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これさえチェックすれば、120%楽しめる!
〈サマーソニック〉までに抑えておきたい
ファレル・ウィリアムス攻略ガイド・前編
by YOSHIHARU KOBAYASHI May 28, 2015
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〈サマーソニック〉までに抑えておきたい<br />
ファレル・ウィリアムス攻略ガイド・前編

今やファレル・ウィリアムスと言えば、ここ日本でテイラー・スウィフトやワン・ダイレクションに次ぐほどの知名度を誇る海外アーティストの一人。であると同時に、ダフト・パンク『ランダム・アクセス・メモリーズ』以降のディスコ/ファンク/ブギー再評価の流れにおいても、最大公約数的な人気を獲得しているアクトでもあります。そして勿論、ヒップホップ/R&Bの熱心なリスナーからは一目を置かれる存在であり続けている。実際のところ、こんなに多方面から広く愛されているアーティストって、ほとんど見当たりません。しかも、彼がそういったポジションに収まることになったのは、ここ最近のこと。3年前だったら状況はまったく違っていた。なので、今年の〈サマーソニック〉でヘッドライナーに抜擢されたのは、本当に絶妙なタイミングなわけです。やるな、〈サマーソニック〉! といった感じですよ。

当然ながら、ヘッドライナーはフェスのハイライト。おそらく今年の〈サマーソニック〉に集まるオーディエンスのほとんどは、ファレルのライヴを心待ちにしていることでしょう。でも、ちょっと待ってください。よくよく考えてみたら、ファレルの曲は“ハッピー”しか知らない――という人もいるかもしれない。ぎりぎり、ロビン・シックの“ブラード・ラインズ”とダフト・パンクの“ゲット・ラッキー”に参加していたのは知っている、みたいな。

けど、それも仕方ない。ファレルが“ブラード・ラインズ”と“ゲット・ラッキー”の大ヒットで音楽シーンの最前線に舞い戻ったのは2013年のこと。それ以前はしばらく低迷期と言っていい状態が続いていたんですから。改めて振り返るとびっくりですが、チャド・ヒューゴとのプロデューサー・チーム、ネプチューンズとしてヒットを量産していたのは10年以上も前の話。ソロでの来日も9年ぶりですし、N.E.R.D.として最後に日本に来たのも7年前ですよ。うーん、時の流れは速い。と、思わずオッサン的な発言もポロリ。

最近の活躍でファレルを知った若いリスナーが、ここ数年の彼のヒット曲しか知らないのは当然。でも、それでは今のファレルのライヴを120%楽しむことは出来ないんです。なぜなら、近年の彼のライヴは、ネプチューンズ~N.E.R.D.~ソロというキャリアを総括したベスト・ヒット的な内容だから。この凄まじく豪華でサービス精神に溢れまくったライヴを徹底的に楽しまないのは、あまりにも勿体ない。

そこで私たちが用意したのは、過去一、二年の海外でのライヴを基に予想した、今年の〈サマーソニック〉のセットリスト。星の数ほどあるファレルのヒット曲の中でも、〈サマーソニック〉までにこれだけは押さえておけば大丈夫! というもの。勿論、本当のセットリストは当日までわからないので、多少の誤差はご容赦ください。でも、きっと便利です。天才プロデューサーの偉大な功績を一挙に振り返ることが出来るという点では、〈サマーソニック〉の後に読んでも十分価値があるはず。

では早速、一曲目から順に追いかけていきましょう。まずはこちらの曲から!


Come Get It Bae

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最近のライヴで一曲目を飾ることが多いのが、マイリー・サイラスがコーラスで参加したこちらのトラック。最新作『ガール』の収録曲ですね。少し前にCMでも流れまくっていたので、聴き覚えのある人も多いでしょう。“ブラード・ラインズ”の流れを汲む賑やかなビートが楽しいパーティ・チューンで、ライヴの幕開けにぴったり。基本的にはひとつのリフの繰り返しでグルーヴを生み出していくファンク・マナーの曲ですが、ちょっとしたシンセのフレーズで変化をつけているのは流石ファレル。上の映像は、昨年にスコットランドのフェス、〈T・イン・ザ・パーク〉に出演した時のものです。


Marilyn Monroe

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では、『ガール』からもう一曲。NYのアポロ・シアターでのライヴから。これもライヴの前半に演奏されることが多いトラックです。『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『グラディエーター』のスコアを担当したハンス・ジマーが手掛けたストリングス・アレンジも『ガール』の特徴のひとつですが、中でもこの曲はストリングスの存在感が際立っている。まさに映画音楽のようにドラマティックなオーケストラで幕を開け、ファレル得意のファンク・ポップに突入するという異色作。最近、映画のサントラの仕事が多いことの影響もあるのでしょうか。

にしても、映像を見ると、さっきからステージで元気に舞う女性ダンサーたちが気になりますよね。あれ、ファレルのライヴってこんな感じなの? みたいな。でも思い出してみてください。『ガール』は、ファレルなりに女性への感謝の気持ちを表現したアルバム。この“マリリン・モンロー”も、マリリン・モンローやジャンヌダルクやクレオパトラを引合いに出しながら、彼女たちのようにならなくても君はもう十分にスペシャルなんだ、と全ての女性をセレブレートしている曲です。つまり、あのダンサーたちはアルバムの世界観を体現するには欠かせない重要な存在。おそらく〈サマーソニック〉でも、あらゆる肌の色の女性たち(=全ての女性たち)がステージを華やかに彩ることでしょう。


Frontin'

