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  • FAKE LOVE BTS (방탄소년단/防弾少年団) by AKIHIRO AOYAMA June 15, 2018 1
  • If You Know You Know Pusha-T by AKIHIRO AOYAMA June 15, 2018 2
  • Give Yourself A Try The 1975 by AKIHIRO AOYAMA June 15, 2018 3
  • Ultimatum feat. Fatoumata Diawara Disclosure by AKIHIRO AOYAMA June 15, 2018 4
  • Lucid Dreams Juice WRLD by AKIHIRO AOYAMA June 15, 2018 5
  • ここ一ヶ月の全米チャートでは、2つの印象的な首位攻防があった。一つ目は、2月から15週に渡ってトップを独占し続けたドレイクを蹴落とし、シングル・チャート1位を獲得したチャイルディッシュ・ガンビーノの“ディス・イズ・アメリカ”。そして、もう一つが3週連続1位のポスト・マローン『ビアボングズ&ベントレーズ』からアルバム・チャートの首位を奪ったこのグループの躍進だ。日本では防弾少年団の名前でも知られる彼らは、韓国の7人組。このリード・シングルが収録されたアルバム『Love Yourself 轉 'Tear'』は、6月2日付で全米1位に。K-POPアクトの首位が史上初なのはもちろんのこと、外国語のアルバムによる1位獲得も史上初というから、まさに歴史的快挙と言える。アルバムでは、フューチャー“マスク・オフ”を意識したと思しきフルート・ループやオートチューン、ラテンにトラップ等々、昨今のラップ・トレンドを的確に押さえつつも、K-POPの伝統を踏襲した展開の多い楽曲が並ぶ。ワン・ダイレクションの活動休止以降、下火だったボーイズ・グループの世界で彼らが世界的な覇権を握ることになった理由の一端は、ビジュアル、パフォーマンス、サウンドと、全てにおいて鮮烈なリード・シングル“フェイク・ラヴ”のヴィデオを見てもらえば分かるはず。この曲は、アトランタ・トラップの立役者ゼイトーヴェンが得意とするピアノ・ループをギターに置き換えた、bpm78のトラップ・ポップ。彼らが成し遂げた快挙は、今後のポップ・シーンにおいて重要な意味を持つ分水嶺となっていくだろう。

  • プッシャ・T『デイトナ』、カニエ・ウェスト『イェ』、キッズ・シー・ゴースツのセルフ・タイトル作――。5月末から、カニエ・ウェストのプロデュースによる怒涛のリリースが続いている。この後にもナズとテヤーナ・テイラー新作が控えていて、6月はまさにカニエ・ウェスト月間とでも言いたくなる一ヶ月だ。その口火を切ったプッシャ・Tの新作は、良くも悪くもヒップホップ界隈における話題をリリース直後から独占。話題の中心は同作収録の“インフラレッド”に端を発するドレイクとのビーフで、そのやり口と炎上商法には正直辟易する部分も。だが、それと作品としての価値は切り離して考えるべきだろう。キャリア総括的でもあった『ザ・ライフ・オブ・パブロ』の先をいくカニエ・ウェストのプロダクションと、プッシャ・Tによるドラッグ・ラップの圧倒的なリリシズム。『デイトナ』は、オープニングを飾る“イフ・ユー・ノウ・ユー・ノウ”から、その素晴らしい蜜月に思わず震えが来るほどの完成度を誇るヒップホップ・レコードとなっている。また、その後のカニエ関連作でも踏襲されている、全7曲20分強というパッケージにも注目。『ザ・ライフ・オブ・パブロ』で、リリース後の内容修正という革新的試みを行ったカニエによるこの選択は、変容しつつある「アルバム」という概念にどのような革新をもたらそうとしているのか? 注視しておいて欲しい。

