SIGN OF THE DAY

30分で教えます。ストライプスを最高の
ロックンロール・バンドたらしめる10の条件
part.2
by SOICHIRO TANAKA October 24, 2013
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30分で教えます。ストライプスを最高の<br />
ロックンロール・バンドたらしめる10の条件<br />
part.2

では、後編行きましょう。前編同様、あまり冗談がお好きでない方は読まないで下さいね。10の条件も、あと残すところ3つです。


8)ヴォーカリストなのに一番影が薄い

これ、みんな、思ってますよね。確かに個性には乏しいけど、声もしっかり出てるし、グッドルッキンなのは間違いない。でも、すでにそれなりの個性とスキルを持った3人のフロントに立って、いまだ自信を持てずにいる感じあるよね、ロス・ファレリーって。例えば、メンバー3人の演奏が佳境を迎えようとしてる時に、特に何もすることなくて、所在なげにタンバリンを叩いてる姿。後ろを向くでもなく、観客を真正面から見据えるでもなく、フロアに向かって、ちょっと斜めの角度で少し自信なさげに立っている姿。泣けます。まあ、そこが初々しくもあるんですけど。勿論、彼がメンバー最年少だってことは、原因のひとつして少なからずあるはず。後から入ったメンバーだしね。致し方ない。しかも、サングラス外すと、意外や老け顔。メンバー唯一の面長顔なせいか、むしろ一番年上に見えるというね。でもって、4人の中で一番タッパがあったりするのも、むしろマイナスなんだよね。にしても、自信のなさの裏返しにしても、これ、ちょっと前髪、伸ばしすぎじゃね?

The Strypes / Mystery Man

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でもね、今日は特別に教えてあげます。偉大なロックンロール・バンドの条件、それはメンバーの中で、ヴォーカルが一番影が薄いこと。いや、ビートルズみたいに4人全員がフロントマンみたいなバンドは例外中の例外ですよ。でも、ザ・フー、レッド・ツェッペリン、クラッシュ――どのバンドもヴォーカリストが一番どーでもいい感じじゃないですか。でしょ。だからこそ、「バンド感」が引き立つところもあるわけです。あれ、苦しいかな。それに世の中には、コールドプレイみたいに全員がどーでもいい感じのバンドもいるわけで。あれ、さらに墓穴掘った、俺? でも、萌えませんか、ロス見てると。先日の二度目の来日公演では、かなり安定してたものの、初来日公演なんて、一晩に6、7回はヴォーカルが入るところ、とちってたからね。その度にロスが浮かべる「しまった! 間違えちった!」という、鳩が豆鉄砲食らったような表情がとにかく最高なんですよ。しかも、やはり満面の笑顔のまま、「こいつ! 間違えたな!」という視線を向けるジョシュと二人で顔を見合わせるところなんてホント最高なんです。いやあ、あの光景はキたな。かなりキた。これぞ、理想的なロックンロール関係萌え。こら、苦しいとか言うな。ストライプス、最高なんだから!


9)スタイリストがいても、ちゃんと自分の服を着てる

うん、やはりこれも大事ですね。何といっても大事なのは見かけですから。ロックンロールは世界初のヴィジュアル系ですからね。皆さん、ご存知の通り、大抵の場合、ストライプスの4人はタイトなモッド・スーツ・スタイル。まあ、これはいいとして、何よりも大事なのは、「普段着感」なんですね。わかりますよね。「自分で選んで着てる感」なのです。絶対に着せられちゃだめ。ほら、ボウディーズ、君たち、着せられてないかい? 自分の服、自分の音楽と同じくらい好きかい? ブルーズメンはみんな、そうだぜ。

