SIGN OF THE DAY

UKインディが死亡宣告間近って本当?
その救世主となり得るバンドはいるのか?
という疑問への答えを出す5組をご紹介
by YOSHIHARU KOBAYASHI July 13, 2016
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UKインディが死亡宣告間近って本当?<br />
その救世主となり得るバンドはいるのか?<br />
という疑問への答えを出す5組をご紹介

英国インディが壊滅的な状況というのは、もう何年も前から言われている話。底力を見せているUSインディに大差をつけられているのは言うに及ばず、ヨーロッパ内でもハインズを生んだスペインや、アイスエイジらがいるデンマークに話題を奪われている有様。ポップの世界では女王アデルやワン・ダイレクションなど英国勢も活躍を見せていますし、ジェイムス・ブレイクのようにビヨンセやフランク・オーシャンとの邂逅でアメリカのメインストリームに食い込む可能性を見せているアクトもいます。が、ことインディ・ミュージックに関しては、かなり前からイギリスの影が薄くなっているのは確か。

では、もはや英国インディには何の希望も見出せないのか? それを検証するために、まずは2016年現在の状況を整理してみたいと思います。

今イギリスでもっとも勢いがあるギター・バンドと言えば、The 1975でしょう。最新作は英米1位を奪取し、先日はイギリスでの大規模なアリーナ・ツアーを発表。ただ、彼らはインディの磁場からは切り離された存在。とことんポップであることを恐れない姿勢は新世代的ですが、彼らの求心力がこれほど強まっているのは、インディの衰退の裏返しだとも言えます。

The 1975 / The Sound (live at Glastonbury 2016)

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他に最近の目立ったトピックを挙げるとすると、90年代の「UKロック」を思い起こさせるビッグなサウンドのキャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメンが新作『ザ・ライド』で全英1位を取ったこと、そして煌びやかなポップ・ロックを鳴らすブロッサムスが業界からプッシュされていること、でしょうか。しかし、これも英国インディの厳しさを逆照射しているという意味で、The 1975が支持を集めているのと近い現象です。

Catfish And The Bottlemen / 7 (live at Glastonbury 2016)

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勿論、英国インディで注目すべき新人が皆無になったわけではありません。ファット・ホワイト・ファミリーやシェイムのように、どこか不機嫌で、社会への怒りを滲ませているようなバンドたちは、今のイギリスの写し鏡のようで注目に値します。

Fat White Family / Whitest Boy On The Beach

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Shame / The Lick


彼らは音楽的にコペンハーゲン勢と緩やかに共振するところがあるのも面白い。ただ、こういったアンチ・ポップ的とも言える底辺からの叫びが、今後どれだけポピュラリティを得るかは未知数でしょう。

このように改めて状況を俯瞰してみても、英国インディが依然として厳しい状況に置かれているのは明らか。これは、オルタナティヴな音楽の世界において、イギリスがトップ戦線に立つ時代は終わった。アメリカとの二強時代は過去のものになりつつある。という見方の証左になるかもしれません。

しかし、そんな沈みゆく英国インディにおいて、例外的に奮闘しているバンドもいます。その代表として挙げるべきは、やはりサヴェージズ。

Savages / The Answer

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イギリスでのチャート・アクションだけ見れば、テンプルズやウルフ・アリスといった、ここ1、2年でブレイクしたインディ・バンドの方がサヴェージズよりも上。実際、この二組も大いに奮闘しているのは間違いない。

Temples / Shelter Song

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Wolf Alice / Bros

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しかし、サヴェージズが他の英国インディ・バンドと決定的に違うのは、アメリカでの評価も高く、確固たるファン・ベースを築き上げているところ。2013年の1st『サイレント・ユアセルフ』は〈NME〉と〈ピッチフォーク〉の年間ベストで共にトップ10入りしましたが、これはイギリスの新人バンドでは異例中の異例。2016年にリリースした最新作『アドア・ライフ』のプロモーションでは、アメリカの有名TV番組に幾つか出演していることからも、その注目度の高さが窺えます。

Savages / Adore (live on The Ellen Show)

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しかも彼女たち、つい最近、ベックやフー・ファイターズを擁するマネージメントに移籍したという情報まである。これは数々の大物を育ててきたチームからも将来性があると見染められた証拠でしょう。

こうした事実を踏まえると、サヴェージズは2010年代デビュー組で唯一、ワールドワイドで高い評価を受けている英国インディ・バンドである。と言っても過言ではないのです。

では、なぜサヴェージズだけが英国インディ勢で例外的に成功しているのか? その理由をピンポイントで指摘するのは難しいですが、彼女たちのライヴ・パフォーマンスの素晴らしさが人気の土台を支えているのは確か。

そのライヴを観たことがある人には釈迦に説法ですが、エイス・ハッサンのベースを軸としたタイトでパワフルなアンサンブルは、同世代で比肩するバンドが見当たらないほどの強烈さ。時間に余裕のある人は、2016年3月にパリで行われたライヴのフル・セット映像をチェックして下さい。アルバムの何割増しもハードな一曲目の“サッド・パーソン”から、かっこよ過ぎ。

Savages live at La Cigale 2016 (full set)


そして、もうひとつ考えられる理由は、サヴェージズが英国ポストパンクと米アンダーグラウンドのノイズ/ハードコア/インダストリアルを繋ぐ存在であること。

彼女たちのこうした音楽的特性は初期から垣間見えていましたが、『アドア・ライフ』でより顕在化しています。例えば、タイトル・トラック“アドア”にスワンズからの影響が見出せるのは、多くの人が指摘している通り。“T.I.W.Y.G.”はまさにサヴェージズ流のハードコアですし、アルバムのトレーラーではヘンリー・ロリンズを召還していたのを覚えている人もいるはず。

Savages / Adore Life Trailer

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実際、サヴェージズが2000年代イギリスのポストパンク・リヴァイヴァルと決定的に違うのは、ノイズ/ハードコア/インダストリアルを通過した2010年代のモダンなヘヴィネスを内包している点。それがスワンズ再評価の機運などがあったアメリカでも受け入れられているのは、決して理解に難しいことではありません。

英国インディが死に体なのは事実。しかし、サヴェージズはその中で、ほぼ唯一の例外。アメリカでの評価や人気の高さも特筆に値する。はっきり言って、状況が追いついていないのは日本だけ。なので、これだけは言っておきたいと思います。「最近はいいインディ・バンドがいない」と嘆くのなら、これほど欧米がざわめいているサヴェージズを観てからにした方がいい、と。




〈Hostess Club Osaka Presents Deerhunter / Savages〉
日程:2016年8月18日(木)
会場:なんばHatch
開場 18:00 開演 19:00
チケット:6,800円(税込/1ドリンク別途)
詳細はこちら>>>
http://ynos.tv/hostessclub/schedule/20160818.html

〈HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER〉
日程:2016年8月20日(土)
開場:幕張メッセ
チケット:8,500円(税込)
*サマーソニック東京の各入場券をお持ちの方は入場可能。
出演:
Dinosaur Jr.
Animal Collective
Deerhunter
Matthew Herbert
Temples
Savages
Asgeir
John Grant
詳細はこちら>>>
http://ynos.tv/hostessclub/schedule/201608hcan/




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