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  • Dreams Zhu & Nero by MASAAKI KOBAYASHI October 25, 2017 1
  • The End KCPK by MASAAKI KOBAYASHI October 25, 2017 2
  • Erreur 404 L'Impératrice by MASAAKI KOBAYASHI October 25, 2017 3
  • Caroline Midas by MASAAKI KOBAYASHI October 25, 2017 4
  • Cover Me Depeche Mode by MASAAKI KOBAYASHI October 25, 2017 5
  • このMVでは、本当に夥しい数の、むき出しの人体が、堆積し、山となり、柱状にも積み重なり、高く聳え立っている。例えば、そこに、下から地震のような大きな力が働き、人体だけでできた、その山が崩れたり、てっぺんにある人体がはね飛ばされたりする。アラン・レネ監督のドキュメンタリー映画『夜と霧』の黒白画面に克明に記録されていた、アウシュヴィッツのユダヤ人強制収容所で、ブルドーザーで扱われている死屍累々が脳裏を掠めたりもする。だが、このMVに映し出されているのは、ただの死体の山というわけではないようなのだ。CGIを駆使して、精巧に作られた無数の人体は、それぞれ顔も体形も微妙に異なり、個々が異なった身体の動きを見せる場面もある。にもかかわらず、目に見えない大きな力には、まったく抵抗しないし、できないあたりが空寒い。表題に絡めるなら、これは誰が見た「夢」なのだろうか。彼女/彼たちは、既に死んでいるのか。最後の最後にその山から高く浮かび上がる一体は希望の象徴なのだろうか。ちなみに、ここでコラボしているZhu(ズー)は、トラップの流れから出てきた人で、有名野外フェスにもたびたび参加し、サックス・プレイヤーなども配したパフォーマンスを行うと同時に、これまでも独創的なMVを発表、一方の、ネロは、ドラムンベースをベースに、近年では〈ウルトラ・ジャパン〉の枠でも来日し、今やEDMアクトとして知られている三人組。

  • 母親に対する嫌悪感、異性への想い、(恋敵かもしれない)同性への嫉妬、抑圧されたそれらの感情が、スタジアムを「飲み込む」ほどの洪水のようなドス黒い濁流と化して、フェンシングの真っ白なユニフォームを汚して後ずさりする主人公に、襲いかかるこのMVでの光景は(青春期を過ぎた者にとっても、苦笑いしてやりすごすしか術がないほど)、心当たりがある体験を心象風景化したもののように見える。が、後半以降の展開を踏まえて、少し見方を変えれば、彼女を「飲み込む」ドス黒い濁流も、彼女がフェンシングで、突いた相手の正体も、ユング心理学的でいうところの「母殺し」の「母」の象徴なのではないだろうか。つまり、親からの独立であり、精神的な成長が、ここでは仄めかされているのだ。

  • 趣を変えて、どこか古風で、カラオケ映えするようなメロディ展開の、甘いフレンチ・バラードのMVを。歌われているのは、男女の「別れ」の物語。そこで、思いついたのが、やはり、40年以上前(?)に、フランスで流行った、いわゆる、ロマン=フォト。言うならば、漫画の絵の部分が、写真になっているもので、ここで見事なのは、無数のロマン=フォトから、似たような場面だけを、無数に抜き取ったものを次々に映し出し、パラパラ漫画のような効果を出しているところ。実際には、本当に無数の男女(の写真)が映し出されているだけなのに、一つの物語としてまとめあげられているように見えてしまうのも、逆に言えば、ロマン=フォトでは、男女の構図に紋切り型が多いからなのだろう。タイトルに「エラー4404」とあるのは、悲しいことに、彼女のもとを飛び出した彼氏がいまだに、戻らず、見つからないから。

  • 「別れ」と言えば、失恋女性キャロラインのムカつきを、あまりにも端的に表現したのが、このMV。加えて、今どきのMVではむしろエグく描きたがり、エグく描くことに血道を上げるような描写の直前で「寸止め」(カット割り)しているのも、ここでは、実に効果的。また、キャロラインの逆鱗に触れまくり、この曲を歌っているマイダス自身が、特に美男子でもなんでもない(失礼!)のもいい感じだ。そして、端的と言えば、なんといっても、ここでのカメラの動き。基本的に、引いていくだけで、カメラを引いていくと、フレーム内に誰も予期していなかったモノが入り込んできて、という展開の繰り返しだけで成り立っている。ここでのシンプルな手法とその結果生まれる効果は、MVだからこそ、うまく成立するものなのではないだろうか。

  • このMVを撮ったアントン・コービンと言えば、今や『コントロール』や『誰よりも狙われた男』などの作品を手掛ける映画監督としてのほうが有名なのかもしれない。が、ここで組んでいるデペッシュ・モードのMVについては、実に30年以上前から撮り続けている。最初のカットで、宇宙服のヘルメットを脱いだまま信号待ちをする(メンバーの)デイヴ・ガーンの姿が捉えられる。が、すぐに「ここは空気が冷たすぎる、息がしづらい」と彼の歌う声が続くのだから、地球に酷似した、どこか別の惑星である可能性も捨てきれない。さらに言えば、ここで描かれているのは、“スペース・オディティ”のトム少佐のように宇宙空間を彷徨うデイヴの、「妄想(想像)」なのかもしれないし、もしかしたら、ここに映し出されているデイヴは、デイヴィッド・ボウイの楽曲に登場する、あの“スターマン”の仮の姿なんてこともあるのでは。

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