタインの存在が昨年の映画『キャロル』同様、突出しています。

  • 海外ではバズっているのに日本ではイマイチ話題になっていない作品。でもamazonに一話ずつ最新エピソードが入ってくるので、リキャップを読みつつ見る、という視聴方法が可能です。ちなみに、放映後すぐ要約&批評=リキャップがネットに上がるようになったのも、海外でドラマ人気を底上げしてるんですよね。筋は主人公のハッカー、エリオットが巨大企業を攻撃して世界転覆を図るというもの。まあ、ラミ・マレック演じるエリオットのこのパラノイアックな外見がすべてを語っています。冒頭から彼はずっと誰かに話しかけているし、企業の名前は「イーヴル・コープ」だし、妄想の側から見た現実を描いているのは明らか。それでもエリオットがまともに見えるのが今っぽいのです。シーズン1の終盤、「世界を変える」という理想/妄想が次々反転しながら実現されていく展開がスリリングでした。キュアーの“ピクチャーズ・オブ・ユー”にも涙。クリスチャン・スレーターの演技が90年代です。

  • 最初は「ソダーバーグの映画のドラマ化か」と思って見はじめたのですが、クリエーターの一人がロッジ・ケリガンなのに気付いた作品。『クリーン、シェイヴン』(93)が日本でも話題になった監督ですが、私は未公開作『Claire Dolan』(98)が印象に残っていて、早世した女優カトリン・カートリッジが娼婦役でした。そのロッジ・ケリガンが、NYの高級コール・ガールを描いたソダーバーグの同名映画(09)をドラマ化――という題材つながりです。今回はライリー・キーオ(リサ・マリー・プレスリーの娘)演じる法学生が売春ビジネスを展開し、社会的に抹殺されそうになりながらサバイヴするストーリー。『Claire Dolan』や映画版『ガールフレンド・エクスペリエンス』と同様、トーンは冷たく客観的。ただもう一人のクリエーター、エイミー・サイメッツが演じている主人公の姉とのやりとりには感情がこもっています。ソダーバーグらインディ映画の作り手と、彼らが描きたいものがどんどんテレビ・ドラマに移行している好例。

  • 最後に全5シーズンがHuluに上がっているアーカイヴものを一つ。『アメリカン・ビューティ』(99)の脚本家アラン・ボールによる2001〜2005年の『シックス・フィート・アンダー』です。放映当時はそれが売りだったのですが、現在『トランスペアレント』のクリエーターであるジル・ソロウェイも脚本に加わっていて、家族ドラマの雰囲気がそっくり。こっちはタイトル通り葬儀屋一家の群像劇で、毎回誰かが死に葬式が開かれるのですが、にもかかわらずとてもセクシーなドラマ。というのも『トランスペアレント』もそうなのですが、出てくる人たちが基本、セックスとドラッグとその場のノリで人生の選択をしてしまうのです。で、年齢に関係なくくっついたり離れたり、プラグマティックではない方向に進んでしまう。でもそこがリアルで共感出来るし、何より説教臭くない。人生は先が見えないトラジコメディ。意外さをラストまできちんと引っ張ったところも見事でした。

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