SIGN OF THE DAY

間違いなく2016年のベスト・ライヴ!
だったテーム・インパラを見逃したあなたが
これ以上、後悔しないための必須ライヴ4選
by YOSHIHARU KOBAYASHI April 26, 2016
間違いなく2016年のベスト・ライヴ! <br />
だったテーム・インパラを見逃したあなたが<br />
これ以上、後悔しないための必須ライヴ4選

2016年前半は怒涛の傑作ラッシュ! という話はこちらの記事で書きましたが、お気付きの通り、怒涛の来日ラッシュでもあるんです。ビッグ・ネームから新人まで、1月からひっきりなしで注目のアーティストが来日中。

でも、特に東京、大阪近郊の皆さん、うっかり必見のライヴを見過ごしちゃってはいませんか? ボン・イヴェールにしろ、ハインズにしろ、さすがにチケットは売り切れないだろと思っていたら、ソールドアウト。あるいは、え? 来日してたの、知らなかった! なんて経験はありませんか? もしくは、そろそろ夏フェス・シーズンだし、そこに気力と財布の中身を蓄えておくか、なんて思ってたりしませんか? いや、それじゃ、数年後、本当に後悔しちゃいますよ。というのが本稿の趣旨なんです。

そう、たとえば、昨日4月25日に開催されたテーム・インパラの東京公演。実際に観に行った人には言うまでもないですが、これ、凄まじかったですよね。正直、感動しましたよ。

2013年の〈フジロック〉で観た時は、バンドのスケール感にしろ、演奏のアイデアや技術にしろ、まだ一介のインディ・バンドの域を出ていませんでした。が、この日の彼らは完全に別物。海外では最新作『カレンツ』の成功を受け、大型フェスの次期ヘッドライナー候補として大きなステージを数多くこなしているだけあります。その堂々たる佇まいと壮大なサウンドは、完全にアリーナ・バンドのそれでした。

Tame Impala / Yes, I'm Changing (live at Lollapalooza Brazil 2016)

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VJやライティングなども格段にスケールアップしていたのは勿論、ライヴ演奏のアイデアも格段に洗練されていました。一曲ごとにドラムの音色は変わっていくし、ギターやベースやシンセの音は俄かには聴き分けがつかないほど絶妙なバランスで溶け合っている。緻密な音の作り込みによって成り立っていたレコーディング作品のマジックを一切損なうことなく、大会場で鳴り響くのにふさわしいサウンドを豪快に鳴らすようになった今のテーム・インパラは、2010年代最強のロック・バンドと言って差し支えないでしょう。おそらく、現役のロック・バンドでEDMやR&Bのビッグ・アクトと本気で勝負出来るのは、彼らとアラバマ・シェイクスだけです。

せっかくなので、先ほど一曲だけ貼った〈ロラパルーザ・ブラジル〉でのライヴ映像をフルで貼っておきましょう。これを見てもらえば、現在の彼らのすごさがある程度は伝わるはず。

Tame Impala / live in Lollapalooza Brasil 2016 (full set)

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勿論、2016年前半で絶対に観ておきたかったライヴはテーム・インパラだけではありません。会場に足を運んだ誰もが絶賛していたボン・イヴェールや〈ホステス・クラブ・プレゼンツ・サンデイ・スペシャル〉でのジョン・グラント、最高にキュートでチアフルなヴァイブを放っていたハインズ、今勢いに乗りまくっているThe 1975、そしてグライムスのウィアードなライヴも確実に一見の価値ありでした。

John Grant / Pale Green Ghosts (live at Glastonbury 2014)

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Grimes / Kill V. Maim (live in Berlin 2016)

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そう言えば、うちのクリエイティヴ・ディレクターである田中宗一郎は、「〈ポップスプリング〉にヘイリー・スタインフェルドが出るの知らなかった! 見逃した!」と言っていましたっけ。まあ、とにかく、いろんな見逃せないライヴが今年は既にあったわけです。

Hailee Steinfeld / Love Myself

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でも、今更、終わったライヴに行けなかったことに後悔していても仕方ありません。というのも、2016年前半の来日ラッシュはこれからがラスト・スパート。そう、まだまだ終わっていないのです。

