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  • Reverie Isaac Gracie by MASAAKI KOBAYASHI May 22, 2017 1
  • Ghost Husky by MASAAKI KOBAYASHI May 22, 2017 2
  • Throwing Lines Kelly Lee Owens by MASAAKI KOBAYASHI May 22, 2017 3
  • Right Now (Live) Haim by MASAAKI KOBAYASHI May 22, 2017 4
  • Heat Brockhampton by MASAAKI KOBAYASHI May 22, 2017 5
  • アイザック・グレイシーは、ロンドンはイーリング出身の22歳のシンガー・ソングライター。女優でもある監督のアラノヴィッチは、歌詞の一節「バット、ダーリン、アイム・ジャスト・ノット・OK」に触発され、このミュージック・ヴィデオを撮ったという。ここに描かれているように、感情の、さらには、肉体的存在そのものの喪失は、失った者にも、失わされた者にとっても、全くもって「ノット・OK」だ。ただし、失って初めて知り得る感情もあるだろう。このMVで起きる超常現象の元凶そのものの描き方には、ラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』同様かなり大仰なところがあるとはいえ、あの映画がSFでないように、このMVが訴えかけてくるものも、グレイシーがメランコリーに歌う、意思疎通にまつわる不安なのかもしれないし、例えば、初恋の次に突如として降りかかる、信じられないほど大きな失恋の痛手といった(結果的には、次の次元へ移るための重要な)経験なのかもしれない。

  • これは、編み物に、ドット絵に通じるものを見た、と言ったらいいだろうか。編み目が見て取れる編み物を、いわばスクリーンに見立てて、その上にアニメーションが投影されている(あるいはその逆である?)かのような印象を受けるのが、このMVだ。メキシコの死者の日をモチーフにしたキャラが、編み物特有の素朴な風合いを持ったまま、初期コンピュータ画像のイメージと重なりながら、動き出すという、超現実な効果が面白い。そういえば、(映画ではなく)TVシリーズの『ファーゴ』のシーズン1のポスターのデザインが(雪深い場所が舞台なので)、手編みのセーターの模様のごとく、文字も絵も全て編み物で表現されているかのように見せた秀逸なものだったのを思い出した。

  • ケリー・リー・ウーウェンスのMVだから、観てみようか、という理由でもなければ、ここに出てくる二人が何をしているのか、何をしたいのか、よくわからないまま、途中で観るのをやめてしまう人もいるだろう。それでも、2分過ぎまで見ると、どういうことなのか、わかり始め、最後まで観ると、肝心のアーティストが来なかったとあらかじめ断りつつも、理由をつけて登場させてしまう、ヤング・サグの“ワイクリフ・ジョン”のMVに比べると、こっちは随分と潔い! と感じるはず。基本的な着想は面白いのに、“ワイクリフ・ジョン”のほうは、説明や装飾が過多なのだ。

  • 生撮りだから緊張感が伝わってくるのか、ハイムの三人がスタジオでの演奏を、かのポール・トーマス・アンダーソン監督に生撮りされてしまうために緊張しているだけなのかはよくわからない。例えば、(どうにも気になる)エスティの特徴的な口の動きは、無意識の産物だろうが、歌い切ったあとのダニエルの表情は、他者の視線を受け止めているように見える。そういった見方に拍車をかけるかのように、このまま最後までワン・ショットで緊張感を持続かな、と思うあたりで、カットを割り始める。このMVから、映画好きでなくとも、『ワン・プラス・ワン』での、ローリング・ストーンズの“悪魔を憐れむ歌”のスタジオ・セッション場面を思い浮かべる人がいるかもしれない。ただ、このMVの監督は「すぐれて映画学校的な面ではゴダールは好きだ。自分は彼に感情的にやられたことがあった、とは言えない。トリュフォーには、感情的にやられたことがあるというのに」と語っている。そこを踏まえて、両者を比較しながら観るのも一興かもしれない。

  • 一方、ケヴィン・アブストラクトが監督した、彼の属するグループ、ブロックハンプトンの最新ミュージック・ヴィデオは、完全にワン・ショットの長回し。デビュー・アルバム『サチュレイション』の先行曲だからなのか、8人いるメンバーひとりひとりの顔とパフォーマンスを間髪入れずに次々に見せてしまおうというのだろう。ただ、さすがに、1分近くあるアウトロは、手持無沙汰だったのか、その結果、勢い余った8人のやり過ごし方がかなり愉快なものとなっている。それにしても、テキサスを本拠地とするグループが、わざわざL.A.はサウス・セントラルの住宅街にまで来て、こんなヴィデオを(もう1曲の先行発表曲のMVに続いて)撮ったのはなぜだろう? また、このMVのYouTubeのコメント欄では、オッド・フューチャーをひきあいに出す向きが散見されるけれど、それは、昨年発表された彼らのミックステープ『オールアメリカントラッシュ』を聴いていないからに違いない。

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