SIGN OF THE DAY

〈エレクトラグライド〉開催目前!
タイムテーブル順に追っていく、見どころ、
聴きどころ、踊りどころ!  part.1
by SOICHIRO TANAKA
YOSHIHARU KOBAYASHI
November 15, 2013
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〈エレクトラグライド〉開催目前!<br />
タイムテーブル順に追っていく、見どころ、<br />
聴きどころ、踊りどころ!  part.1

田中「小林くん、エレクトラグライド行くの?」

小林「そりゃあ、行くに決まってるじゃないですか。だって、サイン・マガジン的にはこんな風にエレクトラグライドを盛り上げるための記事まで作ってるわけだし。当然ですよ」

田中「嫌だなー、その業界人メンタリティ。義務として行く、みたいな。ホントに楽しみにしてんのかよ。しかも、チケット買わずに主催者から招待されるんでしょ。汚ねーな、おい」

小林「何ですか、それ! 『楽屋とか、どこにでも入れるAAAパスもらえないなら、しんどいから、俺、行かないわ』とか言ってたクズ業界人がどの面下げて、言ってんですか!」

田中「身体悪いんだもん。でも、やっぱ普通のリスナー感覚はなくしちゃいけないと思うんだよね。実際、チケット代、高くない?」

小林「ああー」

田中「だって、前売り8800円だよ。当日は9800円」

小林「まあ、そのお金があれば、CD3、4枚買えますよね」

田中「冷静に考えてみなよ。この金でAKB48のシングル買えば、こじまこと何回握手出来ると思う?」

小林「え、こじまこ? こじはるじゃなくて」

田中「ユニクロに行きゃあ、Tシャツ10枚買えるわけだよ」

小林「まあ、キース・へリングやバスキアのアートがTシャツになって、1000円しない時代ですからね」

田中「あんなの買わねーっつの。もっといい素材使って、日本で縫製して、もっと高い値段つけろってんだ」

小林「まあ、でも、確かに、沖縄旅行するのに、うまくチケット取れば、往復の飛行機代が2000円だの、3000円だののご時世ですからね。でも、なんでそんなお金の話ばかりしてんですか。珍しい」

田中「だって、サインマグ始めて一ヶ月、この間の売上げ3000円ですよ。読者の皆がAmazonやiTunesで買ってくれたアフィリエイト代金のみの収入ですよ。正直、かつかつなんだから」

小林「てか、今のところ、サイトの立ち上げ費用すべて持ち出しですからね」

田中「でも、『ぽーんと50万ほど出して、エレクトラグライドの広告バナー出してちょうだい』つても相手にされないっていうかさ」

小林「やめて下さいよ、そういう裏の話は!」

田中「だから、サインマグの今後のすべては、今日の小林くんの話にかかってるってことを強調したいわけですよ」

小林「いきなり責任放棄ですか」

田中「俺は2年ほど遊びほうけてて、音楽業界からも遠ざかってたから、すっかり感覚が普通のリスナーっぽくなってるわけ。で、そこから考えると、このチケット代が高いのか、安いのか、正直、わかんないんだよね。それで今日は、小林編集長様に今年のエレクトラグライドの魅力と共に、それがいかにリーズナブルな価格設定なのかをご教授いただこうと思っております。だから、俺は聞き役。読者の立場に立とうと思います。楽だし」

小林「なんだかなー」

田中「ほら、小林くん、口から生まれた俺と違って、プレゼン下手なんだから、さくさく始める!」


▶▶▶20:30 NOSAJ THINGx真鍋大度x堀井哲史x比嘉了

小林「じゃあ、20時半から行きましょう。今回の一発目はいきなりスペシャル・コラボものですね。ノサッジ・シングは〈ロウ・エンド・セオリー〉周りのトラック・メイカーで、真鍋大度は最近話題のパフュームのライヴ演出や映像制作でも知られる世界的なメディア・アート/映像作家。真鍋と比嘉了はノサッジの“エクリプス/ブルー”という曲のPVを手掛けているんですけど、実際にライヴで共演してオーディオ・ヴィジュアル・パフォーマンスを披露するのは、これが初めてということです」

田中「えらく説明的な説明ですね」

小林「うるさいなー。じゃあ、まずはどんな感じになりそうなのかを掴んでもらうために、PVを見てもらいたいと思います」


田中「いいですね。エレクトラグライドにも合ってるし」

小林「ですよね。このPVの曲も収録されている最新作の『ホーム』は、メランコリックで内省的な雰囲気が強いから、フロアでガンガン盛り上がるよりも、じっくりと聴き込むのに合っている感じでした。なので、今回のライヴも見せる/聴かせることで、『おー、すごい!』と言わせるようなものになるんじゃないですかね。トップ・クラスの映像作家たちを巻き込んだパフォーマンスの世界初披露でもありますから」

