SIGN OF THE DAY

音楽の未来を切り開く果敢な実験?
トム・ヨークが8年ぶりのソロ新作を
P2P型通信を使ってリリース!
by YOSHIHARU KOBAYASHI September 27, 2014
音楽の未来を切り開く果敢な実験?<br />
トム・ヨークが8年ぶりのソロ新作を<br />
P2P型通信を使ってリリース!

一週間ほど前にトム・ヨークが自身のツイッター・アカウントで白いヴァイナルの写真を突如アップし、近いうちに何かしらのリリースがあることを仄めかしていましたが、やっぱりきました! トム・ヨークのソロ名義では8年ぶりとなるニュー・アルバム、『トゥモロウズ・モダン・ボックシーズ』が9月27日未明から発売開始されています!

今回の新作は、なんとBitTorrentを通じてのリリース。ご存知の方も多い通り、BitTorrentは違法ダウンロードの温床と指摘されてきた一方、現在の新ヴァージョンでは有料のデータ販売を始めて合法的な収益化を図っているP2Pのファイル・シェアリング・サービスです。トムはBitTorrentをリリースの窓口に選んだ理由として、このシステムが上手く機能すればクリエイター達がネットからの収益をコントロールするのに効果的な方法になるかもしれないので、その実験をしてみたい――といった趣旨の声明をナイジェル・ゴドリッチとの連名で発表。これを踏まえて考えると、アルバムのタイトルも非常に示唆的です。

そしてここで思い出されるのは、やはりトムがスポティファイを激しく批判し、自分が関わった作品の音源を全て引き上げたことでしょう。スポティファイはアーティストへの利益還元率が低く、若い世代のためにならない。だから、音楽の未来を真剣に考えるならば、別の方法を探っていかなくてはならないのではないか? という発言をして賛否両論を巻き起こしましたが、そのような問題意識に基づいたトライアルのひとつが、BitTorrentでのリリースということなのかもしれません。

けれども、なぜBandcampなどの既にメジャーなダウンロード販売サービスではなく、BitTorrentを選んだのか。彼らの声明を読む限り、やはりP2Pというシステムがポイントであるように感じられます。P2Pは特定の企業が用意したサーバーに独占的にアップされたデータをダウンロードするのではなく、ネットワークに繋がっているデータ所有者の間でデータをシェアしていく仕組み。現在のBitTorrentの収益配分がどのような割合になっているのかわからないのでまだ何とも言えない部分が大きいですが、少なくともトムはそのシステム自体にある種の民主的な理想を感じているようにも思えるのですが、果たしてどうなのでしょうか? ちょっと飛躍気味な推測かもしれませんが。

何はともあれ、早速アルバムをダウンロードして聴いてみましょう。以下のウィジェットの「Buy The Album」というボタンを押せば購入手続きに飛ぶことができます。画像中央の再生ボタンを押すと、“ア・ブレイン・イン・ア・ボトル”のMVも視聴可能。また、ヴァイナルと音源データのバンドル販売も同時にスタートしているので、そちらを購入したい方はこのページからどうぞ!



Thom Yorke/Atoms For Peace

Official music and merchandise for Radiohead, Atoms for Peace, Thom Yorke, Jonny Greenwood, Ed O'Brien, Colin Greenwood, Philip Selway and Stanley D

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