例えば、ここ最近、ジョシュ・マクロリーがつけてるボウ・タイなんて、正直、いかがなものか。てか、ナシでしょ。以前より前髪を短くして、年相応の童顔を露にしたせいで、どこから見ても、孫にも衣装。しかも、よくよく見ると、何故だか、うっすら口髭を生やしている。意味がわからない。というか、間違っている。にもかかわらず、彼の着こなし全体からは、「いや、俺のスタイルはこれなんだ!」という強固な意志が伝わってくる。というか、「絶対に俺が一番かっちょいいのだ!」という勘違いがびんびんに伝わってくる。お前、どれだけジョシュのことが好きなんだ、という突っ込みはさておき、そう、大事なのは、これなのです。自分で選んだスタイルに対する漲るような自信。これに勝るものはない。例えば、全盛期のポール・ウェーラーにしても、あまりに自身のスタイリングに力が入りすぎて、かなりありえない髪型をしたり、言わんや、鼻毛を出した写真を『ロッキング・オン』の表紙にされたりした。とにかく徹底している。もうここまでくると、さすがにさすが! と言わざるをえない。しかし、正直なところ、どうしたものか。だが、もはや誰も突っ込めない。自信が凄すぎて。そうした意味で、ストライプス――特にジョシュは、間違いなく本物であり、大物なのです。


10)ショー後半最後の沸点を彩るのがどれもカヴァー曲

最初に言っとくと、これ、皮肉は微塵もありませんから。まあ、暴論は暴論なんですが。実のところ、ストライプスの場合、こういうところも「最高にかっけー!」と思うわけです。だって、ファンの誰も知ってる代表曲で締めるショーほど、かっちょ悪いものなくないですか。「ファンの期待に応えるロックンロール・バンド」なんて、字面にするだけでもクソかっちょ悪いでしょ。でも、ストライプスの場合、純粋にショーのハイライトを飾ることが出来るベストな選曲として、カヴァー曲をそこに持ってきてるわけで。わざわざそこにオリジナル曲を持ってきて、何となくかっこつけるようなことはしない。これってマジ潔くて、かっちょいいと思うんですよね。

まあ、勿論、マディ・ウォーターズやクリームの演奏で有名な“ローリン・アンド・タンブリン”にしろ、ニック・ロウの“ハート・オブ・ザ・シティ”にしろ、ボ・ディドリーの“アイム・ア・マン”にしろ、スリム・ハーポの“ゴット・ラヴ・イフ・ユー・ウォント・イット”にしろ、そもそもは歴史的有名曲なわけだし、今じゃ大半が彼らのアルバムやEPにも収録されて、オリジナルを知らないファンでも、彼らのレパートリーとして認知しつつある。それゆえ、もはや前述のような「純粋にショーのハイライトを飾ることが出来るベストな選曲」というわけでもないとは言えるかもしれない。でも、実際、この辺りの曲で締める彼らのショーはホント最高なんですよ。他のバンドもがんがんカヴァーやればいいのに。てか、ある意味、ちょっとした新たな価値観だとも思うんですね。ふんがー。

というわけで、特にストライプスのライヴは本当に見所満載なんです。ここまで読んでいただければ、「ああ、俺もストライプスのこと大好きだけど、この文章書いてる人にはさすがに勝てないな。俺、さすがにこんなに頭悪くないし、性格悪くないもんな」と感じていただいているに違いありません。なので、ここからはさらに頭悪く、少しばかり余計なダメ出しをお送りします。ストライプスの1stアルバム『スナップショット』が超イカしたゴキゲンなレコードなのは間違いない。でも、弱点が4つほどある。という話。

ひとつはプロデュース。だって、クリス・トーマスなんて、セックス・ピストルズの1stアルバムを分厚いグラム・ロック・サウンドで台なしにした人ですよ。このファットな音がだめ。太鼓もギターも分厚すぎるし、音圧ありすぎ。こんな音じゃ、ウィルコ・ジョンソンが泣きますよ(皆さん知っての通り、ガンで死期も間近のウィルコですが、HBO製作のダーク・ファンタジー・ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』では、口のきけない首狩り役人の役で、最高の演技を見せているので必見です)。だから、次はジェイク・バグみたくリック・ルービンとやるとか、リアム・ワトソンとやるとか。せっかく“ハート・オブ・ザ・シティ”のカヴァーしてるんだから、せめてニック・ロウ辺りだな。だって、メトロノミー新作はリアム・ワトソンのドゥ・ラグ・スタジオで録ってるんです。超わかってるっしょ。


じゃあ、ニック・ロウのオリジナル、聴いておきましょう。デイヴ・エドモンズのギター、音もフレーズもとにかく最高です。おまけにティアドロップ型サングラスも松田聖子カットも最高。客も最高。因みに、これがポゴ・ダンスね。これに勝たないと。

