やっぱり、ディスクロージャーを筆頭とする新世代ハウス・ミュージックの潮流や、それと緩やかに共振しているインディR&Bの勢いはすごいんだなあ、と改めて感心することしきり。既にイギリスではアリーナ級の会場を埋め尽くす人気のディスクロージャーは、メアリー・J.ブライジの最新作に参加しているだけでなく、マドンナとコラボしているという噂もある。そして、先日発表されたFKAツイッグスの来日公演は、ほぼ発売と同時にソールドアウト。この一年で状況は驚くほどに加速している。と言っていいんじゃないでしょうか。
ここまで大きなうねりになってくると、シーンに有望な新人が続出するに留まらず、思いも寄らぬ大物やベテランの参入も増えてきたり。過去10年の事例を振り返ると、たとえばロックンロール・リヴァイヴァルに感化されたU2とか、エレクトロに対抗したプロディジーとか。要するに、ジャンルや地域という横軸ばかりでなく、世代という縦軸のクロスオーヴァーも起こり始めるということです。これは健全だし、なによりエキサイティングだと思うんですよね。
アクアラングことマット・ヘールズの新作『テン・フューチャーズ』は、新世代ハウスやインディR&B全盛期における、世代間のクロスオーヴァーを象徴する作品になるかもしれません。と言ったら、意外に思う人も少なくないでしょう。それもそのはず。そもそも彼は、2000年代初頭にコールドプレイやキーンを髣髴とさせる美麗なピアノ・バラードで人気を博したアーティスト。あまりに最近の流行とはかけ離れてるじゃないか。と感じるのが当たり前。
でも、だまされたと思って、まずは『テン・フューチャーズ』からの1stシングル“テープ・2・テープ”を聴いてみてください。サム・スミスやクワブスともライヴ共演経験のある新鋭ソウル・シンガー、ジョエル・コンパスをフィーチャーしたこの曲には、かなり驚かされるはず。
マット曰く、こういった現代的なR&Bサウンドへと思い切って舵を切ったのは、ディスクロージャーの“ラッチ”に打ちのめされたからだとか。なるほど、それも納得の仕上がり。カセットテープの動作音をサンプリングして組み立てたビート、抑制の効いたジョエルのセクシーな歌声、後半の一気に畳み掛ける展開と、どれもバッチリはまっています。
そして、アルバムからの2ndシングルである“エッグシェルズ”は、なんとディスクロージャーとのコラボ・トラック! 実はディスクロージャーの二人は、尊敬するソングライターとしてマットの名前を挙げるほどの大ファン(他に名前を挙げているのは、スティーヴィ・ワンダー、ディアンジェロ、ピーター・ガブリエル、ケイト・ブッシュといった錚々たる面子)。
そんなわけで実現したと思しきこのコラボ・トラックは、マットがプロデュースを手掛けたデビュー・アルバムでマーキュリー賞にノミネートされたリアン・ラ・ハヴァスとのデュエットによる、しっとりとしたR&B/ソウル・バラードです。
うん、これまたお見事。このレヴェルの曲が並ぶなら、アクアラングの新世代ハウス/インディR&Bへの冒険となるだろうアルバムは、かなり期待していいはず。少なくとも、コールドプレイがEDMに擦り寄った曲の100倍は興奮させられるものになってるんじゃないでしょうか。当たり前か。
『テン・フューチャーズ』には、上記のアーティストたちのほか、ソンやミッキー・エッコなど、「おっ!」と思わせるゲストが多数参加。従来のスタイルに終止符を打ち、胸の内に感じる興奮を信じて時代の先端へとダイヴしてみせたアクアラングの挑戦は、いかなる実を結ぶのか。その答えが明らかになるまで、もうすぐ! です。
*追記(2015/2/11 21:25): “エグッシェルズ”のボー・ニンゲン・リミックスが公開!
世界的なEDM全盛期に、幾つものアクトが
「脱EDM」的なサウンドを模索する中、
アクアラング5年ぶりのカムバック作が
一歩抜きん出ているその理由、わかります?
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