いやあ、これはぶったまげました。2015年最初の特大ニュースと言っていいんじゃないでしょうか? なんとブラーが、『シンク・タンク』以来12年ぶり、そしてグレアム・コクソンもいる4人編成では16年ぶりとなるニュー・アルバム『ザ・マジック・ウィップ』を4月27日(日本盤は4月29日予定)にリリースすることを発表したんです! 勿論、プロデューサーは、盟友スティーヴン・ストリート! うひゃー、えらいこっちゃ!
正直、ブラーがニュー・アルバムをリリースする日が来るとは思っていませんでした。確かに、2008年に再結成してからというもの、レコード・ストア・デイ用に発表した“フールズ・デイ”、2曲入りシングル『アンダー・ザ・ウェストウェイ/ザ・ピューリタン』と、単発のリリースは何回かありました。
でも基本的に、再結成後のブラーは、何よりも純粋に旧友との復縁を喜び、また4人でステージに立つことの楽しさを噛みしめているように感じられたのも事実。もっと言ってしまえば、ライヴは楽しいからどんどんやるだろうけど、このメンバーで再び新しい音楽を作るモチベーションはそんなに高くないのでは? と思っていたんです。それは2014年1月の武道館公演が、いい意味で、青春の思い出をフラッシュバックさせる完璧な懐メロ・ショーだった時にも感じたことでした。しかも、この来日を最後にブラーの活動は一旦休止、直後にデーモン・アルバーンはソロ・アルバム『エヴリデイ・ロボッツ』を発表。という流れになったのだから尚更です。ああ、ブラーは数年に一度、大型フェスとかで復活しては、遠い日の楽しい記憶を一緒に振り返るためのバンドになるんじゃないかな、と。
ところが! そんな予想をあっさり裏切ってのニュー・アルバム発表ですよ。だから、ほんと、びっくりなんです。
今回の発表の経緯も軽く説明しておきましょう。おそらくチャイニーズ・ニュー・イヤーに合わせた2月19日23時(日本時間)、ロンドンのチャイニーズ・レストランから記者会見のライヴ・ストリーミングを開始。先日、〈BBCレディオ1〉からアップルへの電撃移籍が発表されたゼイン・ロウが司会を務めた45分程度の配信の中で、メンバーの4人からニュー・アルバムのリリースがアナウンスされたというわけです。まずはアルバムのジャケット写真を見てみましょう。
こ、これは……。と思わず絶句すること間違いなし。なんですが、本作は、2013年にブラーが出演予定だったフェス〈TOKYO ROCKS〉が中止となったため、その直前に訪れていた香港で空いたスケジュールを利用し、わずか5日間でレコーディングした15曲が基になっているアルバム。だから、こんなに思いっきりオリエンタルなアートワークなんでしょう。ちなみに、ジャケットに書かれている漢字についてですが、中国語で模糊はブラー、魔鞭はマジック・ウィップを意味しているんだそうです。
アルバムからの1stシングル、“ゴー・アウト”のリリック・ヴィデオも早速公開されているので見てみましょう。
こちらの映像もオリエンタルですが、音楽的には誰もが期待する「ザ・ブラー」な曲ですね。ファンは頬が緩みっぱなしになること間違いなし。ということは、デーモンのソロやブラー後期みたいな新機軸を求める方向には行かず、みんなが好きな90年代のブラーに立ち返ったようなアルバムになるんでしょうか?――と思いきや、先ほどの会見では、デーモンは新作をベルリン時代のデヴィッド・ボウイに例え、グレアムは「クラシックなブラーにはなっていないかもしれない」と言っていた模様。うむ、正直なところ、これはまったく読めません。どんなアルバムになっているのか、これだけの情報ではさっぱり予想がつかない。っていうか、ゴリラズ再始動もアナウンスされたばかりなのに、デーモンは多忙過ぎやしませんか? ほんと、相変わらずのワーカホリックぶりには驚かされるばかりです。
といった余計な話は置いといて。今はとにかく、まさかの新作リリースという吉報を噛みしめ、“ゴー・アウト”を繰り返し聴きながら、続報を待ちたいと思います。あっ、6月20日にロンドンで開催される〈ブリティッシュ・サマータイム〉への出演を皮切りに、ライヴ活動も本格的に再開させるとのことなので、日本の夏フェスがヘッドライナーに呼んでくれることも、勿論、超・熱望しております!!!
*追記(2015/4/21):“ゴー・アウト”以降、『ザ・マジック・ウィップ』より公開された5つの新曲は以下にまとめてあります。