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  • J.S.B.DREAM 三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE by KENTA TERUNUMA April 22, 2016 1
  • KARATE‬ BABYMETAL by KENTA TERUNUMA April 22, 2016 2
  • サイレントマジョリティー 欅坂46 by KENTA TERUNUMA April 22, 2016 3
  • 花束を君に 宇多田ヒカル by KENTA TERUNUMA April 22, 2016 4
  • This Ordinary‬ NOT WONK by KENTA TERUNUMA April 22, 2016 5
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    カネを持っている奴はカネを使わなければいけない。アフロジャック参加曲“Summer Madness”を筆頭に、現在のJ-POPシーンにおいて(日本の)外側を伝える役割を担っている最たる存在は、彼ら三代目J Soul Brothersだろう。EDM、ヒップホップ、そしてK-POP。そうした戦勝国とその流れを汲むユース・カルチャーの最新状況を伝えるのが「敗戦国の勝者」であることは必然かもしれない。そこにはある種の厚かましさやカネが必要なのだろう。その独自性の希薄さやロビー活動不足ゆえ、彼らがこのまま世界に進出して成功することはないだろうが、この「輸入」は現在の日本のロック・バンドの大半には出来ないことだ。しかし……しかし、音楽の夢のひとつとは、いじめられっ子がいじめられっ子でなくなるその逆転にあったはず。壁に囲まれた『進撃の巨人』のような世界で、前時代の洋楽や評価の定まった国内のレジェンドをリプロダクトして近親相姦を繰り返す日本のロック・バンドとそのファンは、この音楽をどう聴くのだろう。

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    そして、この2016年に「外側」を内に伝えるのが三代目J Soul Brothersだとしたら、この国が曲がりなりにも紡いだJ-POPという文化を輸出するのが彼女たちBABYMETALだ。その成功の最大のポイントは、マジョリティでありマイノリティでもある世界最大の音楽コード「メタル」を基調としたことにある。「ロック」や「ヒップホップ」に比べ邪教のように扱われたがゆえに、独自の仁義を切りさえすれば受け入れられやすい寛容さと強い連帯を持つ「メタル」。その道を使い「カワイイ」「アイドル」「J-POP」を特攻輸出したのが彼女たちだ。それがどこまで計算通りだったのか、はたまた完全に偶然だったのかは分からないが、歴史的な海外でのチャート・アクションを見ても分かる通り、本場のプロデューサーの起用や、海外でのレコーディングやマスタリングよりも遥かに効果的なルートだったのは間違いない。どれだけこの国において本格派とされたメジャー・アーティストも、インディ・バンドも成し遂げられなかった成功を、(そもそもサイド・プロジェクトだった)アイドルが成し遂げた。この現実を軽く見るべきではない。

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    「外側」を国内に伝える三代目J Soul Brothers、外側に攻め入るBABYMETAL。それに対しこの国を扇動し混乱させる存在として大まじめに紹介したいのが欅坂46だ。彼女たちはAKB48の公式ライバルである乃木坂46の妹分という触れ込みで結成されたアイドル・グループであり、勿論、秋元康の総合プロデュースで動いているプロジェクトだ。今年10週年を迎えたAKB48は、歴代の人気卒業メンバーを招集した表題曲とライバル乃木坂46との合同楽曲なども収録した記念シングルをリリースしたが、真の集大成はこの欅坂46のデビュー曲“サイレントマジョリティー”と言い切りたい。SEALDsや18歳の選挙権といった若者を取り巻く政治的空気感を象徴的なモチーフに、秋元康がこれまで作り上げたアイドル・カルチャーへのアンチテーゼとも捉えられるメッセージを秋元康本人がつくる。そんな構造それ自体と、そうした表現を加速させ、時に裏切りとも取れる動きを見せる各スタッフの動き、そして欅坂46メンバーのパフォーマンスが何よりもエキサイティングだ。重要なのはこの作品が海外のそれに比べて優れているか劣っているかではなく、これが日本国内で売れることや、売れるグループがこうした作品をリリースすることなのだ。

  • 宇多田ヒカル / 花束を君に
    *このMVはGYAO!にてプレヴュー出来ます→
    http://gyao.yahoo.co.jp/player/00101/v12399/v0871400000000543382/h

    2016年、「外側」を国内に伝える三代目J Soul Brothers、輸出するBABYMETAL。それに対し国内を扇動し混乱させるのが欅坂46だとしたら、東京都千代田区1−1、日本の中心にある深い空洞に佇むのが2016年の宇多田ヒカルだ。葬儀/告別式の朝、大切な人との別れが近づく儚くも穏やかな情景に始まり、別れ花で棺桶を満たす時の心の動きを歌い、火葬を見送る緩やかな風のようなストリングスで終わるこの楽曲が描くのは、一個人のパーソナルな出来事や感情が大衆にコネクトするという「芸術」そのものでもある。「死」はすべての人間が通る道であり、生まれてきた時からすでに通ってきたルーツでもあり、普遍のコードだ。もしも我々が日本の象徴としての天皇に見るものが、この国に生きた数えきれないほどの祖先の生と、死と、現在への連なりだとするなら、日本で最も多くのCDを売り上げた宇多田ヒカルの最新楽曲がそこに至ったことは必然と言えるのかもしれない。

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    なんてね。楽しんでやりたいようにやろうぜ。インディもパンクもメロコアも初期エモコアも飲み込んで、まるで91年のニルヴァーナのように、どこにも属さず、しかしすべてに属しているかのような音楽を鳴らした2015年の傑作『Laughing Nerds And A Wallflower』、そして〈セカンド・ロイヤル〉からのスプリット7インチに続いてリリースされたNOT WONK待望の新曲“This Ordinary”だ。これまでより深いエフェクトがかけられたシューゲイザー/インディ・ポップ的なギターが耳を惹く、たぶん過去最高に詩情たっぷりで、それでいてぶっきらぼうなこの曲と、どっか行きたいもんだ。磨き上げたかのように洗練されたフレージングはさらにその精度を高める一方、若さとバンドを取り巻く環境がその一助となっているであろうハードコア~パンク通過なアグレッシヴさが、80点狙いのお利口さんバンドから遥か彼方に彼らを遠ざけている。バンドが一斉に音を鳴らす瞬間、そのときの「あの感じ」がビートルズ、クラッシュ、ニルヴァーナ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、ザゼン・ボーイズ、アークティック・モンキーズらを特別な存在にしたのだとしたら、やはりNOT WONKもその系譜に連なる存在だろう。本音を言えばプロダクション的に低域が物足りなくも感じるが、いちいちこういう余計なことを言いたくなるくらい好きなバンドなのだ。やはり。

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