SIGN OF THE DAY

10分で即決!たちまち行きたくなる!
〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉
至福の二日間の全貌を一挙解説!part.2
by YOSHIHARU KOBAYASHI February 05, 2014
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〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉<br />
至福の二日間の全貌を一挙解説!part.2

さあ、続いては二日目です。何と言ってもポイントは、まさかのナショナル再来日ですが、その脇を固めるラインナップも抜かりありません。もう余計な前口上は必要なし、早速行きましょう。〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉、見どころ解説パート2です!


▶▶▶14:00~14:45 BUKE & GASE
ナショナルのデスナー兄弟の目に留まり、彼らが主宰する〈ブラスランド〉と契約したブルックリンの男女デュオ=ビューク・アンド・ゲイス。とは言っても、彼らはビュークさんとゲイスさんではありません。ビュークとは自作の6弦バリトン・ウクレレで、ゲイスはギターとベースを組み合わせた創作楽器。そう、彼らは自ら制作/改造した楽器によって生み出される、まさに「唯一無二」のサウンドをアイデンティティとしているアーティストなんです。ユニット名に冠している2つの楽器がトレードマークですが、ほかにも爪先(トウ)で鳴らすタンバリン――その名もトウ・バリンや、多数の自作エフェクト・ペダルも使いこなすんだとか。下の映像にもトウ・バリン、出てきます。これは見て楽しい、聴いて楽しいライヴになりそう。まだフロアのスペースに余裕がある早めの時間、個性豊かな楽器たちを肉眼で確認できる前列で観ることをおすすめします。

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▶▶▶15:15~16:05 KING KRULE
2014年のロンドンを代表する暗い目をした吟遊詩人、あるいは深い闇から美しい言葉をえぐる孤高のリリシスト。言わずと知れたキング・クルエル、約一年半ぶりの再来日です。とはいえ、〈TAICOCLUB’12〉で日本初上陸を果たしたときは、まだEPを一枚リリースしただけ。日本では、ほぼ無名の状態。彼を目当てで会場まで足を運んだという人は決して多くはなかったはず。なので、今回の来日は、「待望」という言葉を使ってもいいでしょう。正直、〈TAICOCLUB’12〉のときは「ライヴはまだこれからかな~」という印象でしたが、いやいや、男子三日会わざれば刮目して見よ、です。アルバム・リリース&ツアーでグッと逞しくなっていること間違いなし。薄暗い路地裏から響く詩情、怒りと悲しみがべっとりと貼りついたしゃがれ声。その美しさに今度こそ触れるべし!

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▶▶▶16:35~17:35 YOUTH LAGOON
記念すべき第一回にも出演したユース・ラグーンことトレバー・パワーズが、2年ぶりに〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉へとカムバック。2010年前後にUSアンダーグラウンドで巻き起こった大波に乗り、リヴァービーなベッドルーム・ポップで頭角を現した彼ですが、昨年の2ndアルバム『ワンダラス・バグハウス』ではプロダクションのクオリティを一気に向上させると同時に、より緻密な箱庭ポップ化を志向。とは言え、奇妙に輪郭が歪み、どこかバランスを欠いているサウンドから滴り落ちる狂気は、相変わらずのパワーズ節、といったところでした。前回の来日はシンセを操るパワーズとギタリストの二人編成でしたが、今回はどうなるんでしょうか?最近は以下の映像のように、4人組フル・バンドでのセットを披露することも多いみたいなので、今度はこちらを希望!

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▶▶▶18:20~19:20 WARPAINT
ウォーペイントの新作が音楽的にほとんど成長していないとか、演奏が大して上手くなっていないとか、相変わらず曲が一本調子だとか、そんなことはどうでもいいんです。だってウォーペイントは雰囲気モノ――もとい、彼女たち4人が揃ったときに醸し出す特別なアトモスフィアこそが、何よりも、かけがえのない魅力ですから。〈ピッチフォーク・ミュージック・フェスティヴァル・パリ〉で初期の名曲“エレファンツ”をやったときの映像、これを見ればわかってもらえるはずです。

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正直、映像自体のクオリティはそんなに高くありません。やたらと暗いし、ピンボケしまくり。しかし、それにもかかわらず伝わってくる、4人の立ち姿のバランスの絶妙さ。至高なり。体を揺らしてリズムを取っているだけなのに、やたらと絵になるジェニーとか、かっこよ過ぎです。4分半過ぎからのジャム・パートも、決して演奏が巧みなわけではないけれど、なぜだか聴かせてしまうという謎。拙さの中から零れ落ちる輝きがある、と言いますか。でも、これもまたロック・バンドのひとつの理想形でしょう。今回の〈HCW〉でも、彼女たちの雰囲気やムードやペースに、思いっきり飲まれて/巻き込まれてしまいたいです。


▶▶▶20:05~21:35 THE NATIONAL
ナショナルが来る!もうそれだけでビッグ・ニュース!最新作『トラブル・ウィル・ファインド・ミー』は、英米ともに初登場3位。海外では完全にアリーナ・クラスのバンドとしての確固たる地位を固めており、来日の望みは遠のくばかり。実際、その長いキャリアでナショナルが日本の地を踏んだのは2011年の一度だけ。〈サマーソニック〉でも〈フジロック〉でも来る気配なし。日本との人気格差は広がり続けているので、これはもう生で観るには海外行くしかないのでは?……と誰もが思い始めていたところで、まさかの再来日ですよ。これは見逃すわけにはいきません。ぶっちゃけ、モグワイは何度でも来るけど、ナショナルは次がいつになるかわからない。通し券を買う余裕がないのなら、迷わず二日目を選ぶべき――なんて書くと主催者の〈ホステス〉に怒られそうですが、これは結構本気の話。おそらく、この規模の会場で、ヘッドライナーとしての出演だから実現した今回の再来日、実はかなりのプレミアです。オフィシャル映像はTVやスタジオ・セッションしかないのが残念ですが、とにかく彼らのライヴを一曲見てみましょう。

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映像には、見事にくたびれた中年男が5人。キング・クルエルやウォーペイントのようなスタイリッシュさは見る影もなし。でも、そこには芳醇なバンド・アンサンブルの味わいと、心地よいバリトン・ヴォイスで歌われる市井の人々の悲哀があります。この大人の渋味や悲しみや色気が入り混じったサウンドに、痺れるなという方が無理でしょう。USインディの良心という立ち位置を越えて、堂々たるアメリカン・ロック・バンドの頂へと向かいつつある今のナショナルの姿は、絶対にその目に焼き付けておくべき!


さあ、今回も〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉に行く心の準備はできましたか?これ、20分じゃ読み終わらないでしょ、という野暮なツッコミは無しです。とにかく気持ちが決まったら、後はチケットを手に入れて、会場へと向かえばOK!きっとあなたの期待を裏切りません。あ、この季節、新木場駅からスタジオコーストへの道のりはかなり寒いことが予想されるので、防寒対策もお忘れなく。それでは会場で!



「10分で即決!たちまち行きたくなる!〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉、至福の二日間の全貌を一挙解説!part.1」はこちら。

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