Nick Lowe / Heart of the City, They Call it Rock

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ふたつめはアルバムの曲数が中途半端曲。13曲じゃダメ。ストーンズみたく12曲か、ビートルズみたく14曲じゃなきゃ。ただのいちゃもんですね、これ。てか、13なんて演技悪いじゃないスか。

みっつめはジャケットがださい。写真がだめ。ジム・フルマノスキーのおばちゃんなんて、オアシス撮らしときゃいいんですよ。やっぱビートルズみたく、アストリッド・キルヒヘルみたいな同世代の超クールな女子が撮った写真が見たいじゃないですか。

よっつめ、これが一番の難点。オリジナルが8曲、カヴァーが5曲。この配分が良くない。だって、オリジナルが多すぎるだろ! それでもR&Bバンドかよ! と思うんですね。マジな話。だって、ストライプスの何がかっちょいいかって、そりゃあ、まずはデビュー曲がカヴァー曲だったこと。だって、そんなバンド、ずっといなかったんだから! しかも、曲はウィリー・ディクソンの“ユー・キャント・ジャッジ・ア・ブック・バイ・ザ・カヴァー”。ウィリー・ディクソンと言えば、ハウリン・ウルフやマディ・ウォーターズの名曲をいくつも生み出した偉大なソングライターにして、ベーシストです。随分と長い間、レッド・ツェッペリンに何曲も自分たちのオリジナルだとクレジットされて、大儲けされて、でも、彼には一銭も入らなかったという、かなり酷い目にあってた人です。そんなウィリー・ディクソンの曲でデビューなんて、最高なんです。つか、R&Bバンドたるもの、「ソングライティングがどうだとか、オリジナルがどうとか、しょっぱいこと言ってんじゃねー、これは俺たちの曲だ!」つて演奏しないとさ。てか、もっと聴きたいよ。

というわけで、ボ・ディドリーがやってる“ユー・キャント・ジャッジ・ア・ブック・バイ・ザ・カヴァー”の映像でも観ておきましょう。勿論、ボ先生も最高なんですが、これと比べれば、いかにストライプスが2013年のバンドなのかがはっきりとわかるというもの。

Bo Diddley / You Can't Judge A Book By The Cover

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というわけで、レーベルの皆さんには申し訳ないけど、現時点でのストライプス、アルバムよりライヴの方が10倍はいいです。なので、今後のストライプスに期待するのは、オリジナル3曲、カヴァー9曲の最高にイカしたジャケットの2ndアルバムを半年後に出す。プロデュースはリック・ルービンで。これでしょ。

つか、この原稿、終始ボケまくりなんだから、字面通りに読んで、頭カリカリさせないように。頼むぜ、おい。だって、ロックンロールにはユーモアが大事。つか、そもそも、「結局のところ、どーでもいいんだよ」っていうのがロックンロールなんだから。あれ、さっき決めごとが大事とか言ってなかった? 矛盾してね? とか言わないでね。てか、99%まで死ぬほど辛気臭く考え続けたあげく、最後の1%でそれまでのすべてをドブに放り投げて、台なしにしてしまうのがロックンロールなんです。世界中のすべてを小馬鹿にして、結局、一番小馬鹿にしてるのが自分自身。っていうのがロックンロールなんです。そんなの、ピート・タウンゼンドのこと知ってる人には、きっと釈迦に説法ですね。まあ、どっちにしろ、ロックンロールを知りつくしてる俺が言うんだから間違いない。てか、俺がロックンロールだから。え、あんた、何さま? 俺さまです。

ご静聴ありがとうございました。こんな悪ふざけだらけのテキストでも、facebookとtwitterのシェア・ボタンの数字がどちらも200越えるようなら、今度はストライプスがライヴでしか演奏してないカヴァー曲の解説とか書いたりするかもです。と、最後まで調子こきっぱなし。だって、ライヴでやってた“アイム・ア・マン”とか、“C・C・ライダー”とか、“バッド・ボーイ”なんて超かっちょよかったもんねー。ここにもちょっとしたさわりがあるので、興味ある人は見て下さい。

というわけで、大好きです、ストライプス! 特にジョシュ!


「30分で教えます。『ストライプスを最高のロックンロール・バンドたらしめる10の条件』part.1」はこちら

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