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  • Kolshik Leningrad by MASAAKI KOBAYASHI April 03, 2017 1
  • Territory The Blaze by MASAAKI KOBAYASHI April 03, 2017 2
  • God In Chicago Craig Finn by MASAAKI KOBAYASHI April 03, 2017 3
  • Anxi Kelly Lee Owens by MASAAKI KOBAYASHI April 03, 2017 4
  • The Cave of Rebirth Tigran Hamasyan by MASAAKI KOBAYASHI April 03, 2017 5
  • 5分40秒あまりを主観ショットだけで見せるウィークエンドの“フォルス・アラーム”のミュージック・ヴィデオを撮ったイリヤ・ナイシュラー監督の最新作が、このMV。というか、日本では、ようやく、この4月に劇場公開される映画『ハードコア』(2016)で、ゴープロを使用し、主観ショットのみ(つまり、1ショット)で90分にわたるアクション映画を撮った実績を買われて、“フォルス・アラーム”に起用されたというのが、正しい順序だろう。というあたりを踏まえて、このMVを観始めると、すぐに、この監督、アイデア一つで勝負するのが好きだなあ、と思わずニヤリとしてしまうはず。さらに、ここに、短編を基に『ハードコア』が作られたという事実を付け足せば、このMVの手法をメインにした映画も今後作られるかもしれない(そんなの作られないか)。

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    始まってすぐ、故郷に戻ってきた(?)筋骨隆々とした男が、なぜここまで人々と熱い抱擁を交わしてゆくのか、その理由が全くわからないのに、そこでの強烈な情動が、MV全体に流れるエモ―ションを完全に形作ってしまう。前回取り上げたPNLによる(連作)ミュージック・ヴィデオでも台詞が一切ないのは、これと同じだが、そこでの情動は、あくまでも劇的な物語があって、それに従属していたものだった。それと比べてみても、(ユーモアは含まれてはいるものの)下手に物語ろうとしない映像で、ここまで見せるとは見事だ。そして、5分30秒という長さを感じさせない上に、続き、というか、ここで描かれている(アルジェリアで撮影されたという)彼のその後の生き方がどうにも気になってしまう。ブレイズの二人が、楽曲のみならず、このMVも監督しているという事実には、納得よりも、驚きのほうが大きい。

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    一方、“ゴッド・イン・シカゴ”のMVは、基本的に、この曲でクレイグ・フィンの口から語られるストーリーテリングを踏まえて作られている。そこから察するに、このMVでは、兄を亡くした妹からの一本の電話をきっかけに、兄の親友が彼女と行動を共にするしていると、見ていいだろう。とはいえ、決して説明調にはならない。例えば、在りし日の兄の姿を映し出す、というような無粋なことはしないし、どこまでも、そして、どんなことをしても、埋め合わせることのできない喪失感の行方を、慎ましやかに追い、フィンの歌詞世界へと導き返してくれる。また、閉じてゆくエレベーターの扉に映る妹の一瞬の表情を捕まえるようなセンスは、フロントガラスから見えた(天気雨なのか)豪雨に見舞われた瞬間のフリーウェイの光景を捉えた、この曲を含む彼の最新アルバム『ウィ・オール・ウォント・ザ・セイム・シングス』のアートワークからも嗅ぎ取れる。

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    手によって動かされた(複数の)円をきっかけに、回転する円形、レコード、回転軸、映写機のリールへとイメージが広がり、ベルトコンベアに載せられたら最後、一定の速度を保って走り続けない限り、弾き飛ばされてしまう不安が持続されてゆく。これは、現実なのか、頭部がまん丸に集約されてしまった人間の悪夢にも似た夢想なのか、ここにフィーチャーされている、ジェニー・ヴァルは、現実という物語に触れている。確かに、この曲のタイトルの四文字は、不安を意味するアングザイエティの綴りに含まれてはいるわけだが……。

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    ティグラン・ハマシアンは、この5月に来日公演を行なうアルメニアのピアニスト。MV作りにも毎回、力を入れていて、例えば、2014年の“ジ・イヤー・イズ・ゴーン”では、荘厳な雰囲気の図書館内の書見台に広げられた人体解剖図鑑の図版の数々が、予想もしなかった動きを伴うことになるというものだった。今回のMVでは、それがさらにスケールアップされ、ピアノのトランスフォーメーション(当然、そこに彼の持つ音楽性の広がりを重ねあわせられる!)が、こうまで展開するのか、と唸らされる、のだが、彼自身は至って普通にプレイに集中しているだけなのだ。

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