  • 2010年代デビューのロック・バンドではごくわずかしかいない、全米・全英チャート同時1位獲得のバンド、The 1975が待望の新作3rdに向けてギアを上げてきた。『ア・ブリーフ・インクワイアリ・イントゥ・オンライン・リレーションシップス』というタイトルになるという3作目は、マシュー・ヒーリー曰く「アルバム・トリロジーの最後を飾る作品」。〈Q〉誌によるインタヴューでは、「『OKコンピューター』や『クイーン・イズ・デッド』のような3作目を作らないといけない」とも話していて、「時代を背負うロック・バンド」としての気概がみなぎる野心作になりそうだ。その内容を一足先に占う肝心のリード・トラックは、The 1975史上もっともアップビートな一曲に。ジョイ・ディヴィジョン“ディスオーダー”の躁的解釈と言えそうなギター・リフとビート。マシュー自らの人生を投影させたリリックには、白人の内省や若者の自殺願望といった現代的なトピックも反映されている。2ndヴァースで歌われる「16歳で命を絶ったジェーン」は、実在したThe 1975のファンのことだ。そんな言及も含めて、この曲はThe 1975から世界中のファンに向けられた、「君たちの人生を引き受ける」というメッセージなのだろう。

  • 昨年から今年にかけて、鮮明になりつつあるポップ・シーンのトレンドとして、ディアスポラ2世、3世の新しい世代が中心となった非英米圏音楽の流入がある。もっとも顕著なのは、言うまでもなくアメリカのメインストリームにおけるラテン・ポップの定着。ただ、中南米/アメリカの関係性とよく似た構図で、アフリカの音楽がイギリスのポップ・ミュージックに影響を及ぼしつつあることも覚えておいて損はないだろう。その筆頭と言えるのは、グライムから多様な派生形が生まれているUKラップの一角、アフロ・バッシュメントだが、その影響力は今後、UKラップを超えてイギリス全体のメインストリームにも広く浸透していくはず。その点において、2010年代英国ポップ・シーンにハウス/ダンス・ミュージックを定着させた張本人であるディスクロージャーの新曲は、トレンドセッターの面目躍如たる一曲と言えるかもしれない。彼らがヴォーカリストとして招いたのは、マリ共和国出身の両親の下でコートジボワールに生まれた女性シンガー、ファトゥマタ・ジャワラ。西アフリカ発のアフロ・ビートをディスクロージャーお得意のハウス・ミュージックに落とし込み、サウス・ロンドン的なジャズの隠し味も加えたこの曲は、2018年のUKシーンを象徴するかのようだ。

  • 昨年後半から一大勢力となったエモ・ラップのムーヴメント。その勢いは今なお拡大中だが、昨年11月のリル・ピープ急逝を経て、各ラッパーの音楽性には変化の兆候が見られるようになってきた。孤独や不安、自殺願望といった内面的なトピックがリリックの主たる中心なのは変わらないものの、おしなべてトラックは多彩に、フロウはよりメロディアスに変化しつつあるのだ。3週連続全米1位を獲得する大ヒット・アルバムを上梓したポスト・マローンの作風を象徴の一つと見てもいい。そしてもう一人、エモ・ラップの今を象徴するアーティストとして聴いてみて欲しいのがこの男。シカゴ出身の19歳、ジュース・ワールドだ。リル・ウージー・ヴァートやリル・ヨッティと同じく短めのドレッド・ヘアで、見た目には今もっともありふれたラッパーの風貌だが、彼の音楽は昨今のエモ・ラップ/トラップ系の中でも突出してメロディアス。映画『レオン』のエンディング・テーマとしても有名なスティングの“シェイプ・オブ・マイ・ハート”をサンプリングしたトラックに乗せて、めそめそと失恋のことを歌い綴っている。この曲を収録したデビュー・アルバム『グッバイ&グッド・リダンス』は全米6位のヒットを記録。今のエモ・ラップが、特に内面の発達に揺れ動くヤングアダルトにとって重要な役割を果たしていることは間違いない。

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