田中「一番手で、イヴェント全体のウォームアップ的な意味合いになっちゃうのが残念なくらい」

小林「最近、大会場では猫も杓子もオーディオ・ヴィジュアルといった感じですけど、その中でも今回は他とは一線を画するクオリティのものを見せてくれるんじゃないですかね」

田中「小林くんだったら、これ、いくら出す?」

小林「ちょ、ちょっとー。いきなりアーティストつかまえて、『これ、いくら?』とか、失礼すぎますよ」

田中「いや、演技だって。俺は、今、流行りの“賢い消費者”ってやつの立場になって言ってんですよ。ファスト・ファッション買って、『俺、賢いなー』つってる、自分さえ良ければ、世の中がどうなってもいい的な馬鹿者どもの立場からすりゃ、そんなもんですよ、アートなんて」

小林「大層な御託はいいです」

田中「で、そんな馬鹿でも、『なるほど、正しいお金の使い方というのは、つまり、エレクトラグライドに行くことなのか!』って風に納得させるのが、今回の君のミッションでしょう」

小林「いや、さすがにサイン・マガジン見てくれてる人に、そんな人いないでしょ」

田中「でも、敢えて難癖つけさせてもらうとさ、彼らのパフォーマンスって、今回のシチュエーションがベストだと思う?」

小林「まあ、理想的なシチュエーションは、クラブとか、ライヴ・ハウスよりも、例えば、東京国際フォーラムみたいな椅子席の会場で、じっくりと長時間鑑賞するという感じだと思います」

田中「だよね。だったら、いくら出す?」

小林「4000円くらい。でも、今回はトップ・バッターで時間は理想の半分くらいだし、環境もだいぶ違うので、1000円とか?」

田中「ひどいな、君。アートに値段をつけるのか?」

小林「はあ? タナソーさんの話に乗っただけじゃないですか!」

田中「ホントありえないよ、今どきの賢い消費者ってやつは」


▶▶▶21:15 FACTORY FLOOR

田中「じゃあ、お次は人気者、ファクトリー・フロア」

小林「あまり説明も不要でしょうけど、彼らはいわゆるポスト・インダストリアルの流れにバンド文脈から一番共鳴しているアーティストですね。最初はダークウェイヴとも括られていて、イースト・ロンドンのゴシックでインダストリアルなバンドの一派という感じでしたけど、その中から頭ひとつ飛び抜けて、今じゃちょっと旬なバンドになっていますよね」

田中「まあ、『今、観とかないと』っていう意味じゃ、今回のタイミングはベストかもしれない」

小林「スロッビング・グリッスルのクリス・カーターとコージー・ファニ・トゥッティ、ニュー・オーダーのスティーヴン・モリス、それにマーク・スチュアートとか、ポスト・パンク/ニューウェイヴ世代の大物からも気に入られまくってます」

田中「去年のフジにも来てたんだよね。すごい評判良かったって聞いたけど」

小林「レッドマーキーの深夜に出てたんですよ。でも、僕、見逃しちゃって。でも、今回はちゃんと観てみたい。あの冷徹なインダストリアル・ビートを爆音で浴びたら、かなり気持ちよさそうですし。エレグラ全体としては、ここから一気に会場のテンションが上がって、前半の山が作られていく感じじゃないでしょうか」

田中「うん、異論なしです。じゃあ、1曲観ときましょう」


田中「いいね。ただ、賢い消費者という立場上、敢えて難癖つけるなら、もっと深い時間で観たいかも」

小林「面倒くさいなー。ホントその賢い消費者って言葉、嫌いなんですね、タナソーさん。でも、確かに、アンディ・ストットとか、デムダイク・ステア、もしくはファック・ボタンズみたいなタイプのアーティストでもいいんですけど、そういったアクトとの共演でかなり深い時間に観たい音ではありますね。それだったらクラブでは高めの4500円くらいでも出します。でも、今回は早めの時間で一組だけの値段と考えると、2000円くらいでしょうか」

田中「さすが賢い消費者、お金には厳しいね」

小林「無理やり言わせてるのは誰なんですか! ファクトリー・フロアはライヴ・ハウスでの単独公演でも喜んでいきますよ」

田中「じゃあ、ボイラー・ルームでの50分くらいのライヴ映像があるので、これも貼っときましょう。時間のある時に、予習として観てもらうには最適なんじゃないでしょうか。でも、これ観ると、賢い消費者としては、やっぱもっと深い時間帯で観たいよなー」

