SIGN OF THE DAY

ダフト・パンクの“ゲット・ラッキー”を機に
再びポップの最前線に躍り出たレジェンド、
ナイル・ロジャースを目撃しよう! 前編
by SOICHIRO TANAKA November 26, 2015
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ダフト・パンクの“ゲット・ラッキー”を機に<br />
再びポップの最前線に躍り出たレジェンド、<br />
ナイル・ロジャースを目撃しよう! 前編

ナイル・ロジャースがやって来る! キャリアの出発点である自らのバンド、シックを率いて、しかも自らのキャリアを総括するような豪華なセットリストと共に! というのですから、これは興奮せずにはいられません。

しかし、中には「え、そうなの? ナイル・ロジャースって、ダフト・パンクの“ゲット・ラッキー”でギターを弾いてる人でしょ? そんな偉大な人なの?」という若輩者もいるかもしれない。

でも、まあ、それも致し方ないところ。だって、ナイル・ロジャースと言えば、そもそも78年に600万枚ものセールスを記録した全米No.1ヒットーー“ル・フリーク”(当時の邦題は“おしゃれフリーク”)を生み出したディスコ・バンド、シックの創始者。それも、もう37年前の話ですからね。ただ彼のキャリアはそれだけではないんですよ。

その後、80年代を通して、ディスコ音楽だけでなく、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、デュラン・デュラン、ミック・ジャガー、シンディ・ローパー、シーナ・イーストン、ジェフ・ベックーー幾多のポップ・アーティストのプロデュース・ワークでも一時代を築き上げた人。90年代~ゼロ年代にかけては目が覚めるような動きはなかったものの、件のダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』において、ジョルジオ・モロダーやポール・ウィリアムスといった同時代のレジェンドと共にフィーチャーされたことで、2013年以降、再び彼の偉業に脚光が当たったというわけです。

そんなわけで、以来、ナイル・ロジャースはすっかり時の人。これは世界的な事実なのでメモっておいて下さい。参考までに、現在のナイル・ロジャースという存在がどれだけポップの最前線にいるのかということを確認するために、『ランダム・アクセス・メモリーズ』での再評価以降、いくつもリリースされることになったナイル・ロジャース関連曲からふたつほど貼っておきます。コラボレーターはサム・スミスにディスクロージャー、アヴィーチー。ね、見事に「今」でしょ?

Sam Smith x Nile Rodgers x Disclosure x Jimmy Napes / Together (2013)

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Avicii ft. Nile Rodgers & Adam Lambert / Lay Me Down (2014)

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あるいは、そうした再評価の波を受け、再結成されたシックが2013年に〈グラストンベリー〉に出演した際に、ノエル・ギャラガーが残したこんな言葉ーー「ローリング・ストーンズもアークティック・モンキーズもディスクロージャーも良かったけど、シックこそがファッキン・メガだった」もメモっておいてもらってもいいかもしれません。

でもって、そもそもナイル・ロジャーズという人がポップ音楽の歴史において、いかに偉大な存在なのか? を端的に感じ取れる映像を貼っておきましょう。もはや大方の人にとっては釈迦に説法かもしれない、この映像。でも、何度観ても感動的なので、改めて打ち震えて下さい。そう、2014年のグラミーにおけるパフォーマンスです。

1つ目の演目はダフト・パンクの“ゲット・ラッキー”。中央にいるのがファレル・ウィリアムス、右にはスティーヴィー・ワンダー、左手で白いダブルのスーツに身を包み、ストラトキャスターを弾いているのが我らがナイル・ロジャースです。客席にはブルーノ・マーズやケイティ・ペリーといった現代のスターだけでなく、ゴキゲンにステップを踏むサー・ポール・マッカートニーもいらっしゃるのでお見逃しなく。俺的ハイライトは4分40秒。ジャームス~ニルヴァーナと渡り歩いてきたUSパンクの生き証人、パット・スメアが見せる最高の表情です。

Daft Punk / Get Lucky ~ Stevie Wonder / Another Star

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2分36秒のブレイクからインサートされるのが、シックの“ル・フリーク”。これは思わず悶絶、卒倒するところ。しかも、3分40秒からはコードが変わって、そのままスティーヴィ・ワンダー76年の大傑作『ソングス・オブ・ザ・キー・オブ・ライフ』からの“アナザー・スター”に繋がっていくというわけです。ここは完全に落涙するところです。

まさに70年代から10年代にかけてのいくつもの歴史がひとつに繋がった瞬間。うわー、音楽ってこういうことなんだよな、と誰もが心の底から納得出来る感動的な瞬間です。

つまり、この12月にナイル・ロジャースが自らのバンド、シックを率いて、東京と大阪でライヴをする、しかも、シック名義のアルバムも準備中というタイミングで。これを目撃するのは、豊饒なるポップ音楽という歴史に連なるという体験でもあるわけです。

というわけで、「でも、どんな曲を演奏するのさ? ダフト・パンクの“ゲット・ラッキー”とかも演ったりするの? でも、それ以外の曲とか知らないしさ」という皆さんのために、この記事を用意しました。

ここでは、ノエル・ギャラガーが打ちのめされた2013年の〈グラストンベリー〉含め、この数年の間、海外でのシックのツアーで演奏されている曲を中心に、ざっくりとナイル・ロジャースのキャリアを振り返ってみたいと思います。この記事に貼った曲を聴いておくだけでも12月のライヴは十二分に楽しめるはず。

「でもさ、それって、懐メロ大会なんじゃないの?」という疑心暗鬼な読者のために、まずは今年2015年3月にリリースされたシック名義の新曲を貼っておきましょう。どうだ、この完璧な現役感。

