SIGN OF THE DAY

キャリア20年のサヴァイヴァー、アッシュの
辛口批評家ティム・ウィーラーに訊く、
2010年代ポップ・シーンの見取り図。前編
by SOICHIRO TANAKA March 11, 2016
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キャリア20年のサヴァイヴァー、アッシュの<br />
辛口批評家ティム・ウィーラーに訊く、<br />
2010年代ポップ・シーンの見取り図。前編

90年代初頭から一度の活動休止もなく、現在もコンスタントに活動を続けている唯一の欧州バンドと言えば、本稿の主人公アッシュにほかならない。勿論、今も解散せずにいる同時期のバンドにはシャーラタンズやオーシャン・カラー・シーンもいるにはいる。だが、途中加入のシャーロット・ハザレイの脱退があったとは言え、オリジナル・メンバー3人がずっと一枚岩なバンドとなると、本当に彼らアッシュしかいない。この事実は改めて指摘しておくべきだろう。

勿論、現在のアッシュは2001年の3rdアルバム『フリー・オール・エンジェルズ』が全世界で300万枚という破格のセールスを記録した全盛期の勢いはない。だが、9年前、ティムとマークがNYに移住してからの彼らはウータン・クランの持ち物だったスタジオを所有、当初は自らのレーベルを立ち上げるなど、活動の基盤を固め、2012年のウィーザーとのツアーを含め、欧州とアメリカを中心に全世界で精力的にツアーを続けている。

ただ、ポップ音楽に関する情報発信の中心が全世界的にネットに移行する中、日本語インターネットの世界は完全にそこから取り残されてしまい、情報の段階でポップ音楽のガラパゴス化がさらに加速しつつある今現在、テイラー・スウィフト、アリアナ・グランデに代表されるメガ・レベルのポップ・アクトや一部のインディ・バンドのように日本の所属レーベルからの積極的な発信がなければ、(日本語では)そうした情報はほとんど伝わってこない。

実際、海外アクトの来日についても、かつて言われた名古屋飛ばしどころか、「日本飛ばし」がごく当たり前となりつつある今、ここ日本からは現在のアッシュの活動の全貌はかなり見えにい状態にある。だが、現在の彼らアッシュは、NY~ロンドン間の物理的な距離の近さを利用しながら、欧州とアメリカを股にかけ、以前にも増して勢力的に活動を続けている。

詳しくは以下の対話に譲るが、マンハッタン内にあるスタジオを拠点に東海岸のインディ・バンドとの交友を深め、彼らのスタジオを利用するメインストリーム・バンドの動向を脇から眺めながら、ティム・ウィーラー個人はスコア音楽のソングライターとしてハリウッド映画にも進出するなど、バンド以外の活動も活発化させている。ある意味、現在の彼らは、欧米のメインストリームとアンダーグラウンドに対して、もっとも適切な距離から全体を俯瞰出来る場所にいるのだ。

そこで、今回、来たる2016年3月にようやく実現する日本での単独ツアーを期に、我々〈サインマグ〉は三つの企画を用意した。

①この20年間のポップ・シーンの動向を内側と外側から見つめ続け、常に適切かつ辛口な批評家であり続けたティム・ウィーラーに現在のポップ・シーン全体の動向について語ってもらう。これが本稿の主旨。

この記事に続くのが、②彼らのすべてのレパートリーから〈サインマグ〉編集部が「アッシュ究極の10曲」と「アッシュ裏ベスト10曲」をピックアップ。その20曲について語ってもらいながら、彼ら20年の歴史を俯瞰する。

そして、③twitter上で2つのアンケートを実施。彼らの代表曲4曲、普段あまりライヴでは演奏されない4曲から、皆さん読者に7日の間、それぞれ1曲を投票してもらい、それぞれのトップ曲は必ず今回の来日公演で演奏してもらうという企画だ。

Ash Japan Tour 2016詳細

Ash / Free

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>>>アンケートは終了しました。

「アッシュ究極のベスト・ソング」のアンケート結果はこちら。

「普段あまりライヴでは演奏されない、アッシュの隠れた名曲」のアンケート結果はこちら。

*投票期間:2016年3月11日(金)21:00〜2016年3月18日(金)20:59(予定)
*投票に参加するにはツイッター・アカウントを取得する必要があります。
*投票は1人1回までです。

