R&Bを刷新する新世代のアーティスト達が、インディ層のリスナーを含む、多くの耳を開かせてから早数年。流石にもう飽和状態ではないか。食傷気味になるんじゃないか。ロックンロール・リヴァイヴァルだって数年の命だったし、ニュー・レイヴに至っては数ヶ月も持たなかった……と言いたいところだけど、クロスオーヴァー的に支持されている新世代的R&B――ここではわかりやすく「インディR&B」としておくとして――に関しては、まだまだこれからでしょ!と思うわけです。理由は簡単。とにかく素晴らしい新世代が、溢れる泉の如く台頭してきているから。いや、マジなんですよ。
たとえば、ジャマイカとスペインの血を引く英国人シンガーのFKAトゥイグス。ちょうど本日、来日公演が発表されたばかりの奇才、アルカがトラックのプロデュースをしているのがポイントです。この曲とか聴くと、特にビート感とか、身震いせずにはいられないでしょ。
いやあ、強烈。素晴らしい。彼女自身のアーティな佇まいも魅力的だし。で、もう少しポップなところだと、L.A.出身の25歳にして、FKAと並ぶネクスト・ブレイク最右翼、バンクスもいる。暗い路地裏でむせび泣いているような、どこまでもダークに沈み込んでいくR&B。共演してみたいアーティストがジェイムス・ブレイク、っていうのもわかりやすい。素直です。
そして、このバンクスのトラックをプロデュースしているのが、ロンドン出身ウィーン在住のソンというアーティスト。彼は、特にイギリスにおいては、今後のシーンのキー・パーソンの一人になりそうな気配も。いわゆるジェイムス・ブレイク・フォロワー的な立ち位置のアーティストだけど、ぶっちゃけJBより歌心あるし、トレンドの音をポップに仕立て上げるのも上手い。それに他のアーティストのプロデュースにも積極的。どこかの時点でポンッとブレイクしそうな気配がプンプンしている。まだ名前は明かせないようだけど、ある大物のトラックも既に手掛けているらしいし。まあ、物は試し。とにかく聴いてみましょう。彼のトレードマークでもあるヴォーカル・ハーモニーのカットアップをリフのように使った“ザ・ホイール”はやっぱりよく出来た曲だし、プロデュースを手掛けたロンドンのソウル/R&Bシンガー、クワブスのトラックは細かいハットの刻みがクール。
もうこれだけ突出した才能がいれば、しばらくインディR&Bは安泰!と余裕たっぷりに構えていてもOKなレベル。けど実際は、サブトラクトとのコラボでお馴染みのサンファとか、ポップ路線のサム・スミスとか、まだまだいるわけで。そう、だからインディR&Bは下火になるどころか、まだまだこれからなんだなー、なんて思ったりするわけです。
ということで、最後はサンファとサム・スミスのMVを貼っておきましょう。インディR&Bの新世代を追うなら、この6組は絶対にマスト!ですよ。