COVID-19パンデミックやBLMの再燃、更には混迷を極めた米大統領選など、まるで溜まり続けた膿が一気に噴き出すかのように未曽有の出来事が続いた2020年――良くも悪くも人々が様々な変化を強いられた昨年は、ポップ・ミュージックにとってどのような年だったと位置付けられるだろうか?その問いに対する回答として、私たち〈サイン・マガジン〉は年間ベスト・アルバムでひとつのアングルを提示した。
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2020年
年間ベスト・アルバム 50
ただ、パンデミックにしろBLMにしろ米大統領選の混乱の背景にあるものしろ、あまりにも問題の規模が大きく果てしないため、「2020年とはどのような年だったか?」という問いに対する答えは例年以上に多種多様で当然だろう。それは、昨年リリースされた優れた音楽作品がほぼ全て今の状況と意識的に向き合いながらも、それぞれが出した回答は強い確信に満ちているというより手探りに近い感覚であったことと相似形でもある。当たり前のことだが、まだ誰も明確な答えは持っていない。「2020年で最高の音楽とは、一つのメロディを歌うコーラスというより、様々な個性的な声による緊急的な不協和音だと考えた方がいい」と米公共ラジオ局〈NPR〉は2020年を総括していたが、その「様々な個性的な声」一つひとつに耳を傾けていくことが今は大事なのではないだろうか。
それでは、〈サイン・マガジン〉に寄稿しているライターたちはどのように2020年を見ていたのか。それを紹介していくのが、毎年恒例のこの個人ベスト企画だ。選出項目は例年と同じ。①ベスト・アルバム、②ベスト・ソング、③ベスト映画/TVシリーズの3つのうち2項目以上の選出は必須で、どの項目を選ぶかはライター各自に任せている。やはりここでも決して一様ではないライター陣の「様々な個性的な声」にじっくりと耳を傾けてもらいたい。
辰巳JUNKの2020年ベスト
照沼健太の2020年ベスト
荏開津宏の2020年ベスト
萩原麻理の2020年ベスト
木津毅の2020年ベスト
伏見瞬の2020年ベスト
柴那典の2020年ベスト
天野龍太郎の2020年ベスト
渡辺裕也の2020年ベスト
小林雅明の2020年ベスト
宇野維正の2020年ベスト