おそらく①と②の記事を併せて読んでもらえば、あるひとつの視点から見たこの20年のポップ・シーンの動向が浮かび上がると同時に、何故アッシュというバンドだけがサヴァイヴァーたりえたのか、という理由も伝わることと思う。この20年間、常に覚めた批評眼を持ち続け、だが決して状況におもねることなく、その時々の自らのバンドのアイデンティティを模索し続け、誰にも書けないポップ・ソングを書き続けた。あまり語られることの少ない、そうした彼らの偉大さの一端が伝わったのなら、本稿はその役割を果たしたことになる。




●あなたが故郷のアイルランドから離れ、ロンドンに移住後、NYに移ってから、もう9年くらい経つんでしたっけ?

「そうだね。もうすぐ10年」

●今、あなた自身のアイデンティティは、どの街に帰属していると感じますか?

「うーん……やっぱり僕の中で大きいのはアイルランドとロンドンかな。でもNYに住むのも、この街が与えてくれるエナジーも大好きなんだ。ただ今でもロンドンにはよく帰るし、愛着もある。ロンドンでの生活は本当に楽しかったからね。でも、故郷って呼ぶのはやっぱりアイルランドだね」

●離れて暮らすことで、アイルランド、イングランドそれぞれの国家や文化について新たな発見があれば、教えて下さい。

「特にイングランドって、文化において人がより真剣(intense)っていうか。UKでは音楽やアートや本に対して、みんなすごく関心を持ってる。勿論、NYの人たちにもそういう部分があるんだけど、UKほど取り憑かれてないっていうか(笑)。新しいものに誰もが夢中になるグレイトな瞬間っていうのがUKにはあるんだけど、アメリカではそれが広がっていくのにすごく時間がかかるんだ。でも僕は、UKのそういう強烈なところが好きんだよ。アイルランドにもそういうところがあるしね」

●アッシュの一員としてUKの音楽シーンで活動することは、ロンドン中心のクレイジーなコミュニティに属することを意味していたと思うんだけど、当時の生活と比べ、今のあなた自身の生活はどんな風に様変わりしたんでしょうか?

「ある意味、生活自体もリラックスしたね(笑)。やっぱり一番の違いは、当時はロンドンの強烈な音楽カルチャーの中で暮らしてたってこと。でも、NYの僕はあれに似たシーンの一部っていうほどじゃないから。それに僕ら、前ほど遊びまわってないしね(笑)。それでもNYで楽しんではいるよ。今は夜遊びっていうより、キックボクシングをよくやってるんだ。だから、スタジオで長い時間過ごして、気分転換にキックボクシングやる感じ(笑)」

●例えば、あなたがNYに移住した前後は、世界中からブルックリンのインディ・シーンに注目が集まっていたわけですが、あなた自身は当時のそうしたシーンの動きをどんな風に見ていたんでしょう?

「すごくクールだと思ってた。エキサイティングな音楽シーンの近くにいるのはいい感じだったね。スタジオがたくさんあったり、小さくてクールなヴェニューやDIYヴェニューがあちこちにあって。ただこの10年でNYもブルックリンも地価が高騰してさ。ウィリアムズバーグにあった小さくて面白いヴェニューが閉鎖になったり、他に移っていったんだよね。だから、音楽シーン自体もより外側ーーブッシュウィックみたいな場所に移っていった。ただ僕は当時からマンハッタンにいることの方が多かったんだ。イーストヴィレッジとか、ロウワー・イーストサイドとか。今はブルックリンのグリーンポイントに住んでるんだけど、僕にとってはやっぱりイーストヴィレッジとか、イーストサイドがロマンティックなNYなんだよ。僕が最初にNYに足を踏み入れた90年代半ばに一番クールな場所だったから」

●今のアメリカのメインストリームは基本的にヒップホップ/R&Bとポップが中心ですよね。例えば、ケンドリック・ラマー、フューチャー、カニエ・ウェスト、リアーナといった作家はそれぞれあなたにはどんな風に映る存在なのか、教えて下さい。