小林「しつこいなー、もう」


▶▶▶22:15 MACHINEDRUM

田中「じゃあ、オープン/スタートから約2時間後。お次はマシーンドラムです。まあ、この流れ、外しはないですね」

小林「彼って、元々はプレフューズ以降のIDM/ヒップホップをやっていた人ですけど、ある時期にベース・ミュージックに転身して、最近はジュークとドラムンベースのハイブリットを軸としている。ベース・ミュージックに目覚めてからずっと好調だし、最新作の『ヴェイパー・シティ』もよかったんで、今回も期待できそうです。なので、まずは1曲」


小林「ちなみに、『ヴェイパー・シティ』って、彼が一年間に渡って夢に見続けた架空の街をサウンドで表現するっていうコンセプトなんですよ。収録曲はそれぞれ街の一区画を描写したもので、PVもヴェイパー・シティの様子を映像化している。で、これから一年以上かけて全曲分のPVを作ってヴェイパー・シティを完成させる、っていうアイデアを公式サイトで展開しているんですが、最近はそれくらい偏執的で、ちょっとエキセントリックな方向に振れている人なので、そのヤバさが今回のステージでも滲み出てると嬉しいなっていう」

田中「小林くん、もう彼のライヴは観てるんでしょ?」

小林「観てます。去年タイコクラブに行って、ガンガン頭振りながらbpm150越えのトラックで飛ばしまくってるヤバい奴がいるなー、と思ったら、彼だったんですよね。そん時の映像もあるんで、それも観てもらいますか」


田中「黒のタンクトップ、やばいね。しかも、腹出てるし」

小林「そこですか? ホント腹については厳しいなー」

田中「やっぱり50になっても腹筋六つにしっかり割ってる人間としてはね。やっぱ身体鍛えてないと、ジュークとか本気で踊れないじゃんか。しかも、俺の場合、90年代後半に毎週のようにドラムンベース踊りまくってたからさ。小林くんにも、俺の超絶フットワーク見せてやるよ、当日は。踊りには自信あるんだ」

小林「いいです。あと今年のエレグラは、マシーンドラムに始まって、しばらくベース・ミュージックの流れが続くっていうタイムテーブルでもありますよね。だから、ファクトリー・フロアの勢いを引き継いで、さらにブチ上げていく感じになると思います」

田中「実際、マシーンドラムが終わる頃には、かなり踊り疲れて、そろそろ家に帰りたくなるだろうな。多分、無理だわ、俺」

小林「体力ないじゃないですか! しかも、まだ23時すぎだし」

田中「でもさ、普段、パーティ遊びに行く時、こんな早い時間から行ったりする?」

小林「まあ、普通のパーティだったら、絶対まだ会場入りしてないと思います。でも、逆に、その段階でここまでの面子を揃えてくるっていうのは、素直に豪華だなあと。普通にこの三組だけでも十分にパーティが成立してしまいますからね」

田中「ここまで観て、終電で帰っても、モトが取れる、と。さすがプレゼン下手だけあって、無理がありますね」

業界人「いやいや、本音だし」

田中「まあ、小林くんの場合、俺と違って、筋肉も体力もないだろうから、当日はこの辺りでリタイアする感じかな」

小林「そんなこと、あるわけないじゃないですか。そもそも僕はフロアではbpm速いのを聴くのはそこまで好きじゃないのもあるし、タナソーさんと違って、むしろここからっていうか」

金の亡者「じゃあ、マシーンドラムにいくら払う?」

小林「またお金ですかあ。う〜ん、マシーンドラムだったら、トラックスマンとかDJラシャッドといったジュークの人か、新作で影響を受けたというドラムンベースのブリッジ辺りとの共演だったら興味をそそられるかも。その場合、パーティだから3000円くらいですけど、一人の値段だから1000円とか?」

田中「なるほど。ここまで3アクト合わせて、4000円か。まだチケット代の半分行かないね。マズいね、エレクトラグライド」

小林「ちょっとー。でも、僕は新作の世界観は結構好きなので、その分、上乗せして1500円くらい」

田中「せこいな」

小林「でも、今年のエレグラは出演者の数を昨年よりも絞っていますけど、本当に少数精鋭というか、無駄がないラインナップになっているのではないでしょうか」

田中「う〜ん、ちょっと業界人トーク入ってる気がするなー」

小林「タナソーさん、主催者からAAAパスもらいたいんでしょ?」

田中「いや、正直な話、俺、思うんだけどさ、これでチケット8800円とか、安すぎるでしょ? ヤバいでしょ。いやあ、迷わず、皆で行こうぜ、エレクトラグライド!」

小林「というわけで、後日アップ予定のパート2に続きまーす」



「〈エレクトラグライド〉開催目前! タイムテーブル順に追っていく、見どころ、 聴きどころ、踊りどころ! part.2」はこちら

「〈エレクトラグライド〉開催目前! タイムテーブル順に追っていく、見どころ、 聴きどころ、踊りどころ! part.3」はこちら

electraglide 2013

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