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  • Anxiety Preoccupations by MASAAKI KOBAYASHI July 05, 2016 1
  • Brea Oddisee by MASAAKI KOBAYASHI July 05, 2016 2
  • Óveður Sigur Rós by MASAAKI KOBAYASHI July 05, 2016 3
  • Red Alert / 100 Roses Jazz Cartier by MASAAKI KOBAYASHI July 05, 2016 4
  • Frankie Sinatra The Avalanches by MASAAKI KOBAYASHI July 05, 2016 5
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    このミュージック・ヴィデオの40秒過ぎから登場する幽体離脱場面が、画面が黒白ということもあり、デュアン・マイカルズの写真作品「ザ・スピリット・リーヴス・ザ・ボディ」を直ちに思い起こす向きもあるかもしれない。そこで彼は、場面写真のように写真を何点か並べて一つの作品(タブロー・フォトグラフ)としていたので、このMVではそれを動かしたとも言える。このマイケルズの撮ったもの(オリジナル作品)ではポリスの『シンクロニシティ』のジャケが恐らくもっとも世の中に出回ったものだろうが、彼が撮った77年の「オマージュ・トゥ・パリ・ドゥ・シャヴァンヌ」を、そのまま80年のデビュー・アルバム『イン・ザ・フラット・フィールド』のジャケのアートワークに使ったのが、バウハウスだった。そして、この曲を演っているプリオキュペイションズとは、少し前までヴェト・コンと名乗っていたカナダのバンド。ということで、改名後もポストパンク/ゴシック・ロック以降の自分たちの立ち位置をヴィジュアル込みで総合的かつ的確に表現している。

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    自分の目ではその存在を確認することは容易ではないし、視線をあわせるチャンスなどほとんどないかもしれないけれど、自分の心に潜んでいる何か(もう一人の自分?)が踊り出したら……オディシーのこの“ブレア”に流れるソウルフルな高揚感の産物がこのMVなのだろうか。しかも、その心の中の何かが、自分と一緒に踊り、こんなに優美な姿と舞いを見せてくれるとは……ただし、その様子を一部始終見ることが出来るのはMVを見ている側だけなのか、と思うと、なんともせつない気持ちに。

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    一方、シガー・ロスのこのMVでは、スローモーションを多用することで(もしかしたら、監督のジョナス・アカーランドが、前作のビヨンセの“ホールド・アップ”のMVでなぞったピピロティ・リストのヴィデオ・アートの手法に由来???)、白日のもとにさらされたアルコール依存の女性の一挙手一投足に、振付されたかのようなアクションを見出している。曲の途中から、パーカッションがショットガンを思わせるビートに増強される頃、後半の屋内場面では、アカーランドお得意の(例えば、昨年、ローズ・マッゴーワンの“RM486”のMVで見せた)色調と言うか、怪奇趣味を全面展開させ、ねっとりと血の色に染め上げられ、屋外の自然光に溢れた前半部とは一変。シガー・ロスとしてのサウンドの新転換をも十分に予感させる。

  • ビョークが、360度ヴァーチャル・リアリティ(VR)体験型の“ストーンキラー”のMVを発表したのが、今からほぼ一年前。この手法が、見る側にとってどれほどの興味を持って迎えられているのかはわからない。ただ、このジャズ・カーティエが(本年度上半期注目のミックステープ)『ホテル・パラノイア』の収録曲2曲をつなげて作った、このMVを見る限り、進歩し続けていることがわかる。VRヘッドセットを使用して見るのが基本設定というハード面は別にしても、興味深い。360度VR式のMVでは、基本的にどの位置からも見てもアーティストの姿が視界に入るように出来ている。それが、ここでは、最初からそこを無視して、主役のジャズ・カーティエを追っていかない限り、つまり、見る側も能動的にならないと、ほとんど何も変化が起きない画面が続くことになる(勿論、何も画面操作をしなくとも、曲は続いているし、MVとしての一貫性は保たれている)。さらに、2曲目が始まる後半部は、もはや、“ストーンキラー”をあざ笑うかのように、画面を動かさなくとも、ジャズ・カーティエ(のクローン)が、同じ画面に同時に複数登場する事態になっている。360度VR、まだまだ他にもアイデアがありそうだ(というか、ある!)。

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    このMVがなかったら、いや、むしろあるからなのか、この曲で結局一番記憶に残るのは、フランク・シナトラに、あんたの声カリプソにピッタリだから! 歌ってよ、と繰り返されるウィルモス・フーディニの(サンプルされた)歌声なのでは? という結論もなくはない(MVの主要キャストが年長者だということも関係しているだろう)。これを初めて見た時、ダニー・ブラウンとドゥームがフィーチュアされているのを知らなかったが、前者がおクスリ大好き人間、後者がマリファナ狂とくれば、ここでネオン・イエローのスムージーみたいな物質が出てくるのもよくわかる。しかも「オンナを引っ張ってきて牡蠣の味見、俺は舌を真珠に這わせる」というラインと登場人物が、チキンを狂ったように貪る場面が重なっていたりして、ダニー・ブラウンに合わせ過ぎではと思っていると、ブレイクで突如“わたしのお気に入り”が飛び出し、妄想/幻覚場面に切り替わり、ここでも、ダニーの紋切り型のイメージを増幅しているな、と気づかされる(おかげで、笑って安心して見られるわけだが)。そのあたりから、このMVを見ていると、出来上がった楽曲は、アヴァランチーズが前作から16年の間に、カリプソの音楽的濃度や包容力を発見した結果なのか、はたまた、以前からどんなビートにも柔軟に対応できるドゥームやダニー・ブラウンの器用さ(ただし、ここでのヴァースは、2016年現在の彼のスタイルではないと思う、録音が古そう)に気づいた結果なのか、なんなのか……。

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