やっぱり観ておいて損はないですよ、クラフトワークの3Dライヴ。昨年の単独来日でコアなファンはほとんど体験済みだと思いますが、それ以外の人もせっかくの機会だから観ておくべき。なにしろ、セットリストは有名曲を網羅したベスト・ヒット的な内容。3Dの飛び出す映像も思いのほか楽しい。でも、ユーチューブとかでライヴ映像を見ても、全然その楽しさが伝わらないんですよね。当たり前ですが。オーディエンスが「ウォーッ!」って叫んでいても、なんでそんなに盛り上がっているのか、よくわからない。そりゃ、こちらは3D用の眼鏡を掛けていないんで、映像はただダブって見えるだけ。わからなくて当然。が、実際に体験すると本当に凄いんです。「ウォーッ!」って叫びたくなる。“アウトバーン”ではジャケ写の世界に入り込んだみたいになるし、“ナンバーズ”では視界一面に押し寄せる数字の洪水に圧倒される。でも、やっぱり、こればっかりは実際に観てみないとわからない。なので、何はともあれ、観ておいてください。一度は体験する価値があります。約束します。
何年ぶりでしょうか、最近はまたアメリカやイギリスのヒット・チャートを追いかけるようになりました。楽しいんですよね。ただのティーン・アイドルだと見くびっていたアリアナ・グランデが覚醒して最高のR&Bポップを大ヒットさせたり、彼女の曲に客演していたラッパーのイギー・アゼリアがこれまた強烈なトラックをそれ以上にヒットさせたり。サム・スミスはイギリスでもアメリカでもバカ売れで、その効果もあってか、遂にディスクロージャーが全米トップ10入りを成し遂げたり。中途半端なインディよりも、今はヒット・チャートの方が断然刺激的なんじゃないかっていう。で、このチャーリーXCXも、最近のヒット・チャートを面白くしているアーティストの1人。当初はグライムスやキティ・プライドなんかと一緒にタンブラー・ウェイヴなんて呼ばれてたりしましたが、実際のところはちょっとダークなエッジを持ったエレクトロ・ポップ・シンガー。全米で大ヒットした青春ロマンス映画『The Fault In Our Stars』に使われている上の曲、“ブーム・クラップ”も文句なしに良質なポップ・チューンです。面白いものはヒット・チャートにあり!っていう今の気分を体現しているアーティストなので、チャーリーXCX、チェックリストに入れてあります。
これまでにアップした皆さんのキュレーションを見ていると、やっぱり新人ギター・バンドは影が薄いなー、そういう時代なんだなー、と改めて寂しい気持ちになりました。けど、〈サマーソニック〉がギター・バンドにそっぽを向いているわけではない。今年も〈サマソニ〉はきっちりと注目すべき若手を呼んでいます。チャイルドフッドもテレグラムも見逃せない。でもやっぱり、一番観ておきたいのはリヴァプールの4人組、サーカ・ウェイヴスでしょう。彼らの魅力は、飛び切りキャッチーで愛くるしくて人懐っこいメロディ。元気いっぱいのガレージ・ロック・サウンドも気持ちいいです。取り立てて新しいところはないけど、みんなに愛されそうな感じ。近い将来にはトゥ・ドア・シネマ・クラブみたいなポジションにつくのかも? これまで発表した曲はどれもバッチリなので、これでライヴもよかったら言うことなしです。
いやー、少し目を離している間に、カサビアン、イギリスじゃ凄いことになっていますね。なにせ、今年は〈グラストンベリー〉でヘッドライナーを務め、地元レスターでの凱旋ライヴには5万人が集結。これは一時期のオアシスみたいな勢い?と言ったら言い過ぎかもしれませんが、パブとフットボールを愛する血気盛んな野郎たちの最大公約数的なバンドにのし上がっているのは間違いないでしょう。観てください、そのレスターでのライヴ。凄いですから。
プロディジーとオアシスが合体したような、アホみたいにシンプルなんだけど、アホみたいに盛り上がるこの新曲も最高です。やっぱりカサビアンはこうじゃなきゃ、っていう形のまま、スケールと会場の規模だけがめちゃくちゃ大きくなっている今の彼らは最強。〈ソニックマニア〉&〈サマーソニック〉大阪会場もドカンと盛り上げてもらいたいものです。
今スカイ・フェレイラ以上に目が離せないポップ・アイコンなんているんでしょうか?彼女の生い立ちや10代の頃のトラウマについては知らなくたって構わない。そんな知識がなくなって、スカイが品行方正なポップ・スター像に唾を吐き、自分らしさを貫く芯の強さを持っているのはわかるはず。そして、いつ壊れてしまうかわからないガラスのセンシビリティを秘めていることも。ようやく日本盤もリリースされたので、1stアルバムの『ナイト・タイム・マイ・タイム』を聴いてみてください。スーサイドのキャンディ・ポップ・ヴァージョンとも言うべきひび割れたサウンドに乗せて歌われているのは、幸せには手が届かないんじゃないかという不安、誰からも理解してもらえないという絶望、そして痛々しい自己否定。「声のない10歳の少女」(“アイ・ブレイム・マイセルフ”)が20歳を過ぎてもなお必死にもがき続けている姿がそこにはあります。しかも、彼女が歌うメロディは狂おしいほど甘くキャッチーでポップ。そのコントラストが余計に突き刺さる、と感じるのは僕だけではないでしょう。
昨年は薬物所持で逮捕されたと思ったら、今年2月にはステージから転落して60針を縫う大怪我。なにかとお騒がせの彼女ですが、危ういバランスの上に立っているポップ・スターは得てしてそういうもの。今回は運よく来日が決まったけれど、次はどうなるかわかりません。またすぐ来るかもしれないし、もう観られないかもしれない。ドラマは突然最終回を迎えるかもしれない。まさか。でも答えは誰にもわからない。スカイ・フェレイラは今観ておかないと絶対に後悔すると思います。
サインマグの各ライター陣が本音で選んだ
〈サマーソニック〉お薦めアクト・トップ5
その①:キュレーション by 青山晃大
はこちら。
「さて〈サマーソニック2014〉なんですが、
果たしてアークティック・モンキーズ以外に
見どころはあるのか? 検証してみますよ。」
はこちら。