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〈エレクトラグライド〉を
120%楽しむための
!!!(チックチックチック)、
最強の15曲 part.1
by SOICHIRO TANAKA November 08, 2013
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〈エレクトラグライド〉を<br />
120%楽しむための<br />
!!!(チックチックチック)、<br />
最強の15曲  part.1

こんな風に思っちゃいませんか? 「え、!!!、また来るの?」。甘い。甘いよ。今こそ彼らは最強の布陣、最強のセットリストを持っているんです。なので、教えます。最初ちょろちょろ、中ぱっぱ、やがて楽しきチックチックチック、ドロドロの世界。

さあ、〈エレクトラグライド〉開催の11月29日まで3週間に迫ってまいりました。ラインナップも最終発表されましたね。盛り上がってますか? あれ、それほどでもない? 「だって、ジェイムズ・ブレイクまた来るの? って感じじゃね?」。うるさいよ。ええ、また来るんです。でも、今回は彼の2ndアルバム『オーヴァーグロウン』のワールド・ツアーのファイナル、しかも、主催者から伝え聞くところによれば、かなりの大型セットを持ち込むとのこと。つまり、特別なんですよ。そう、今回のライヴには日本ならではの、おもてなしの心があるんです。なるほど、わかった。滝川クリステルはそんなには嫌いではない。だが、しかし、2 メニーDJsはさすがにもういいのではないか。ここ数年、セットもそんなに大きな変化はないぞ。と言われると、いや、確かにそれは一利なくはない。でも、やっぱり楽しいからさ。と苦しい言い訳をするのなら、敢えて訊こう。果たして!!!はどうか。もうさすがにいいのではないか。以前も〈エレクトラグライド〉で来てたではないか。いや、マジ最高だったけど、さすがの!!!も全盛期過ぎたのではないか。なるほど、お前の言い分はわかった。だが違う。それは違う。徹底的に間違っている。そんなものは、もはや日々の喧騒に追われて、最新作『スリラー』も聴かず、この前の来日公演のチケットも気がつけば完全ソールドアウトでライヴを見逃し、すっかり情報のスピードについていけなくなった年寄りの言い草。それに申し訳ないが、あんたと違って、キッズの中にはこれまで!!!のライヴを観たこともなければ、彼らの重要なステージ・レパートリーを知らない者もいるはず。なので、余計なことは言わず、チケットを買え。俺たちは主催者の回し者だ。口が滑った。もとい。現在の!!!は何度目かの全盛期を迎えている。セットリストも最強だ。だからこそ、それをしっかりと伝えていかねばならない。そう、ねばならない。そこで我らがサインマグが立ち上がったというわけです。じゃんじゃじゃーん。

おそらく〈エレクトラグライド〉当日の!!!は、かなり深ーい時間で演奏してくれるはず。早い時間帯は、若輩者ファクトリー・フロア辺りにまかしとけばよろしい。そう、ジェイムズ・ブレイクの超絶ライヴも終わって、ある種の緊張感も解け、夜もさらにさらに更けた頃――フロア全体がすっかり沼になってきた瞬間に、我らが!!!はやおらステージに現れるに違いない。おそらくニック・オッファーの腹もポコンと出ている。小学生風の半パンも健在だ。そして、あの粘っこいドロドロのファンク・サウンドで、さらなるドロドロに底なしの夜を演出してくれるに違いない。素晴らしい。観たくて観たくて震えるよ。

なので、彼らのライヴを120%楽しむためにこんな企画を用意しました。!!!の重要ステージ・レパートリー15曲を3回に分けてカウントダウン方式でご紹介。しかも、出来るだけヴィデオ・クリップではなく、ファンも見過ごしがちな貴重なライヴ映像を集めることを心がけた。ただし、!!!のサウンドというのは、基本的に濃い。粘っこい。濃密。ドロドロ。ある意味、しつこい。それゆえ、一気に消化しようとすると、かなり胸焼けする。なので、カウントダウンも出来るだけあっさりしたトラックから始めて、最後にドロドロの沼トラックを紹介することにした。

あと注意がもうひとつ。基本的にチックの曲というのは、少しずつビルド・アップしていって、少しずつイヴォルヴしていって、やがて沸点を迎えるものが大半。なので、1曲1曲最後までしっかり観ていただきたい。いやいや、今どきウェブで何かを見る時はザップ感覚でさくさく見ていくものでしょ。なんて思ってたとしたら、あなたはアーキテクチャーの奴隷。時間をかける時は時間をかける。なので、そういう意識は改めて下さい。と、あくまで上からマリコ。

というわけで、これは決定版。いつ見直してもOK。便利。お得。しかも、ただ。なので、良かったら、それぞれのリンクから!!!作品を買ってね。では始めましょう。初回はあっさりめ、麺硬め、で。