「うーん、基本的にはケンドリック・ラマーしかちゃんと聴いてないんだけど。やっぱり彼は取り扱ってるテーマがクールだと思う。それがすごく今っぽいし、興味深いことをやってる。フューチャーは聴いたことないからコメントできないな。カニエ・ウェストは、才能があるのはよくわかるんだけど、なんかもう騒ぐことのほうが多いっていうか(笑)。あの彼のライフスタイルのせいで、かなり音楽としてまともに受け止めるのが難しくなってきてる。だから、ここ何年かは、前ほどちゃんとチェックしてないんだ。以前の作品はクールなんだけどね。なんていうか、やることが傲慢に映るっていうか」

●ただ彼のやってることって、ちょっとパフォーマンス・アートみたいなところもある気がするけど。

「ああ、わかる。ただそれが僕にはさすがにちょっとトゥー・マッチになってるっていうか」

●じゃあ、この5年ほどの間の音楽シーンで起こった中で、あなたが個人として、音楽家として、もっともインスパイアされた動きやジャンル、作家と、その理由について教えて下さい。

「最近はシガー・ロスを聴きこんでるんだ。最初の頃から全部聴き直してて。すごくグレイトだと思う。独自のスタイルがあって、他とは違うことをやってきてる」

Sigur Rós / Svefn-g-englar (live at DCODE Festival Madrid 2012)

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「シガー・ロスは何度かライヴも観たんだけど、ホント素晴らしくて。彼らの音楽って、メロディックでもあって、僕はメロディが大好きだから、すごくインスパイアされる。あとロックンロール・アクトで言えば、タイ・セガールが好きかな」

Ty Segall / Thank God For Sinners

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「この週末にNYでライヴを観たんだけど、ギターが最高でさ。ソングライターとしてもすごいと思う。多分、僕が好きなのは『自分は臆病で不安なんだ』ってことを言うのを怖がらない人なんだ。今のカニエ・ウェストなんかとは正反対な人たちっていうか。彼なんて絶対に不安なのに、そうじゃないふりをしてる気がするから(笑)」

●あなたも知っての通り、あなたの友人でもあるコールドプレイのことが僕はとても苦手です。ところが、ここ数年はもはや完全に興味さえなくなってしまった。ただあなた自身は、コールドプレイがここ二作品で、メインストリームのプロデューサーやゲストを迎えたりという戦略/方向性、そして、その成果としての作品の内容をどんな風に見ているか教えて下さい。

「もう以前ほどは親しくないんだよね。コールドプレイって人としては本当にすごくいい人たちなんだけど、音楽的にはーー特にここ三枚くらいは『ん?』って感じ。かなり極端にメインストリームに振り切っちゃった曲もあるし。なんかメインストリームな人たちとやるために、ちょっと水増ししてるっていうか。いくつかの曲からは、もう以前とは全然違うアーティストだってことがわかるしね」

Coldplay / A Sky Full Of Stars

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「ただ、例えば……“ア・スカイ・フル・オブ・スターズ”ではアヴィーチーと組んだだろ? 出た当時、僕はすごくチージーだと思ったんだ。『えらく安っぽいやつと組んだな』って(笑)。でもよく聴くと、部分的にはすごくいい曲だったりする。それと同じで、他の曲もアルバムも最初は『最悪じゃん』って思うんだけど、よく聴くと『思ってたほど悪くないな』っていう風になるんだよね(笑)。でも、多分、今の彼らにとってはメインストリームの成功が何よりも重要なんだよ。だから、そこでロック・バンドとして生き抜くために必要なことをやってる。悪いことじゃない。でも、それは彼らのあり方を完全に変えてしまうことを意味してる。トレンドも追わなきゃいけないだろうしね。まあ、必ずしも面白いトレンドじゃないんだけど(笑)」

●フー・ファイターズみたいに真っ当なロックの興奮を追求し、ロック・バンドとしてのアイデンティティを失わずにいるバンドもいるにはいるけど、今のロック・バンドというのは、マルーン5辺りから所謂ボーイ・バンドと区別がつかなくなってきました。そうした状況をどんな風に見てますか?