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ライヴの前半は『ガール』からの曲が中心。これまでに紹介した2曲以外にも、“ハンター”や“ブランニュー”あたりも押さえておきたいところ。まあ、この辺に関しては事細かな解説は不要でしょう。〈サマーソニック〉当日が近づいてきたら、『ガール』をもう一度聴き直せばバッチリです。

で、そんなライヴ前半に披露されるであろう曲の中で、ピックアップおきたいのが“フローティン”。元々ファレルは1990年代後半から2000年代前半にかけて全米チャートを席巻したネプチューンズのメンバーでしたが、彼が初めて発表したソロ名義のトラックがこれ。2003年にネプチューンズ名義でリリースされたコラボレーション・アルバム『クローンズ』収録。軽快なギター・カッティングのループ(ライヴでは生演奏)と、ファレルお得意のファルセット・ヴォーカルが印象的な、スムースなソウル・ポップです。しかし、これを改めて聴いてみると、全然古びていない。むしろ結構、今っぽい。つまり、2000年代前半にはあまりに独創的だったファレルのセンスに、ようやく世間が追いついてきた。ということかもしれません。恐るべし、ファレル・ウィリアムス。

あ、ライヴとは関係ないですが、この曲はノリにノッている若き兄弟ハウス・デュオ、ディスクロージャーがリミックスを発表したことでも話題になりました。やっぱり今の感性に引っかかるところがある曲なんでしょうか。

Froatin’ (Disclosure Re-Work)

ギターのフレーズをシンセで弾き直し、ぶっといビートを加えた、ディスクロージャーらしい90年代ハウス風になっています。これまた最高です。


Hot in Herre ~ I Just Wanna Love U (Give It 2 Me) ~ Pass the Courvoisier, Part II

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さて、そろそろライヴも中盤に差し掛かってくるところ。十分に会場が暖まってきたら、遂に今回のライヴの真骨頂であるベスト・ヒット祭りが始まります。おそらく手始めに投下されるのは、ネプチューンズがプロデュースしたヒップホップ・トラックの大ヒット三連発。全米チャート7週1位を記録したネリーの激アゲ・チューン“ホット・イン・ヒア”、勢いに乗りまくっていたジェイZとネプチューンズの魅力が最大限に発揮された大名曲“アイ・ジャスト・ワンア・ラヴ・U(ギヴ・イット・2・ミー)”(これも全米1位)、そしてバスタ・ライムスのリミックスにファレルが参加したフロア・アンセム“パス・ザ・クルボワジェ・パートII”がメドレー形式で披露されるという、悶絶必至の贅沢過ぎる展開。これはアガる!

でも、まだ中盤が始まったばかりなのに、こんな出し惜しみなく有名曲を使ってもいいの? 心配無用。なにしろ全盛期のネプチューンズは、全米トップ100に年間20曲近く送り込んでいた怪物プロデューサー・チーム。こんなことをしても、一度のライヴでは使いきれないほどヒット曲を持っているんです。ああ、恐るべし、ファレル・ウィリアムス。

ということで、メドレーを楽しむためにも、この3曲のオリジナル・ヴァージョンも貼っておきましょう。どれも今聴いても、めちゃくちゃかっこいい!

Nelly / Hot In Herre

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JAY-Z / I Just Wanna Love U (Give It 2 Me)

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Busta Rhymes ft. P.Diddy & Pharrell / Pass The Courvoisier (Part II)



さあ、続いていきましょう。ファレルのキャリアを語る上で、ネプチューンズに次いで欠かせないのがN.E.R.D.。ネプチューンズの二人に、彼らの古くからの友人であるシェイ・ヘイリーを加えたプロジェクトですね。その音楽性は、端的に言うとネプチューンズのロック的な展開。勿論、N.E.R.D.の曲もファレルのベスト・ヒット・ライヴでは重要なパートとなっています。

ただ、N.E.R.D.はアルバムにグッド・シャーロットをフィーチャーしていたりと、そのロック解釈にはちょっと乗りきれないところがなくもない。のですが、彼ら最大のヒット曲である“シー・ウォンツ・トゥ・ムーヴ”は、紛れもない名曲。ここでは、2004年のパリでのライヴを観てください。

She Wants to Move

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どうですか? この凄まじい盛り上がり。執拗なコール&レスポンスが、さらにオーディエンスをヒート・アップさせています。なので、これは今回のライヴでもバッチリ決めたいところ。ヴァースの部分で、ファレルが「She’s what?」と問いかけたら、「She’s sexy!」ですよ。きっとファレルも喜びます。

おそらくN.E.R.D.の曲は、後1、2曲くらい披露されるはず。なので、出来れば幾つか聴いておいてください。例えば彼らの1stシングル“ラップダンス”は、ロックを意識したハードなエッジを感じさせつつも、ネプチューンズ的なスカスカの音像がナイスなトラックです。ここらへんを畳み掛けるように連発したら最高ですね。

Lapdance

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さて、前編はここで終了。ライヴもちょうど折り返し地点に差し掛かったあたりでしょうか。もう既に最新のソロあり、ネプチューンズあり、N.E.R.D.あり、でお腹いっぱい? いやいや、ファレルのベスト・ヒット・ライヴの真骨頂はこれからです。なにしろ、彼はヒット曲があり過ぎる男。こんなもので済むわけがない。本当においしいところは後半に取ってあるんです。だって、まだみんなが好きな“あの曲”をやっていませんしね。ということで、続きをチェックするには、以下のリンクをすぐにクリック!




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