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  • Things It Would Have Been Helpful To Know Before The Revolution Father John Misty by MASAAKI KOBAYASHI August 25, 2017 1
  • Awful Things feat. Lil Tracy Lil Peep by MASAAKI KOBAYASHI August 25, 2017 2
  • Hold On feat. Josh Barry Fabich by MASAAKI KOBAYASHI August 25, 2017 3
  • Turn Up On the Weekend Branchez & Big Wet by MASAAKI KOBAYASHI August 25, 2017 4
  • Blk & Wht Zebra Katz by MASAAKI KOBAYASHI August 25, 2017 5
  • レディオヘッドの“バーン・ザ・ウィッチ”、ラン・ザ・ジュエルズの“ドント・ゲット・キャプチャード”に続き、人形を使ったストップ・モーション・アニメを得意とする、クリス・ホープウェルが撮ったMV。例えば、ファーザー・ジョン・ミスティ自身が、この曲で、今まで日常生活で普通にしてきたことをやめるのなんて大したことではないさ、と反語的に歌い、ソーシャル・ネットワーク絶ちをしたことを示唆する部分はある。けれども、このMVのモチーフの一つである、捻りの効いたスマートフォンの有効利用などは、歌詞には出てこない。そのあたりについては、歌詞の最後にある「身の回りから、突如、利便性が消えても、俺たちには、将来のヴィジョンが見えていて、モノを開発する。それを助けに、俺たちは生き残りをかけて苦闘する。死ぬことを拒絶する、この神なき岩場で」あたりからホープウェルは想像したのではないだろうか。まあ、確かに、人類滅亡後という設定は、歌い出し近くの部分と呼応している。ただし、このMVは、決して歌詞の補足的な映像ではない。ファーザー・ジョン・ミスティの歌う言葉が、抽象的なものではなく、かといって、イメージを限定してしまうわけでもなく、イマジネイティヴなものであることを伝える優れた一例となっているのだ。

  • 現在20歳のリル・ピープ(ニューヨーク州のロング・ビーチ出身)及び彼を取り巻くラップ・シーンの一傾向等については、連載『<Ahhh Fresh!>ラップ/ヒップホップ定点観測』のほうで、を既に年頭から数回取り上げている。その彼のデビュー・アルバム『カム・オーヴァー・ウェン・ユア・ソバー(パート1)』の収録曲のMVがこれだ。監督の一人は、音楽プロデューサーで、ザ・ルーツ他を手がけ、アーティストとしても、ダス・レイシストの面々等とも共演しているホット・シュガー。自身のMVも自ら撮り続けていて、“メイデイ”をはじめとする諸作品で見られるように、スロー・モーションというか、一貫して気怠さを失わないテンポ作りが一つの特徴となっている。それが、ここでは、醒めきった表情のピープが、ファイヤスターターとして操る緩やかな発火へとつながる滑らかさは心地良くもある。9歳のドリュー・バリモアが(今見返しても可愛いらしい)『炎の少女チャーリー』で、発火させる瞬間に気張るのとでは対照的だ。

  • もう、終わりにしましょう、というガールフレンドに、お願いだから、と、すがる(hold on)男性。彼は、彼女を、つかんで離そうとしない(これまた、hold on)。ジョッシュ・バリーの熱い歌声に呼応するかのように、本当に片時も彼女を離したくない! と絶望的なまでに願う彼の心情を直接的な行動として表現してみたら、というアイデア一つで生まれたのではと想像できるのが、このMV。フラれた女性のことを、いつまでもいつまでも引きずり続けるのは、男の未練がましさの典型例だが、ここに出てくる男は、フラれた女性に一生引きずられることを選んだようだ。後日談として用意されている、3分20秒以降の展開には、爆笑するしかないだろう。

  • ブランチーズは、トラップ(注:アトランタのトラップ・ミュージックではないほう)のアーティストとして2013年頃から活動が目立ってきたアーティスト。このMVのYouTube画像に写っているのが、カウボーイ・ハットを被ったデカい男(ビッグ・ウェット)の姿だったので、もしかしたら、もしかして……と思ったら、案の定、カントリー・トラップとでも呼んでもらいたそうな、808のキックを加工したブーンという低音が特徴的でいて、歌うはカントリーという趣向となっている。で、タイトルは「週末はタナ」。この曲が、果たしてこれでうまくいっているのか(なにをもって?)、はまっていないのか(何が何に?)、などと考え、まず無意識に(ジャンルの)紋切型に当てはめて評価してしまうこと自体に疑問を投げかけているとも解釈できるのが、このMV。カントリーを歌う「野郎」が、男にウインクされたり、クイア&トランス・ムーヴメントの新たな旗手リッチー・シャザム・カーンと2ショットに収まったり、荒馬ではなく、海辺でロデオマシーンに乗っていたりするのを見た時に違和感を覚えるとしたら、それを疑え、とでも言っているかのよう。マシーンを、ブランチーズ自身が操っていることを示すラストも上手い。

  • ヘリコプターではなくて、深夜の森林に向けて投光しているのはドローン。数人がかりで何かの捜索にでも駆り出されているのか、と一瞬思いきや、男女数人からなる彼らは、どうやら自分たちを匿ってくれるところ、身を隠せる場所を必死に探しているようだ。しかも、なんと、ここに登場する人たちはすべて実際に難民としてデンマークに辿りついた人たちだという。あまりにショッキングなエンディングのせいで、この曲を歌っているジブラ・カッツが、クイアあるいはゲイという言葉で安易に括られるだけのアーティストではないことも、あらためて思い知らされることになる。

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