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  • ブレードランナー2049(2017) directed by Denis Villeneuve by MARI HAGIHARA October 13, 2017 1
  • アトランタ(2016) created by Donald Glover by MARI HAGIHARA October 13, 2017 2
  • ゲット・アウト(2016)
    directed by Jordan Peele by MARI HAGIHARA October 13, 2017 3
  • インセキュア(2016) created by Issa Rae and Larry Wilmore by MARI HAGIHARA October 13, 2017 4
  • ネオ・ヨキオ(2017)
    created by Ezra Koenig by MARI HAGIHARA October 13, 2017 5
  • カルト作品の続編というのは何をやっても文句をつけられるもの。ところが本作はいまのところ、ファンや批評家から絶賛されています。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が『ブレードランナー』(1982)の30年後の世界において徹底したのは、ヴィジュアル・デザインのスケールアップ、現在の速いカット割りへの抵抗、そしてもちろん、SFへの実存的アプローチのさらなる展開。最後の一点は『ブレードランナー』以上に、彼の前作『メッセージ』(2016)とも響き合っています。背負うものが多いこの映画を、まずは自分のものにしたことに拍手。北米の興行成績はイマイチなようですが、前作も公開時にはこけた映画。もっと長いスパンで評価されていくでしょう。舞台は2049年のカリフォルニア。そこでは環境がさらに汚染され、禁止されていたレプリカントが製造されるようになり、旧型レプリカントを狩るブレードランナーは汚れ仕事となっています。そのひとりK(ライアン・ゴズリング)は記録のバグを追ううち、自分自身の記憶とアイデンティティを疑うようになる。前作のデッカード(ハリソン・フォード)から続くこの「謎」を、今回どう提示するかが最大の見どころです。

  • huluで『インセキュア』と『アトランタ』が配信になったので週一で見ています(『アトランタ』は限定公開)。思ったのは、やっぱりこういう旬のドラマを見ておかないと他のことがわからない。『スパイダーマン:ホームカミング』も『ゲット・アウト』も、『アトランタ』のあと見ればよかった——と痛感しました。チャイルディッシュ・ガンビーノことドナルド・グローヴァーが製作・監督・脚本・主演で描くのは、主人公アールと、ペーパーボーイとして売れはじめたラッパーのいとこのストリート・ライフ。というか彼らの周りの恋人や家族やギャングの日常がコミカルに綴られるシットコムなのですが、それぞれのエピソードが奇妙にシュールなのです。突然ブラックのジャスティン・ビーバーが登場したり、かと思えばメキシコの売人としてミーゴスが顔を出したり。フィクションと現実を混ぜながら、ホモフォビアや精神疾患やソーシャル・メディアのようなトピックをさりげない切り口で見せるのも新しい。エミー賞など各賞を受賞した以上に、これはカルチャー全般にインパクトを与えているはず。2018年にリリースされるシーズン2が待ちきれません。

  • 去年、アメリカで若い世代を中心に大ヒットしたホラー。確かにいまっぽくて面白いけど、話は『ウィッカーマン』(1973)以来の定石だし、序盤はカリン・クサマの『インビテーション』(2014)と同じだし……と、思っていたのです。『アトランタ』を観るまでは。そう、この映画も『アトランタ』同様、人種というモチーフを中心に置きながら、そこで生まれる違和感やその突発にフォーカスしている。アフリカン・アメリカンの写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)が恋人のローズ(アリソン・ウィリアムズ)の家族に会いにいくと、郊外の邸宅に住むのはリッチでリベラルな白人たちと、そこで働く黒人の使用人たち。一体「リベラル」はどこまで本当なのか、ここで何が起きているのか——そこで交わされる会話や行動がひとつひとつ積み重なり、恐怖と疑いと笑いを呼び、とんでもない真実が明らかになるのです。人種だけでなく、思想や世代や階層のギャップも不安の種になっている。監督・脚本はコメディアンのジョーダン・ピール。いまのアメリカの笑いのセンスは冴えまくっています。

  • もとはクリエイターのイッサ・レイがウェブで発表していたコメディ・シリーズ、「Awkward Black Girl」。その「気まずさ」も「ブラック」も、もちろん「ガール」であることも、『インセキュア』には引き継がれています。イッサが演じる20代後半の同名主人公はタイトル通り「心もとなく」、恋愛や仕事や友情をナビゲートしようとして、うまくいったりいかなかったり。その中途半端な感じがリアルでキュートで、いま女性が生きることのモヤモヤが実感できます。なにせ一緒に暮らしている彼氏とはマンネリで、カラードの子どものための団体で働いているのに同僚はみんな白人、「あたしたち黒人女のステレオタイプになっちゃってる!」とボヤく友人とも時折険悪になってしまう。でもそこで頑張ってる感じは、日本人女子だってきっと同じ。女子ドラマとファッションの相関で言うと、90~ゼロ年代の『セックス・アンド・ザ・シティ』がハイブランド、2010年代の『ガールズ』がヴィンテージだったとしたら、『インセキュア』はリラックスしたカジュアルで、その変化も楽しめます。しばらくはこれがロマンティック・コメディが変わっていく起点になりそう。

  • ヴァンパイア・ウィークエンドの新譜が出ないなあと思っていたら、エズラ・クーニグはこんなアニメを作っていました。主人公は大都市ネオ・ヨキオで「悪魔祓い師」としてリッチ・ライフを送るカズ(声はジェイデン・スミス)。日本アニメの引用には疎くても、話が『ゴシップ・ガール』や『シャドウハンター』のようなYAドラマを引用しているのはわかります。それが日本のスタジオの絵柄なのが超ミスマッチ。しかも褐色の肌にピンクの髪のカズは第一話からカルティエの時計のうんちくを語り、ファッション・ブロガーのヘレナとラガーフェルドについて議論するのです。そういうファッションや消費、ステータスへの皮肉には共感できても、それがなぜこのアニメなのか——というクエスチョン・マークは最後まで消えず、だからこそ癖になる。女性キャラとして気になるのはすべてが虚しくなって「ヒキコモリ」になってしまうヘレナ。声の出演は有名ファッション・ブロガーのタビ・ゲヴィンソン。他にもジュード・ロウなど声の出演は超豪華で、Spotifyにある『ネオ・ヨキオ』のプレイリストはクラシック&ムード音楽。エズラってほんと読めない人です。

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