ありがたいことに（本当に）、アップル・ミュージックの時代になってもフィジカルのサンプル盤を送ってくださる各レコード会社。その何倍もの数が送られてくる新作映画のDVDの山。日中、週に4、5本の試写に行くのは仕事や義務だけではなくまだ純粋な楽しみでもあるわけだけど、夜は子供と一緒に風呂に入って今日一日あったことの話を聞きたいからライヴやクラブには足が遠のいたまま。子供が寝た後？ あぁ、なんということだろう！ 2015年、ネットフリックスとアマゾン・プライム・ヴィデオと光回線で繋がった自宅の有機EL65インチ4Kテレビは、死ぬまでに絶対消化しきれない良質なエンターテインメントを無限に供給し続けるようになった。人間の欲求には身体と時間という限界がある。東京から離れた海沿いの街に、何も郵送物が送られてこない、何の回線とも繋がってない、もちろんWiFiも飛んでいない、シェルター（部屋）を借りた。2015年の年の瀬の話だ。
「自分が何を聴き逃しているのか？」について思いを巡らすことにほとんど意味がなくなってしまったこの時代に、それでも身体が欲してしまうのは、どうしても即効性のある刺激物ということになる。例えば、ウィークエンド『ビューティ・ビハインド・ザ・マッドネス』のど頭“リアル・ライフ”の静脈に注射を打ったような気怠いシンセ音。ハドソン・モホーク“ウォーリアーズ”のバカバカしいほどロマンティックなシンガロング・パート。ジェイミーxx“ラウド・プレイセズ”のアホみたいにセンチメンタルでノスタルジックな詩と引用と旋律。「人生なんて飽く気ないね。まして若さはあつちう間」（“長く短い祭”）。本当に。
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「2015年 年間ベスト・アルバム 50」
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December 30, 20222022年 年間ベスト・アルバム
21位～30位
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