「今はある種のプロダクション・スタイル、サウンドがなきゃいけないんだろうね。バンドが取り上げられるためには、ブルーノ・マーズみたいなサウンドとそんなにかけ離れてない音にしなきゃいけない。そこは安全に行かなきゃいけない。それってロック・バンドにとっては最悪なことなんだけど(笑)。でも最近は、ちょっとでもラジオで曲を流して欲しいなら、ああいうサウンドはマストなんじゃないかな」

●実際、マルーン5にしろ、ウォーク・ザ・ムーンにしろ、フォール・アウト・ボーイにしろ、レコードの作り方は効率的な分業制によって作られていて、ロック・バンドというよりはポップやR&Bに近い作り方ですよね。そんな中、あなたが興味をそそられたレコードがあれば、その理由と一緒に教えて下さい。

「実は、フォール・アウト・ボーイのこの前のアルバムは僕らのスタジオでミキシングされてるんだ」

Fall Out Boy / Irresistible feat. Demi Lovato

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「ただ、僕自身はホントもうああいうサウンドとは正反対の方向に進んでるから。とにかくすべてをリアルなサウンドにしたいんだよね。例えば、ソロ・アルバムでは、聞こえる楽器は全部アナログ楽器にしたかった。勿論、レコーディングではコンピュータに録音したけど、デジタル楽器は使ってないんだよ」

Tim Wheeler / First Sign Of Spring

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「まあ、このスタジオの中を見たら、こんだけキーボードに囲まれてるから、『おい、嘘だろ』って思われるかもしれないけど(と、周りの棚を見せると、キーボードや機材だらけ)。でも、ソロでは全部確かな感触とテクスチャーのある、僕の手が弾いた音にしたかったんだ。勿論、アッシュではデジタル的なものでかなり実験してきたんだけど。特に『A-Z』の時期はそうだった。でも、アッシュも今は、僕らがライヴでやるのに近いサウンドになってる。最近はずっと、ロックンロールなフィーリングを取り戻すっていうのを考えてて」

●まあ、俺からすると、ウォーク・ザ・ムーンの“シャット・アップ・アンド・ダンス”が聴こえてきたりすると、「お前らこそ、だまって、どこかに失せろ」っていう気分になったりする。

「はははは! その通り(笑)」

Walk The Moon / Shut Up and Dance

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●彼らの曲を聴くくらいなら、断然、テイラー・スウィフトやアリアナ・グランデを聴くね、と思っちゃうんだけど。

「だよね。ロック・バンドはロック・バンドであるべきだと思う。僕もポップなものを聴くんだったら、ポップ・アーティストを聴く。君の意見には、心から賛成(笑)」

●2012年にウィーザーと一緒にツアーした時は、この15年の間のシーンの移り変わりについて彼らと何か話しましたか?

「まあ、ちょっとは話したかな? ただ人ってそんなもんだと思うんだけど、昔を振り返って『自分たちはもっとこんな風だった』って言う代わりに、『最近はこうだから』って話になる。恥ずべきことかもしれないけど、状況に対してはどうにもできないっていうか、移り変わりを自分たちでどうこうはできないよね? できるのは自分たちを変えること、もしくは、自分たちでありつづけることだけだから」

●ここ5年の間で、僕自身の興味はメインストリームのヒップホップ/R&Bとアンダーグラウンドなインディ・ロックの両側に移っていったのもあって、リヴァースとは随分長い間、話していないんですよ。彼はこの15年の間で、どんな風に変わったとあなたは感じましたか?

「一時期のウィーザーはメインストリームの成功を重視しすぎて、そのせいでかなり変わったんだけど、多分、リヴァースは行きすぎたことに気づいて、それでまたアプローチを変えたんじゃないかな。だから、ある意味、ブルー・アルバムや『ピンカートン』の頃に戻ってきたし、ここ最近の二枚にはすごくクールな瞬間があると思う」

Weezer / L.A. Girlz

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「実はウィーザーも僕らのスタジオで次のアルバムをミキシングしたんだよね。だから、ちょっと『ピンカートン』の頃のサウンドに戻ってる気がする。だから、きっと面白いアルバムになるよ。まあ、リヴァースの歌詞がチージーになりすぎない限り(笑)、グレイトなアルバムになる可能性がある」

●今もあなたたちアッシュが彼らと何かしらシェアしているものがあるとすれば、それは何だと思いますか?

