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  • 13の理由(2017-)
    created by Brian Yorkey by MARI HAGIHARA April 07, 2017 1
  • フリー・ファイヤー(2016) directed by Ben Wheatley by MARI HAGIHARA April 07, 2017 2
  • ぼくと魔法の言葉たち(2016) directed by Roger Ross Williams by MARI HAGIHARA April 07, 2017 3
  • メットガラ ドレスをまとった美術館(2016) directed by Andrew Rossi by MARI HAGIHARA April 07, 2017 4
  • 僕とカミンスキーの旅(2015) directed by Wolfgang Becker by MARI HAGIHARA April 07, 2017 5
  • 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)のようなミックステープ映画の名作もあれど、ミックステープというアイテムは基本、『キミに逢えたら!』(2008)、『アドベンチャーランドへようこそ』(2009)、『ウォールフラワー』(2012)など主に青春映画で活躍してきました。そしてNetflix新作ドラマではまさに物語の中心。自殺した少女ハンナからクラスメートたちにテープ全6巻が届くのです。ヤング・アダルト作品には『ラブリーボーン』(2009)をはじめ「死んだ女子/男子が語りかける」パターンも多いので、その二つが組み合わさった感じ。テープの内容は音楽ではなく直接的なメッセージで、ハンナが自殺に至った出来事を語り、聞く人にそれをたどってほしいと望みます。テーマは「共感」、エンパシーなのでしょう。フォーカスは高校生のリアルな人間関係。SNSを含む社交スキルの要求のきつさも印象に残ります。Netflixはこれまでいじめのドキュメンタリーを数本製作したこともあり、その方向性のある意味集大成なのかもしれません。製作総指揮にセレーナ・ゴメス、二話の監督にグレッグ・アラキなど面白いメンツも参加。

  • 90分、ワン・シチュエーション、10人の銃撃戦。オスカー関連作のあとはこういうのもいいんじゃないでしょうか。しかも監督が『サイトシアーズ』(2012)、『ハイ・ライズ』(2016)のくせ者ベン・ウィートリーなだけに、ギャグや音楽も凝りまくり。「アクションにヒューマン・スケールを取り戻す」という単純な発想が、退屈しないアクションを成立させています。70年代ボストン近郊の倉庫で行われる銃の取引。腹を探り合いながら商談成立となりかけたところ、こういう話にお決まりのボンクラが事態をひっくり返し、銃と現金の山のなか銃撃開始! しかもこの撃ち合い、「撃ってもなかなか当たらない」「当たったら怪我をする」「弾は補充しないとなくなる」という現実的ルールに則して展開するのがミソ。そのテンポが新鮮なうえ、カメラワークも速さを求めないので、「キリアン・マーフィ演じるIRAの闘士は最高」とか、元ブラックパンサー党員がその場にいる意味とか、あれこれ考えつつ楽しむ余地が生まれるのです。スコア担当はポーティスヘッドのジェフ・バーロウ、でも強烈に記憶に残るのはジョン・デンバーの曲になるはず。

  • 98年のミッキーマウス法こと著作権延長法成立のころ、ディズニーを斜に見ていた人も、このドキュメンタリーには素直に感動するはず。というか、感動しない人とは友だちになれません! 3歳で自閉症と診断され、6歳までコミュニケーションの手段を失っていた少年オーウェン。しかし彼はディズニー・アニメを通じて言葉、そして家族との繋がりを取り戻し、いま青年となって自立しようとします。その絶え間ない努力と、父母や兄の深い愛情をベタにならず細やかにすくいとったのは、ロジャー・ロス・ウィリアムズ監督の手腕。オーウェンと家族の姿にはこれまで自分自身も見てきたディズニーの美しい場面が次々と重なり、さまざまな思いが増幅されていきます。なかでも胸を打つのはアニメの脇役たちをこよなく愛し、自分をその守護者としてアイデンティファイするオーウェンの世界観。隠された意味やダブルバインドな状況を理解しにくい彼は、ある意味シンプルで、何度見ても変わることのない視覚的な物語をよすがとして現実を理解し、自分の内側で再構築するのです。そうした物語の力がじかに感じられる、マジカルな一作。

  • 毎年5月に開かれるNYメトロポリタン美術館服飾部門の展覧会オープニング・パーティ、通称メットガラ。ファッション界最大のイベントにして、アナ・ウィンターらが選ぶ「いま一番イケてる人たち」が集まる夜でもあります。このイベントはそこがハッキリしているぶんオスカーやグラミーより潔く、しかもその際集まった資金を服飾部門の予算にするという優れたアイデアでもある。それによって服飾部門は野心的な展覧会を開くことができ、アートとしてのファッションの価値も上がるのです。まさにウィンウィン! このドキュメンタリーは豪華なガラの裏側も映しながら、本当の主役となるのは展覧会と、そのキュレーターのアンドリュー・ボルトン。彼がプレッシャーや問題と闘いつつヴィジョンを実現し、2015年の「鏡の中の中国展」が開くまでが本筋です。その過程で起きるファッションに対する価値観の衝突やそれを超えるコラボレーションも刺激的で、ここまでファッションをクロスカルチュラルに扱えるのは正直、うらやましい。ちなみに、アンドリュー・ボルトンと川久保玲がコラボレートした今年の展覧会のオープニングは来月。ガラのテーマは当然「コムデギャルソン」です。

  • ファッションは商業ゆえにファイン・アートとされにくい、でもファイン・アート界の商売もよく考えれば同じくらいえげつない。そのフェイクな世界に生きる盲目の老画家と評論家の青年のロードムービーは、さらにそこも突き抜け、虚々実々な人生そのものに到達します。『グッバイ・レーニン!』(2003)のヴォルフガング・ベッカー監督とダニエル・ブリュールの12年ぶりのタッグ。その12年の間に、ダニエル・ブリュールは鼻持ちならない男にもペーソスを持たせられる役者になりました。真偽の入り混じるストーリーに合わせ、冒頭にマティスやウォーホル、ビートルズと交友する画家の「記録映像」が出てきたり、画面が印象派などさまざまなスタイルの絵画に変化したり、映像的な工夫もいっぱい。個人的にはスイスからベルギーに至る、本当に絵のようなヨーロッパの風景も満喫しました。最後までわかりやすいカタルシスを与えず、それでいてチャーミングな、欧州らしい欧州映画。

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