Chic feat Nile Rodgers / I’ll Be There

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というわけで、ようやく本題です。今回の来日は前述のトラック“アイル・ビー・ゼア”を皮切りに、シックとしての新作も噂される中での来日ーーまあ、なかなか完成しないっぽいんですけど。ただ、この数年間の海外での記録を確認する限り、今回のツアーにおけるセットリストは、これまで彼がギタリスト/プロデューサーとしてかかわってきた珠玉のトラックの大半を網羅するという超豪華なもの。繰り返しになりますが、歴史を体感出来ると言っても過言ではない。

では、始めましょう。「これさえ知っておけば、大丈夫」というナイル・ロージャース関連曲を網羅。ざっくりと歴史を俯瞰しつつ、当日のコンサートを120%堪能することが出来るよう勤めました。海外でのセットリストを確認する限り、どれも必ず演奏されるはずです。

ではまずは1977年のシックの1stアルバム『シック』から2曲。クラシック中のクラシックです。当時の空気感と共に楽しんで下さい。

Chic / Dance Dance Dance (1977)

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Chic / Everybody Dance (1977)

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次は、現在のシックでは、こうしたクラシック・トラックがどんな風にアップデートされているかを見ておきましょう。特に“エヴリバディ・ダンス”では、その後のミュンヘン・ディスコのひな形となった、シックもうひとりの首謀者たる故バーナード・エドワーズによるスラップ・スタイルの、当時のディスコの特徴的なベース・ラインが、現代風のより隙間のあるベース・ラインに置き換えられています。件の2013年の〈グラストンベリー〉での演奏です。

Chic feat. Nile Rodgers / Everybody Dance (live at Glastonbury 2013)

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ね。つまり、今回のツアーは歴史に繋がるものであると同時に、今を体感するツアーでもあるわけです。

では、お次は、ディスコ音楽の全盛期である78年にリリースされた2ndアルバム『C'est Chic(邦題:エレガント・シック)』から2曲。まずは、件の600万枚ものメガ・セールスを記録したシックの超がつく代表曲。どこまでもグルーヴィかつシルキー。ナイル・ロジャースのギターもバーナード・エドワーズのベースも脂が乗りきっています。この曲だけは頭と身体に叩き込んでおいて下さい。

Chic / Le Freak (1978)

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個人的な話になりますが、この1978年当時、ビートルズを聴いてたりするとガキ扱い、ハード・ロックを聴いていたりすると童貞扱い、ボズ・スキャッグス、イーグルス、エリック・クラプトン辺りを聴いていないとどうにもならない、でもって、高校一年生の夏にやんちゃの誰もがサーファー・ディスコ・デビューし、その大阪のディスコから山下達郎が“ボンバー”によってブレイクするのに立ち会うという、大阪市内の進学校特有のカジュアル・ヤンキー文化圏にいた人間からすると、この辺りの曲を聴くと、完全に思い出迷子になってしまうのです。

Chic / I Want You Love (1978)


このベージュ色を基調としたヨーロピアン・スタイルも気分がくらくらします。当時は、ファッション的にもJUNだの、DOMONだの、ヨーロビアン全盛期。ツレの誰もが、アメリカのダンス音楽番組『SOUL TRAIN』のロゴの入ったTシャツを持っているという、そんな時代です。ここ日本でも、単なる音楽のトレンドというよりは、いろんなカルチャーの中心にシックの音楽があったというわけです。

この辺り、本当はシック単体ではなく、同時代の横軸で見ていくと非常に面白いんですけど。例えば、クラッシュにしろ、ブロンディにしろ、その後のABCにしろ、デュラン・デュランにしろ、パンク~ニュー・ウェイヴ・バンドがどんな風にディスコから影響を受けたか。再結成ロキシー・ミュージック、デヴィッド・ボウイといった、パンク誕生後も馬鹿にされることのなかった数少ないオールド・ウェーヴ勢がディスコに対して、どんな位相にいたのか。

技術的な問題で、ひとつの記事に10以上の映像は貼れないのでスルーしておきますが、是非、デヴィッド・ボウイが『SOUL TRAIN』に出演した時の映像とか、探してみて下さい。今みたくすべてのジャンルがフラグメント化してしまった時代と違って、ありとあらゆるものがクロスオーヴァーしていた、その中心のひとつとして当時のナイル・ロジャースがいたことを感じてもらえると思います。

というわけで、後編に続きますが、最後にちょっと感動的な映像を。件の2012年の〈グラストンベリー〉大団円後の模様です。日本でもこんんな風になったら、最高だな!

Chic feat. Nile Rodgers / Get Lucky (live at Glastonbury 2013)

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「ダフト・パンクの“ゲット・ラッキー”を機に
再びポップの最前線に躍り出たレジェンド、
ナイル・ロジャースを目撃しよう! 後編」
はこちら





Chic feat. Nile Rodgers
I'll Be There Tour In Japan 2015

>>>大阪公演
開催日:2015年12月1日(火)
会場:ZEPP NAMBA
開場18:00 開演19:00
チケット代:8,500円(税込/1F Standing/1ドリンク別)
10,000円(税込/2F指定席/1ドリンク別)

>>>東京公演
開催日:2015年12月3日(木)
会場:ZEPP DIVERCITY TOKYO
開場18:00 開演19:00
チケット代:8,500円(税込/1F Standing/1ドリンク別)
10,000円(税込/2F指定席/1ドリンク別)

開催日:2015年12月4日(金)
会場:ZEPP DIVERCITY TOKYO
開場18:00 開演19:00
チケット代:8,500円(税込/1F Standing/1ドリンク別)
10,000円(税込/2F指定席/1ドリンク別)


*詳細はクリエイティブマンのサイトにてご確認下さい。

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