SIGN OF THE DAY

ライヴ・アルバムの存在意義を問い直す、
オウガ・ユー・アスホール新作の新しさ。
10周年記念ライヴ・ツアーも開催ですよ!
by YOSHIHARU KOBAYASHI June 19, 2015
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ライヴ・アルバムの存在意義を問い直す、<br />
オウガ・ユー・アスホール新作の新しさ。<br />
10周年記念ライヴ・ツアーも開催ですよ!

2015年の今、ライヴ・アルバムほど世間から求められていないものはない。と言い切ってしまうのは、やや早計でしょうか? いや、でも、あながち間違ってもいないはず。だって、気になるアーティストのライヴを試しに見たければ、YouTubeで幾らでもヒットする。それで物足りないなら、ライヴ会場に足を運んで複製不可能な一度限りの“体験”をすればいい。今現在のライヴに対する一般的な感覚は、大体そんなところでしょう。聴き手のライヴへの接し方が両極に振れている今、ライヴ・アルバムに対する期待は確実に目減りしている。そんなふうに言えるのではないでしょうか。

では、このご時世にライヴ・アルバムを敢えて作るとすれば、どのような形がいいのか? 先日リリースされたオウガ・ユー・アスホールのライヴ・アルバム『workshop』は、それに対するひとつの回答と言えるかもしれません。

OGRE YOU ASSHOLE / workshop a trailer

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この作品は、特定の日のライヴを丸ごと収録したものでもなければ、いわゆるベスト・ライヴ・テイク集でもない。その作り方はかなりユニーク。というのも、これは各地でのライヴ・レコーディング音源とスタジオ・ライヴ音源を繋ぎ合わせ、そこにさらなるポスト・プロダクションを加えたもの。それぞれのトラックがどこのライヴで収録されたか、具体的にクレジットされていないことからもわかる通り、『workshop』は単純なライヴの“記録”ではないのです。

この手の込んだライヴ・アルバムで彼らが目指したのは、会場のフロアでオーディエンスが体感しているサウンドを出来る限り忠実に再現すること。実際に聴こえる音のリアリティ、もしくは聴こえ方の正確さを追求した結果、ストレートなライヴ録音ではなく今回のような作り方が選択されたというわけです。一見ねじれた発想のようですが、これは納得させられるアイデア。だって、確かにライヴがパッケージングされてはいるんだけど、その本当の魅力が捉えきれていないライヴ・アルバムって、意外と多いですよね? ライヴをそのまま録っているはずなのに何か違う、みたいな。それで仕舞いには、音がグチャグチャでも臨場感のあるYouTubeの動画のほうがいいや、となりがちです。

そういった意味では、『workshop』は今作るべきライヴ・アルバムの理想的な形のひとつと言えるかもしれません。スタジオ・ライヴと実際のライヴ録音を重ねるという手法自体は、グレイトフル・デッドやマザーズ・オブ・インヴェンションの60年代の作品を髣髴とさせるところがありますが、そのようなしばらく忘れ去られていた方法論を偶然にも掘り起こし、結果的に現在におけるライヴ・アルバムの在り方を問い直すような作品になっているのも、とても意義深いことだと思います。

実際、この『workshop』がオウガのライヴのダイナミクスを余すことなく伝える作品になっているのは、全10曲のダイジェストが収録された以下のトレイラーを見ても想像できるはず。

OGRE YOU ASSHOLE / workshop trailer 2

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初期のオウガはライヴとスタジオ作品が地続きでしたが、2011年にリリースされた『Homely』からの三部作では、意識的にそこは切り離されています。『workshop』を聴けば、淡々としたミニマルな演奏から奇妙な心地よさ(と心地悪さ)が沸きあがってくる三部作のトーンとはまったく違った、ライヴ・バンドとしての強烈なエネルギーが刻まれているのが感じられるでしょう。そして、彼らのライヴに足を運んでいる人ならピンと来るように、トラックリストは最近の彼らのライヴのセットに近いもの。ここでは、まさに今のオウガの“もうひとつの顔”が表現されているのです。

このアルバムは、彼らのライヴに足繁く通う熱心なファンへの最高の贈り物であるのは勿論、オウガ初心者の入り口としても最適であり、三部作は聴いていてもライヴ未体験というリスナーには目から鱗の作品。そして、逆に三部作で離れてしまっていたファンが改めてオウガと再会を果たすきっかけとしても、これ以上ない打ってつけのアルバムです。このタイミングでオウガが作る作品としては、間違いなくベストな内容ではないでしょうか。

今年はデビュー10周年ということで、それを記念したワンマン・ライヴ・ツアーが7月2日の名古屋公演を皮切りに開催。『workshop』の凄まじいライヴ・サウンドに触れたら、なんとしても今のオウガを目撃しなければ! と、はやる気持ちを抑えきれなくなるのは間違いなしです。

そして〈サイン・マガジン〉では、近々彼らの10年を総括するロング・インタヴューを掲載する予定。そちらもお楽しみに!




〈OGRE YOU ASSHOLE LIVE 10th anniversary〉
開催日:2015年7月2日 (木)
会場:名古屋Club Rock’n’Roll
開場 19:00 / 開演 19:30
チケット:3,600円(前売/1ドリンク別) 4,100円(当日/1ドリンク別)
*Sold Out!

開催日:2015年7月5日 (日)
会場:心斎橋Music Club JANUS
開場 17:30 / 開演 18:00
チケット:3,600円(前売/1ドリンク別) 4,100円(当日/1ドリンク別)

開催日:2015年7月11日 (土)
会場:長野ネオンホール
開場 18:30 / 開演 19:00
チケット:3,600円(前売/1ドリンク別) 4,100円(当日/1ドリンク別)
*Sold Out!(若干数の「キャンセル待ち」の申し込み受付あり)

開催日:2015年7月12日 (日)
会場:赤坂BLITZ
開場 17:00 / 開演 18:00
チケット:3,600円(前売/1ドリンク別) 4,100円(当日/1ドリンク別)


>>>詳細と最新情報のアップデートは、オウガ・ユー・アスホールの公式サイトにてご確認ください。


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