普段海外の音楽を聴かないような人でもどこかで耳にしたことがあって、町中やTVで流れると自然と口ずさんだり体を揺らしたりしてしまう。毎年、そんなポップ・アンセムが数曲は生まれるもの。13年の“ゲット・ラッキー”、14年の“ハッピー”、昨年は“アップタウン・ファンク”ときて、2016年はこの曲で決まりでしょう! 傑作『ザ・20/20・エクスペリエンス』以来、約3年振りとなるジャスティン・ティンバーレイクのカムバック・シングルは、ここ数年のソウル/ファンク回帰の流れを汲みつつ、彼のディスコグラフィー中でも史上最高レベルで弾けた1曲に。ジャクソン5並みにハッピーなベースラインが腰を揺らし、コーラスのファルセットが爽快に脳天を突き抜けていく。さぁ、今年も夏がやって来る!
ジャミラ・ウッズという名前に馴染みがなかったとしても、ドニー・トランペットのアルバムやチャンス・ザ・ラッパーの新作を愛聴している人なら、彼女の特徴的な歌声は覚えているはず。ドニー・トランペットの“サンデイ・キャンディ”、チャンスの“ブレッシングス”と、両作のハイライトと言える楽曲でコーラスを担当した、シカゴ新世代の最重要シンガーこそがこのジャミラ・ウッズ。ソロとしては初となるシングルでは、鼻に抜けるような洒脱で愛らしい歌唱が存分に堪能できる。パワフルでもなければエキセントリックでもなく、自然体でありながら芯の強さを感じさせる彼女の歌声は、チャンスのラップと同様に、現シカゴ・シーンの風通しの良い気風を体現しているかのようだ。ちなみに、この曲の歌い出しのフレーズは、まんまザ・キュアーの“ジャスト・ライク・ヘヴン”の引用。そんなセンスも素晴らしい。
やっぱりメトロノミー、というかジョセフ・マウントの頭の中は予測不可能だなぁ。ということを、この新曲を聴くとしみじみ実感します。前々作『ジ・イングリッシュ・リヴィエラ』から、バンド・サウンド重視へと傾いていたはずのメトロノミーの新曲は、まさかの完全エレクトロニック・モード。活動初期に戻ったかのようなユニークなポップ・センスに加えて、“オールド・スクール”というタイトルの通り、808スタイルのビートやブレイクで聴こえてくるスクラッチ・プレイがどこか懐かしさも感じさせる。バンド・メンバーの手を借りず、ジョセフ・マウントが単独で製作したという新作のタイトルは『サマー08』。2008年夏と言えば、ちょうど彼らが出世作『ナイツ・アウト』をリリースした頃。もしかしたら、ニュー・アルバムは『ナイツ・アウト』の再来となるかも!?
予測不可能と言えば、この人の新作もどうなるのか全く分からん。最初に公開されたアルバムのタイトル・トラック“オン・マイ・ワン”こそ、ジェイク・バグらしいブルージーなアコースティック曲だったのだけれど、その次に届いた“ギミー・ザ・ラヴ”は、プライマル・スクリームやカサビアンを髣髴させる、ブリブリのシンセ・ベースとノイズ・ギターが唸りを上げる完全なる新機軸。そして、新作から3曲目に公開されたこの楽曲もまた全く別ベクトルの1曲となっている。ゆったりとしたバンド・サウンドとストリングスをバックに、ジェイク・バグが朗々と歌い上げるバラードで、彼なりのオールディーズへの挑戦とでも言えるだろうか。この全く方向性の違う3曲が冒頭に続けて並び、さらにはビースティー・ボーイズのマイク・Dが参加した曲もあるというから、新作がどんな1枚になるのか、本当に全く予測できない。
7年振り、ってマジですか? その間、グリフのソロ作などもあったため、さほど実感はなかったのだけれど、ついにスーパー・ファーリー・アニマルズがカムバックです。そして、届いた新曲がマジで良い。めちゃくちゃ楽しくて思わず笑ってしまう。2000年代のファーリーズと言えば、『ファントム・パワー』以降の全アルバムが、良いんだけど少しばかり地味だったりして、エキセントリックでユーモラスでアイデア満載で超最高!だった90年代に比べると、年相応に枯れていくものなんだなぁと寂しくもあった。でも、この新曲はまるで『ゲリラ』の頃に立ち戻ったかのような、カラフルでキャッチーな出来じゃないですか。メンバーのフットボール愛を炸裂させたサイケでチープなヴィデオにも、ファーリーズらしさが全開です。