SIGN OF THE DAY

常に予想の斜め上を行くアイデア・マン、
ジュリアン・カサブランカスのソロ2作目は
またしても凄いことになっていそうな雰囲気
by YOSHIHARU KOBAYASHI September 03, 2014
常に予想の斜め上を行くアイデア・マン、<br />
ジュリアン・カサブランカスのソロ2作目は<br />
またしても凄いことになっていそうな雰囲気

謎。本当に謎。次に何をするのかまったく読めない。と思いませんか? ストロークスというバンド、そしてその頭脳であるジュリアン・カサブランカスという人は。

思い返せばストロークスの1stも奇妙なアレンジとプロダクションのアルバムでしたが、特に3rd『ファースト・インプレッションズ・オブ・アース』以降は、「こんなアイデア、どこから引っ張ってくるの?!」と呆気に取られるような、摩訶不思議なサウンドばかり。悪趣味スレスレのところを際どく突いてギョッとさせつつも、でも確かにこれもありだよね、と納得させることを繰り返している(勿論、失敗例もありますが)。要は、なんとなく曲を書いて自然体の成長や変化を見せるのではなく、作品ごとに明確なヴィジョンやコンセプトを打ち出さなきゃ面白くない! と考えている人なんでしょう。まあ、そのヴィジョンやコンセプトの打ち出しが、いつも予想の斜め上を行っているから、最高に面白くて謎なんですが。

10月15日に日本盤がリリースされるジュリアンのソロ2作目『ティラニー』も、現時点で公開されている情報を掻き集めてみた限り、「またこの人、変なアイデア思いついちゃったんだろうな~」と、ほくそ笑みたくなるような感じです。ソロ前作『フレイゼズ・フォー・ザ・ヤング』は初期ストロークスをチープな打ち込みでカヴァーしたようなサウンドでしたが、今回はそれ以上に不思議なことになっていそう。なにはともあれ、まずはアルバムのプレヴュー動画を見てください。

Julian Casablancas+The Voidz / Album Preview


このアルバムはジュリアン・カサブランカス+ザ・ヴォイズというバンド名義での作品ですが、まずメンバーのヴィジュアルでびっくり。一体どこから集めてきたんですか? と訊きたくなるような、往年のハード・ロッカー/パンク・ロッカー風。で、プレヴューで流れる曲の中には、もろにハードコア・パンクみたいなのもあります。アルバムのアートワークもいかつい。

じゃあ、今度はその路線? と思いきや、リード・トラックとして発表された“ヒューマン・サッドネス”で印象は一変。ギター・ソロにハード・ロック風味はあるものの、全体としては10分超のアトモスフェリックで壮大なミドル・テンポですから。

Julian Casablancas+The Voidz / Human Sadness


いやー、アルバムの全貌がどうなっているのか、本当に読めない。謎。とにかく今は追加情報を待つしかありません。でも、事前に小出しにされる情報で疑問符がたくさん頭に浮かぶ時ほど、ストロークスのアルバムはいいものが届きます。3rd以降の最高傑作である『カムダウン・マシン』はまさにその好例。なので、現時点ではいろんな意味で圧倒されるしかない今回のソロにも妙に期待を寄せてしまう。というのは、きっと僕だけではないでしょう。はてさて、その全容は如何に?




ジュリアン・カサブランカス+ザ・ヴォイズ『ティラニー』
MGNF-1012(MAGNIPH)
2014年10月15日発売
01. Take Me in Your Army
02. Crunch Punch
03. M.utually A.ssured D.estruction
04. Human Sadness
05. Where No Eagles Fly
06. Father Electricity
07. Johan Von Bronx
08. Business Dog
09. Xerox
10. Dare I Care
11. Nintendo Blood
12. Off to War…



「総力特集:
ゼロ年代を変えたストロークス、
その頭脳、ジュリアンの頭の中」
はこちら

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