ジメジメした季節なので、機械の身体が欲しい!ということでなんとなく今回はインダストリアル~ロウ・ハウスからギシギシとセレクト。まずは、ベルリンのインダストリアル~レフトフィールドなエレクトロニクス~ベース系のレーベル〈パン〉から。ピンチが立ち上げたダークコア・ベース・ミュージック・レーベル〈コールド〉なんかとも地続きな、かなりキ印なメタル・パーカッション系の音とベース~実験系エレクトロニクスにまたがる、その配合の丁度良い作品ばかり!
こちらはポール・ウールフォードがボビー・ペル名義でリリースした、2006年のアシッディなエレクトロ・ハウス・アンセム(いや~この曲、フロアで聴いたな)を、コウトンがリミックス。彼はブリストルの若きベース・ミュージック・クリエイターで、先輩にあたるペヴァーレリストのレーベル〈リビティ・サウンド〉などで、かなりテクノ寄りの音色でリズムも“ド”オリジナリティ満点な実験的なベース・ミュージックをやっておりまして、注目が必要であります。上記〈パン〉周辺と近い感覚もありますね。本作ではピッシャーっとノイジーな彼のインダストリアル方面な魅力がぴっしり出てます。
セオ・パリッシュの〈サウンド・シグネチャー〉リリース、ザ・ロウハウス・アシッド大王。この人のアシッドは狂気ミシミシで、なかなかすばらしいんですね。このあたりのスカスカ&初期ハウス~ビートダウン系のチキチキ&ざらつき具合の感じとかは、間違いなく〈モダン・ラヴ〉周辺のダーク・インダスリアルにも影響大だと思うんですがどうでしょうか?ジメっとした時期にはこのあたり聴いて、湿気を気にしなくなるのが一番かと思われます。
8月リリースのニュー・アルバム『ウァール』も、かなりド直球ストレートなテクノでかなり好感なんですが、このリミックスもナイスでしたね。〈L.I.E.S〉あたりと独自のNYアングラ、レフトフィールド・エレクトロニック・ダンス・ミュージックを作り上げる〈Rvng Intl.〉より、ブルックリンのインダス~ロウ・ハウス系ユニット、ブロンズ。これをシミアンがリミックス。音数少なめで、昨今のテクノ~ロウ・ハウスのインダス風味もしっかり取り入れた作風。コレいける人は必ずニュー・アルバムもいけると思います。この音やっときながら、アークティックもやっちゃうなんて、もうね、さすがでございます。
最後はケリスのアクトレス・リミックス。これぜひともインストもヴォーカルも両方聴いてみてください。同じ曲なんだけど、全然表情が違うんですね。しかも、どっちも良いでやんの。さすがの才能を感じました。わりと初期のエイフェックス・ツイン~ブラック・ドッグあたりにも通じる、メランコリックな美麗シンセ+少々インダストリアル入ったダウンビートという流れでして、これがなかなかすばらしい。オリジナルのオーガニック・ソウルをこうしてしまうなんて、ナイスなんですよねぇ。