近年隆盛を見せているポスト・インダストリアル/ノイズ/ドローンの源流の一組であり、ポスト・ロックからフリー・フォークやデゥーム・メタルに至るまでその反響を免れ得ない、USアンダーグラウンド屈指のカルト・ヒーロー――マイケル・ジラ率いるスワンズが、〈ミュート〉契約後初となるアルバム『トゥ・ビー・カインド』を送り出す。
2010年に再結成し、ツアーとアルバム・リリースを重ねてきたスワンズだが、新作は再結成から数えて三作目。2012年の『ザ・シアー』に引き続き、二枚組2時間超という大作だ。曲は2012年から2013年にかけてのツアー中に練り上げたということで、〈プリマヴェーラ・サウンド2013〉で披露していた“ジャスト・ア・リトル・ボーイ”も収録されている。まずはこれを聴いてみてほしい。
まるで黒魔術の召還儀式に迷い込んでしまったかのような、おどろおどろしいムード。ミシミシと軋む音を上げながら、ゆっくりと迫り来る重戦車を思わせる迫力。そして10分超に渡り延々と続いていく、ひたすら重々しくてカオティックな轟音。圧巻、というほかない、そのヘヴィネスは、アンダーグラウンドにおけるダークでゴシックな空気の結実として隆起した新しいインダストリアルが持て囃される今、見直されて然るべきだろう。実際、これまでも再評価の機運は徐々に高まりつつあったが、『トゥ・ビー・カインド』はそれがちょうど最高潮に達した時点で解き放たれることになったと言っていい。
セイント・ヴィンセントを始めスワンズを敬愛する若手達も参加し、再結成後の決定打となるであろう『トゥ・ビー・カインド』は、5月3日に日本先行リリース。CD二枚組の通常盤に加え、DVD付きの三枚組スペシャル・エディションも送り出される。DVDの中身は未定だが、スワンズのドゥームな漆黒世界にどっぷりと浸るにはこちらだろう。映像の詳細は追加アナウンスを待ちたい。
スワンズ(Swans)が新作『To Be Kind』を5月発売、St.Vincentら参加 - amass
NYのポストパンク・バンド、スワンズ(Swans)が新作『To Be Kind』を海外で5月13日発売。さまざまなゲスト・ヴォーカルを招いた作品になるようで、セイント・ヴィンセントことアニー・クラークらが参加