15)EXCEPT DEATH
まず新作『スリラー』からの1曲。あっさり行きます。最新作『スリラー』の特徴は、ひとつ、ソングライティングに特化した。ふたつ、エレクトロニクスを的確に使用、かつ、サウンドのレイヤーを薄めに配置。みっつ、独自のファンクネスはそのままに、曲によっては、熱量抑えめ、かなりクール。そして、このトラックはまさにその典型と言えます。おそらくステージ前半〜中盤にかけて、クールに演奏されるはず。なので、映像もスタジオ・ライヴから。

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14)AM/FM
お次は、前作4thアルバム『ストレンジ・ウェザー・イズント・イット?』から。この4thアルバム、彼らの5枚のアルバム・ディスコグラフィーの中では少しばかり軽んじられているところがある。まあ、仕方ない。実際のところ、!!!のアルバムを3枚選ぶとするなら、やはり2nd、3rd、そして、最新作の5th。それゆえ、『ストレンジ・ウェザー・イズント・イット?』で離れたファンもいるかもしれない。だが、おそらくはそれだけではない。まずはひとつめの映像を観て欲しい。この、ニック・オッファーの坊主頭に半パンという小学生ルック。これがまずかった。加えて、2分35秒からのお得意のダンス。いや、しかし、サウンドは素晴らしい。この冷めたシークエンスと、クールなファンクネス。半パンだと、さぞ涼しかろう。ふたつめの映像も見所満載。我らがニック、4分9秒辺りでやおらパンツを直したかと思うと、会場の倉庫後方に積み上げてある荷物の上で始める、このダンスを観ずに死ねるか。イマイチ客が盛り上がってないのも見物だ。曲が終わって、所在なく高いところから降りてくる少し情けない姿も素晴らしい。〈エレクトラグライド〉当日は、さらなるエキサイティングな踊りを期待したい。

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13)Bend Over Beethoven
では、お次。2ndアルバムと5thアルバムに僅差でひとつ抜きんでた、今のところ彼ら!!!の最高傑作と言える3rd『ミス・テイクス』からお届けしたい。『ミス・テイクス』は名曲満載だが、これはその1曲。ヤバいのよ、この曲は。だが、惜しむらくは、権利関係がきちんとした映像がみつからなかった。無念。なので、オーディエンス・ショットのライヴ映像と、フル尺の音源を貼っておく。特に前者は、0分30秒辺りからの、忘年会のサラリーマンもびっくりの腹だしダンスも最高だ。バンドやレーベルに叱られたら、すぐに削除してしまう。モラルはないが、根性もない。なので、お早めに。全部きちんと聴きたかったら、買って下さい。一家に1枚、『ミス・テイクス』。

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12)Jamie, My Intentions Are Bass
先ほど、4thアルバム『ストレンジ・ウェザー・イズント・イット?』が少しばかり軽んじられている、他のアルバムに比べると少しばかり劣る。と書いた。だが、この映像を観ても、お前はそう言えるのか。てか、言ったのは俺だが、忘れた。これぞ、『ストレンジ・ウェザー・イズント・イット?』の中の最強の1曲にして、この前のツアーでもステージ後半の発火点を担っていた曲。腹が出ている以外は、この日のニックはコンディションも最高。ここまでの映像を観て、それほど大したことないなー。と思っていた方はこれからが本番です。この映像も後半4分を越えてからがヤバい。今回の〈エレクトラグライド〉のセットにも必ず入ってくるはず。なので、しっかり予習しといて下さい。曲単位で買ってもなおよし。

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11)Slyd
この原稿、「冒頭からドロドロ胸当たりファンクだの、胃もたれサウンドなんて言ってたわりには、わりとあっさりしてね?」と思ってるあなた。甘い。甘いよ。これからが本番。これからが地獄。さあ、聴け、この重低音。観よ、黒人女性ヴォーカルを迎えた、現在の最強ラインナップ。イントロ明けのコーラスからして、頭悪い。痺れる。勿論、これは最新作『スリラー』からのトラック。まさに朝方3時すぎの沼サウンド。にもかかわらず、やはり半パン。調子に乗った客まで半パン。しかも、ニック、2分30秒からのヴォーカル・ブレイクでは電球になっている。誰か〈エレクトラグライド〉にも何か持ち込んで下さい。主催者に怒られても、俺は知らん。

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さあ、少しばかりドロドロしてきましたね。でも、これはまさに序盤戦。これからが!!!のドロドロ・ファンク・ワールドです。わくわくしてきましたね。というわけで、次回、中盤戦に続きます。


「〈エレクトラグライド〉を 120%楽しむための !!!(チックチックチック)、 最強の15曲 part.2」はこちら

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