ということで、ここからは、もうこれ以上見逃さないために、4月から5月にかけての必見ライヴを紹介していきましょう。


1) ラスト・シャドウ・パペッツ

そもそもライヴの醍醐味とは、現場で起こることに何かしらの発見と驚きがあること。しかし、キャリアのあるバンドほどファンの期待や思い入れが重くのしかかってくるので、それを裏切るような意外性のあるライヴをやるのが難しくなりがちです。そういった意味では、レディオヘッドやプリンスは、ファンの期待にはしっかりと応えつつも、それを乗り越えるようなライヴをやってきた理想的なライヴ・アクトでした。

そして、それはラスト・シャドウ・パペッツについても同じことが言えるかもしれません。彼らはライヴでアークティック・モンキーズの曲は決してやりませんが、ビートルズのカヴァーはやる。その絶妙なバランス感、オーディエンスとの駆け引きの上手さは、完全に一級品でしょう。

The Last Shadow Puppets / I Want You (The Beatles cover)


しかも、今回は彼らの初来日公演。ラスト・シャドウ・パペッツの活動自体が不定期なので、正直、次はいつ観られるかわかりません。来日公演の開催は明日4月27日に迫っていますが、これは間違いなく見逃せないライヴの筆頭です。


2) ニュー・オーダー

最近はボブ・ディラン、ブライアン・ウィルソンと大御所の来日も立て続けにありました。ただ、このレジェンド2組のライヴは完全に対極の方向性。方やブライアン・ウィルソンは、歴史的な大名作『ペット・サウンズ』の完全再現ライヴ。方やボブ・ディランは、フランク・シナトラを筆頭にもはや忘れ去られつつあるアメリカ音楽の歴史に光をあてることを目的にしたカヴァー集だった直近の二作の流れを汲んで、過去のヒット曲をほんの数曲しかやらないというライヴ。

勿論、これはどちらがいいという話ではありません。御年74歳にして、シーンの現状に対する極めて批評的かつ挑戦的なセットリストを組むディランには痺れますが、往年のヒット曲を聴きたいファンからはブーイングもあるはず。要は、オーディエンス一人ひとりがライヴに何を求めるか? ということです。

その話で言うと、今回のニュー・オーダーのライヴは、おそらくブライアン・ウィルソン・タイプ? まあ、正直、往年の名曲さえやってくれれば十分というか、特に最新作からの曲は別に聴きたくない、というのが本音ですが。

New Order / True Faith (6 Music Live at Maida Vale 2015)



3) ストーン・ローゼズ

ストーン・ローゼズの場合、再結成後のライヴがブライアン・ウィルソン的にならざるをえませんでした。だって、彼らは再結成後に新曲を一切リリースしていなかったんですから。

The Stone Roses / Fools Gold (live at Heaton Park 2012)

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しかし、既に報じられている通り、ストーン・ローゼズはロンドン某所のスタジオで新しい音源をレコーディング中。6月の来日公演は、その新曲が世界で初めてお披露目される場になる可能性が極めて高い。まあ、武道館がヨーロッパでライヴをする前のリハーサルという意地悪な見方も出来ますが、それでも世界中のファンが垂涎のプレミア・ライヴになることは間違いありません。

しかも、もしローゼズが新曲で2010年代のロックを再定義するようなサウンドを打ち出し、テーム・インパラやアラバマ・シェイクスに本気で喧嘩を売るようなことになっていたら――それ以上にエキサイティングなことはないでしょう。


4) ミステリー・ジェッツ

実は〈サイン・マガジン〉からの一番のおすすめは、最高傑作とも言える新作『カーヴ・オブ・ジ・アース』をリリースしてから初のフル・セットでのライヴを日本でおこなう、このミステリー・ジェッツなのです。その理由は、ファンの期待にはしっかりと応えつつも、それを乗り越えるようなライヴをやる――今回ピックアップした中で、パペッツと並び、それがもっとも期待出来るのが彼らだから。

ということで、何故、今回のミステリー・ジェッツのライヴを見逃すと後悔するか? については次のページで改めて書いていきたいと思います。ミステリー・ジェッツは投票で1位になった曲を来日公演で必ずやってくれるというツイッター・アンケートも開催中。詳細は、早速、以下のリンクをクリック!


バンドが大化けする瞬間に立ち会うことこそ
ファンの醍醐味。何故ミステリー・ジェッツ
来日ツアーが必見なのか? ご説明致します



photo by Kazumichi Kokei

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