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ジェイムス・ブレイクの新MVで助手席に座る
チャンス・ザ・ラッパーって一体何者なの?
by AKIHIRO AOYAMA October 25, 2013
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ジェイムス・ブレイクの新MVで助手席に座る<br />
チャンス・ザ・ラッパーって一体何者なの?

11月29日に開催されるエレクトラグライドでの来日が決定しているジェイムス・ブレイクが、『オーバーグロウン』収録曲“ライフ・ラウンド・ヒア”のリミックス・ヴァージョンのミュージック・ヴィデオを公開しています。ヴィデオの監督を務めたのは、最近ではジャスティン・ティンバーレイクやアークティック・モンキーズ等を手掛けているフィルム・ディレクター=ナビル。ジェイムス・ブレイクとチャンス・ザ・ラッパーがロウライダーに乗り、靄がかった森の一本道を進んでいくスタイリッシュな映像美が見られます。

にしても、ジェイムス・ブレイクの運転する車の助手席に乗っているこの男、チャンス・ザ・ラッパーって一体何者なのか?まだまだ知らない人の方が多いはずなので、ここで彼のことを紹介しておきましょう。

チャンス・ザ・ラッパーことチャンセラー・ベネット(チャンスの由来はこの本名から)は、シカゴ生まれの20歳。ざっくりと言えば、オッド・フューチャー周辺やエイサップ・ロッキー、ビッグ・クリット、ケンドリック・ラマーetc……、アメリカの各地から新世代が続々と登場し、現行ポップ・ミュージックの中で最も刺激的で面白い動きを見せているヒップホップ・シーンの、シカゴを代表するラッパーです。他の新世代勢と同様、彼もネット上で無料リリースした2枚のミックステープによって名を挙げました。2012年の『10デイズ』と2013年の『アシッド・ラップ』、これらの作品は彼のオフィシャル・サイトから辿れば今でも簡単にダウンロード出来るので、何はともあれ、まずは一聴を。

今のシカゴには、チャンスの他にも「ドリル」との名前で呼ばれる新興シーンがあるのですが、同シーンの代表的ラッパーであるチーフ・キーフやリル・リーズがどちらも窃盗や暴行で逮捕された経歴を持つギャングスタ系であるのに対し、チャンス・ザ・ラッパーはどちらかと言えばシカゴ・ヒップホップの偉大な先達=コモンとカニエ・ウエストの正統後継者。オープン・マインドな知性で、エクレクティックなヒップホップをクリエイトする存在です。『10デイズ』でベイルートを大胆に使ったり、『アシッド・ラップ』の冒頭曲ではそのままコモンとカニエの楽曲をサンプル使用していたりと、サンプリング・ソースの端々からもその辺りの意識がうかがえるよう。とは言っても決してチャンスが百点満点の素行優良児というわけではなく、リリックにはご多分に漏れずドラッグ・ネタは頻出するし、高校を謹慎になったこともあるそう。治安が悪化してギャングスタが幅を利かせる街で、そこに属す事なく自分なりの生き方を模索する彼の姿勢は、ケンドリック・ラマーが『グッド・キッド、マッド・シティー』で描いたストーリーとも共通する同時代性が感じられます。何にせよ、今年に入ってからも数多く登場し、アメリカの音楽界を賑わせ続けているヒップホップ新世代の中でも、彼が最も優れた才能を持つ気鋭の1人なのは間違いありません。

今年のSXSWで出会い、意気投合したことで実現したというジェイムス・ブレイクとチャンス・ザ・ラッパーのコラボレーション。今も連絡を取り合い、オリジナルの音源製作も進めているとチャンスは語っているので、また近い内にこの2人による別のコラボレーションが聴けるかも? 大いに期待してます。

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