「次のブレイク候補」をいち早くフックアップするだけでなく、最近は先鋭的なサウンドに目がないベテランからのラヴ・コールも鳴り止まない。そんなディスクロージャーのコラボ相手を知ることは、「今、誰に注目すべきか?」を知ること。そこで始まったこの企画。残すはあと5組です!
サム・スミスとの“ラッチ”に並ぶ、初期ディスクロージャーの代表的なコラボと言えば、勿論アルーナジョージとの“ホワイト・ノイズ”。「2013年注目の新人」の筆頭だった二組による豪華タッグということで、当初は“ラッチ”以上に盛り上がった共演でした(“ラッチ”の英国チャート最高位は11位で、“ホワイト・ノイズ”は2位)。上の映像は、一万人を収容するロンドンのアレキサンドラ・パレスでのライヴの模様ですが、オーディエンスの大合唱が本当に圧巻。日本でもこれくらい盛り上がりたい!
こちらはブリット・アワーズでの一夜限りの共演。ロードのアンセム“ロイヤルズ”をディスクロージャーが再アレンジして披露したのも、アワードという「お祭り」ならでは。しかも、ロードがグラミー賞で二冠を達成してからわずか数週間後のパフォーマンスだったので、一際注目度が高かったのを記憶しています。いや、しかし、この両者が同じステージに立っているのも観るだけでも、豪華過ぎて悶絶もの。途中から曲のBPMがグングン上がっていき、“ホワイト・ノイズ”に切り替わる構成もお見事です。いつかは両者の本格的なコラボが実現してほしいところ。
ディスクロージャーと言えば当然ハウスのイメージが強いですが、ケンドリック・ラマーやエイサップ・ロッキーをフェイヴァリットに挙げるなど、現代っ子らしく新しいヒップホップも愛聴している模様。『セトル』ではヒップホップ・アーティストとのコラボはありませんでしたが、「いつかやってみたい」と当時のインタヴューでも意欲を見せていました。そんな彼らにとって、おそらく記念すべき初のヒップホップ・トラックが、上の“ユー・ストレシン”という曲。ビショップ・ネールーというMCのトラックをディスクロージャーがプロデュースする、という形を取っています。なるほど、彼らがヒップホップをやるとこうなるんですね。今後、あっと驚くようなラッパーとの共演とかないかな? と密かに期待しています。
前編で取り上げているように、メアリー・J.ブライジのプロデューサーとしても腕を振るっているディスクロージャーですが、そんな彼らの最新のプロデュース仕事がこちら。そう、2000年代前半に美麗ピアノ・バラードでヒットを飛ばした、あのアクアラングことマット・ヘールズとの共作です。ここにも書きましたが、実はディスクロージャーはアクアラングの大ファン。しかも、スティーヴィ・ワンダー、ディアンジェロ、ケイト・ブッシュ、ピーター・ガブリエルと並んで、マットを「尊敬するソングライター」の一人だと名指しするくらいの心酔っぷりなんです。おそらく、アクアラングの新作『10フューチャーズ』からのリード・トラック“エッグシェルズ”――上に動画を貼った曲です――をプロデュース出来たのは、ローレンス兄弟にとって夢のような出来事だったのではないでしょうか。
ちなみに『10フューチャーズ』は、アクアラングがディスクロージャーの“ラッチ”に衝撃を受け、それに負けない最新型のポップ・ソングを作ろうと意欲を燃やして生まれた作品。アルバムからのもうひとつのリード・トラック“テープ・2・テープ”を聴いても、それは明らかだと思います。
サウンドクラウドを漁ってみると、この曲のリミックスが次々と公開されていますね。『テン・フューチャーズ』は従来のアクアラングのイメージを大きく裏切ってみせた意欲作ですが、その振り切りによってこれまでとは明らかに違うバズが生まれてきているのを感じます。
ディスクロージャーのライヴ本編を締めくくる定番曲は、アルバムと同じく“ヘルプ・ミー・ルーズ・マイ・マインド”。この原稿もそれに倣い、同曲にフィーチャーされているロンドン・グラマーの紹介で締めましょう。彼らは空気がピンと張り詰めた冬の夜空が似合うような、陰鬱なサウンドを得意とする三人組。言わばエックスエックスのポップ・ヴァージョンです。『セトル』はハウス・ミュージックの熱気が詰め込まれたアルバムですが、その最後に、フロアから抜け出し、冷たい夜の空気に当たりながら切なくチルアウトしていくような感覚を表現した“ヘルプ・ミー~”は、ロンドン・グラマーの参加なしには成立し得なかったでしょう。
このコラボの印象深さも手伝ってか、『セトル』の数ヶ月後にリリースされたロンドン・グラマーの1st『イフ・ユー・ウェイト』は全英2位の大ヒットに。彼らも間違いなく、「ディスクロージャーのコラボ相手は無視出来ない」という空気を形成したアーティストの一組です。
これにて、「ディスクロージャーのコラボレーター10選」の企画は終了。如何だったでしょうか? ここに挙げた10組は、チェックして絶対に損はないと言い切れるアーティストばかり。しかも、これは結果的に、ちょっと変わった角度から見たディスクロージャーのキャリア総括になっていると思いますし、勢いに乗っているアーティストを軸とした「最新ポップ音楽の見取り図」のひとつにもなっている気がします。意外と便利なんじゃないでしょうか。と自画自賛。ともかく、こうしてまとめてみると改めてわかる通り、ディスクロージャーのコラボレーターには「今聴いておくべき」アクトが揃っています。なので、今後も誰とコラボするのか要注目! です。
「今注目すべきアーティストが丸わかり!
最強の目利き、ディスクロージャーの
コラボレーター厳選10組! pt.2」
はこちら。