ベスト・アルバムの1位はどうしても決められなかった。どちらも2021年の癒しだった。イエ、ドレイク、リトル・シムズは仕事で聴きすぎて客観的な判断ができず、外した。サマー・ウォーカー、ティナーシェ、ナオ、クレオ・ソル、ドージャ・キャット、アーロ・パークスはなんなら全員同率6位でいいくらい好き。ベスト・ソングはいままで選んだことがなく、単純に一番よく聴いていた曲を並べた。5曲目は同じタイトルのちがう3曲を並べて聴くのが好きだったのでしれっと反則をカマしています。でも、“ウーマン”というタイトルの曲がたくさん作られ、ジャズミン、カーディ・B、ミーガン・ザ・スタリオンらが「いい女像」をぶち壊してくれた、素敵な年だったので。
映像作品はお約束の展開を楽しむ場合と、どうなるかわからない斬新な作品をまじめに視聴する場合で完全に心構えが異なる。ここに挙げたのはすべて後者。2位はiPhoneで撮影した台湾映画で、フランス映画を意識している感じがとっても良かった。アメリカではポリティカル・コレクトネスを配慮しすぎて時代背景を無視した設定、展開の作品が増え、そのあたりは詳しい方なので「この時代にこれはないんじゃ?」と気づくと途端につまらなくなる。50年前の価値観そのまま見せる『ボーイズ・イン・ザ・バンド』はひとつの答えであり、同時に「LGBTQの作品は演者もそうであるべきか」という悩ましい問題の明快な例(答えではない)になっているので、興味がある人はぜひ。
〈サイン・マガジン〉のライター陣が選ぶ、
2021年のベスト・アルバム、ソング
&映画/ドラマ5選 by 天野龍太郎
「〈サイン・マガジン〉のライター陣が選ぶ、
2021年の年間ベスト・アルバム、
ソング、ムーヴィ/TVシリーズ5選」
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2021年
年間ベスト・アルバム 50