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  • 1999 Charli XCX & Troye Sivan by YUYA WATANABE November 09, 2018 1
  • Kiss and Make Up Dua Lipa & BLACKPINK by YUYA WATANABE November 09, 2018 2
  • Love It If We Made It The 1975 by YUYA WATANABE November 09, 2018 3
  • Lilo The Japanese House by YUYA WATANABE November 09, 2018 4
  • Taki Taki DJ Snake feat. Selena Gomez, Ozuna, Cardi B by YUYA WATANABE November 09, 2018 5
  • いまだ米ソ冷戦のさなかにあった1982年。プリンスは代表曲のひとつ“1999”を発表し、世紀末を不安がる人々にこう語りかけた。「2000年でパーティはおしまい? だったら今夜は1999年みたいに騒ごうよ」。そして、2018年。Y2Kもノストラダムスの大予言もすっかり笑い話となり、ミレニアムをめぐる混乱はいまや懐かしい思い出だ。ブリトニー・スピアーズ、エアマックス、オールド・メルセデス、そしてCD…。かつてのユーロダンスを現代風にアップデートさせたようなトラックに乗せて、華やかな90年代カルチャーを振り返りながら「1999年に戻りたいね」と歌うチャーリーXCXに、19年前の記憶を手繰りながら「あの頃のほうがずっとよかった」と返すトロイ・シヴァン。99年当時はチャーリーが7歳、トロイ・シヴァンが4歳であることからして、これは率直な憧憬と受け取るべきか、それとも皮肉が込められているのか。いずれにしても、この曲から伝わってくるのは「いつの時代も人々は未来を恐れ、過ぎ去った日々を美化してる」ってこと。「俺たちはいつ死んでもおかしくない。だったらこの人生を踊り明かそう」。そんなプリンスが放ったメッセージへの現代からの回答ともいうべき、オマージュ満載の大名曲。

  • ディプロとマーク・ロンソンのユニット=シルク・シティとのコラボ曲“エレクトリシティ”を大ヒットさせたばかりのデュア・リパが、今度は韓国のブラックピンクと共演。『デュア・リパ(コンプリート・エディション)』に収録された、このバウンシーなダンス・トラックは、全米チャートで初登場93位、さらに全英では36位を記録。これでブラックピンクは全英トップ40にチャートインした初の韓国フィメール・アクトとなり、彼女たちの躍進をさらに印象づけることになった。バンクス&ランクスが手がけるダンスホール調のエレクトロ・ビートにこれといった目新しさはないが、ここで注目してほしいのは“キス&メイク・アップ”の歌詞が英語と韓国語のバイリンガルだということ。ワンダーガールズ“ノーバディ”やCL“リフテッド”など、これまでに欧米でチャートインした韓国フィメール・アクトの楽曲はどれもイングリッシュ・ヴァージョンだっただけに、やはりこれは画期的な出来事だ。ストリーミングで市場が拡大したポップ・ミュージックの世界において、いよいよ言語の壁はなくなりつつある。

  • 一連の先行シングルを聴く限り、The 1975の3rdアルバム『ア・ブリーフ・インクワイアリー・イントゥ・オンライン・リレーションシップス(邦題:ネット上の人間関係についての簡単な調査)』はかなりポリティカルな作品になりそうだ。なかでも痛烈なのがこの曲で、マシュー・ヒーリーは為政者たちのあまりに低俗な発言を引用しながら、ソーシャル・メディアが引き起こした分断と、いまだレイシズムが蔓延る社会を徹底的に糾弾していく。そんなシリアスなリリックと共に鳴らされるのは、お得意の軽快なファンク・ビートではなく、裏拍を強調した重苦しい8ビート。そしてMVではシリアの空爆や、溺死した3歳児の難民、ハーヴェイ・ワインスタイン、ブレット・カヴァノー、ドナルド・トランプなどの映像が流されていく。「近代は俺たちを見捨てた」。そんな悲観的な言葉を吐き出すヒーリー。しかし、彼はそのあとに何度もこう繰り返すのだ。「俺たちがなにかを成し遂げられたら最高だ」。時代を牽引するアイコンとしての役割を引き受けたバンドが人々にあらためて連帯を呼びかける、渾身のソーシャル・アンセム。

  • MVに出演しているのは、ザ・ジャパニーズ・ハウスのアンバー・ベイン本人と、彼女の元恋人としても知られるシンガー・ソングライターのマリカ・ハックマン。実際にこの曲はマリカとの関係性がモチーフとなっており、自分にとってマリカとの出会いがどれほど大きかったのか、その関係がどのように変化したのかを、アンバーはリロ(水上に浮くマットレス)にたとえながら明かしていく。空間系エフェクトを多用した湿り気たっぷりの音像、そしてアンバーの静謐な歌声とシンクロするように映し出されていくのは、二人が愛し合い、徐々にすれ違っていく姿。そして沈みゆくリロでひとり横になるアンバーを映した、あまりにも切ないラスト・シーン。インスタグラムの投稿によれば、アンバーはマリカとの関係性が終わりに近づいていることを意識しながらこの曲に取り掛かり、すべてを書き終えたあとでマリカとの恋愛関係に終止符を打ったという。この“リロ”をリード・トラックとするジャパニーズ・ハウスのデビュー・アルバムは、2019年に〈ダーティ・ヒット〉からリリースされる予定。

  • 近年のラテン・ブームにあらためて標準を合わせたDJスネークは、メキシコ人を父にもつセレーナ・ゴメス、両親がカリブ系移民のカーディ・B、そしてプエルトリコ出身のオズナという、それぞれにラテンをルーツとするシンガー/ラッパーを招集し、このスペイン語と英語が混ざったレゲトン・ナンバーを発表。そして彼の狙い通り、“タキ・タキ”は2018年を代表するヒット曲となりそうだ。タイトルの「タキ・タキ」にこれといった意味はないらしいが、リリックの文意を汲むと相手にダンスを促す擬音で、特にセレーナの言い回しにはちょっとセクシーなニュアンスも含まれていそうだ。それよりも気にかかるのがオズナのヴァースで、彼はバイク・メーカーの「カワサキ」と韻を踏む流れで「長崎みたいにケツが爆発」とラップ。あきらかにグローバルなヒットを狙った楽曲でこういう表現がまかり通ってしまったことには、さすがに賛否の声が上がっても当然だろう。

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