「なるほど。僕に言えることがあるとすると……僕、あの曲が好きなんだ。ベスト・コーストとやった“ゴー・アウェイ”」

●ああ、あの曲には50~60年代のロイ・オービソンとか、全盛期のビーチ・ボーイズとか、アッシュの“ワイルド・サーフ”みたいな曲と共通するフィーリングがあるよね。

Weezer / Go Away feat. Bethany Cosentino

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「それにあのアルバム(『エヴリシング・ウィル・ビー・オールライト・イン・ジ・エンド』)の最後のインストゥルメンタル・トラックもすごくクールだと思った。僕にとっては、最近のウィーザーのアルバムには数曲グレイトな曲があるって感じ。でも、いくつか埋め曲って感じの曲もあるんだよね(笑)」

●あなたが住んでるのは東海岸だから、あまり実感はないと思うんですが、以前、U2のボノが言ってたのが、アイリッシュというのは白人の中の黒人なんだ、と。で、彼らの多くが警官になって、アフロ・アメリカンに暴行したりしてる、と。こうした状況をやはりアイリッシュであるあなた自身はどういう風に感じていますか?

「アメリカにいるアイルランド人って大人気なんだよ(笑)。みんな、僕の訛りについてなんか言ってくるし。うん、だから……ボノがそういうこと言うのはいつだってクールだけど、よく考えると、今じゃもうアイルランドは先進国の一つだし、もう昔の状況からはかなり遠くまで来たんじゃないかな。あと、アッシュは北アイルランド出身だから、北アイルランドの政治状況もあって、僕らには自治主義的になるのも、ユニオニスト的になるのも難しかった。うん、どう言えばいいのかな……自分たちのアイデンティティに対してガチガチになってしまうと、観客の半分を遠ざけてしまうことになるから。北アイルランドでは、逆に意識的であることのほうが難しかったと思う」

●では、U2が例のiTunesに勝手に新作がダウンロードされてしまうという戦略を取って以降、特に若い世代から求心力を失ってしまったことについて、あなたの所感を教えて下さい。

「あれはひどい戦略だったよね。やりすぎちゃった(笑)。ただ思うのは、チャートに食い込もうとすることって、別に悪いことでもなんでもなくて、ロック・バンドだったらそういう野心を持って、『みんなに聴いてもらいたい』って思うのは当たり前の話なんだよ。ただ、ただそれをコンピュータ企業と組んでやろうっていうのはやっぱりちょっとね(笑)。今はそういうことが叩かれちゃうような時代でもあるし。インターネットにはあらゆる情報が溢れてて、ラジオは以前ほど影響力がないし、大体ロックはもうラジオではほとんど流れない。だから、U2としては自分たちの力が届くかぎりでやれることをやったわけだけど、それが裏目に出ちゃったんだ(笑)」

●アイルランドからの代表的なアーティストと言えば、乱暴に言うなら、まずはヴァン・モリソン、シン・リジィ、アンダートーンズ、U2、そして、アッシュとも言えるわけだけど、この5つの作家に共通するものがあるとすれば、何だと思いますか?

「面白い質問だね。シン・リジィとU2にとっては、グレイトなライヴをやるのがすごく重要なんだ。エナジーを持って、観客とつながることがね。僕はヴァン・モリソンのストーリーテリングが好き」

Van Morrison / Brown Eyed Girl (live 1973)

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「アンダートーンズは、多分、パンク・ポップ的な感性がアッシュと似てる気がする。でもやっぱり全部に共通してるのは、ソング・ベースであることと、メロディックであることじゃないかな。シン・リジィだってハードなロック・バンドでありながら、メロディックな曲をやってたわけだし。アイルランド人はメロディを愛してるんだよ。うん、君が挙げた人たちとアッシュが並べられるのは嬉しいな(笑)。僕らにとっては、一番グレイトなのはヴァン・モリソンだけどね」


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