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  • 12:00 AM Jonathan Snipes, Daveed Diggs and Christian McLaurin IX by MASAAKI KOBAYASHI August 10, 2015 1
  • Boa Esperança Emicida by MASAAKI KOBAYASHI August 10, 2015 2
  • Widerstehe Doch Der Sünde Nicolas Godin by MASAAKI KOBAYASHI August 10, 2015 3
  • Acid Rain Lorn by MASAAKI KOBAYASHI August 10, 2015 4
  • I Feel You 원더걸스(Wonder Girls) by MASAAKI KOBAYASHI August 10, 2015 5
  • 現在ミュージック・ヴィデオをメインに撮っている映像作家で、ヒロ・ムライ等とともに今、もっとも才気走っている一人が、この作品を撮ったカルロス・ロペス・エストラーダではないだろうか。以前、本欄で取り上げたクリッピングの(一連の)MVも彼の作品だが、そういった期待に応えるかのように、2013年に制作されていた映像に、新たに、クリッピングの新旧メンバーが、曲をつけ(一部カーティス・メイフィールドの名曲“プッシャーマン”をリメイク)MVとして発表されたのが、今回の作品。ここでは、映画の撮影などで、人が建物の垂直な壁づたいに下から上に向かって這い上がってくる姿を、フレームに収める場合の「からくり」が周知のものであるというのが大前提となっている。そして、それを踏まえた上で、ヴィデオに登場する男がたったひとつの行為(壁を這い上がってくる)しか見せないからこそ、その大前提そのものの信憑性が揺さぶられると同時に、その大前提の揺るぎなさゆえに星新一のショートショートの映像化のようなオチが成立してしまうあたりが見事。

  • エミシダは、特に、この5年ほどの精力的な活動で、ブラジルのヒップホップ・シーンにおける重要な存在となったMC。彼の顔立ちにはJ・コールに通じる雰囲気があるが、それ以上に、約7分に及ぶこの映像作品は、そのコールの“G.O.M.D”のMVに似ている。エミシダによれば、“G.O.M.D"が公開されたのは、このMVの撮影中だったというから相当歯がゆい思いをしたに違いない。もっとも、コールのほうは、どうしてもMVの作法に倣ってしまい、内容的に、黒人たちによる蜂起の結果を保留しているのに対して、エミシダのほうは、彼自身はモニター監視員役でしか登場せず(もちろん深い意味のある役ではあるが、)、サンパウロの大邸宅で発生したメイドたちによる蜂起が国内各地に飛び火したことまでが伝えられる。表題の“Boa Esperança”を英訳すると“Good Hope”、しかも、これは実在した奴隷船の名前からとったらしく、リリック面では、“ザ・ブラッカー・ザ・ベリー”でアサシンが発していたメッセージとケンドリックのヴァースを、アフリカにより近い位置にあるサンパウロ出身のエミシダが、一人でライムしていることになる。

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    ゾンビたちのサーフ天国を、(敢えて)淡いトーンのモノクロで流麗にまとめ、その中にゾンビ・サーファーが、サメの大群に囲まれているショット、サメに食いちぎられた痕のあるサーフボードとポーズなど、ささやかなユーモアも忍び込ませるものの、決して色物には見せないあたりが秀逸。さらに、曲をよく聴くと、エールのメンバーであるニコラ・ゴダンは、曲名(ソロ二作目のタイトル曲!)通り、同名のバッハ作曲のカンタータ(のアリアの部分)を歌い直していて、そこで聴こえてくる、どこかビーチ・ボーイズ的なストリングスのアレンジが、海と波と砂浜とサーファーのイメージを喚起したのかもしれない。では、ここに出てくる、ゾンビ(のイメージ)は、どこから来たのか? と言われれば、彼/彼女たちは、歌詞にある「後悔は先に立たず」的な戒めとは全く逆に、後悔などとは無縁な世界に生き続けているわけで、そこにしかない輝きがここに写し出されているのだろうか。

  • ゾンビに続いては、体外離脱or臨死体験? カタカナ表記では、同じローンでも、こっちは前回この欄で取り上げたのとは別のウィスコンシンのLorn。ライティングと力強いダンスに目をひかれるが、これは衝突事故を起こした自動車に乗っていた5人のチアガールのうち、ハンドルを握っていた一人の体験した体外離脱or特異な臨死体験を、2分50秒あまりの長回しで再現したものなのか……ちなみに、この曲には、昨年別ヴァージョンのMVも作られていて、そこでは、これまた、昨年本欄で、そのスコアを取上げた映画『Beyond The Black Rainbow』の映像が使われている。

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    一目観て、このスタイリングの着想源は、1985年のロバート・パーマーによる“アディクテッド・トゥ・ラヴ”(の主役以外!)あるいは、最近のものでは、スヌープ・ドッグの“センシュアル・セダクション”だな、となるかもしれない。が、それよりも興味深いのは、この曲で、女性3人組エクスポゼによる1987年の大ヒット曲“ポイント・オブ・ノー・リターン”流のラテン・フリースタイルを「いまどき」演ってしまう唐突さと、そのはまり具合だ。特徴が明確で、流行った期間があまり長くなかったトレンドは、後の時代から振り返ると、どうしてもノベルティ臭やその時代特有の臭いがきつく、このラテン・フリースタイルなども、そこに当てはまってしまうわけだが、その除臭加減がここでは絶妙だ。この曲を含むワンダー・ガールズの最新作『リブート』は、コンセプトを80年代的なものに絞り込んで作られたという。80年代的なサウンドというと、このところ、しばらく80年代前半までのポスト・ディスコ(ディスコ/ブギー)なものが想定されることがお約束のようだったが、それとはまた別の80年代の香りが彼女たちのアルバムからは匂い立っている。

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