先日マック・デマルコの初来日公演を見て、思っていた以上にファンキーな演奏とソウルフルなヴォーカルにハッとさせられた。去年の私のベスト1はそのデマルコの『サラダ・デイズ』。彼とも交流のあるトップス(2月に来日!)の『ピクチャー・ユー・スタリング』もよく聴いたが、サウンド・プロダクションで確信犯的に“アンチ・ウェルメイド”姿勢を掲げるそれら新たなカナディアン・ネットワークのアーティストたちは、実際はかなりブラック・ミュージック指向が強い。スフィアン・スティーヴンス、ラッパーのセレンゲティらと組んだシシファスのアルバムもそうだが、作りはヨレヨレでロウ・ファイでも好みはブラック・ミュージック……そんな落差のある作品の醍醐味に去年は多く心を動かされた。
例えば国内に目を落としても、黒人音楽としてのカジュアルなシティ・ポップスを目指すスカートやayU tokiOなんかはまさしくそういう側面を持っているし、また、ブルーズ・フォークのマナーに精通した三輪二郎も、ファンクやアフロを緩く取り入れた現役京大生たちによる本日休演もそう。ceroもバンド・サウンドを貫く中でR&Bへのアプローチを目指した成果がシングルにしっかりと落とされていた。そういう意味でも、シャムキャッツが『AFTER HOURS』でソウル・マナーを取り入れていた初期の英国ネオ・アコースティックの影響を公言し、スカートが『サイダーの庭』を吉祥寺のスタジオ〈GOK SOUND〉でアナログ録音したのは象徴的だったと思う。
あとやっぱりシンガー・ソングライター勢に日本だとなかなか脚光が集まらないジレンマは相変わらず続いていて。アコギ弾きの連中の多くがルーツ探求に向けて様々なアングルからどれほど挑戦しているか、みんなもっと聴いてほしいなあ! 選んだ作品は必ずしもそこに当てはまるものばかりではないですが、〈サインマグ〉の2014年ベストに入っていないアーティストのものからチョイスしました。
①「2014年ベスト・トラック5曲」(順不同)>>>
〈上の動画は、“蚊帳の外 街の中”収録作『ボーイミーツガール』のトレイラーです。〉
〈上の動画は、“蠅の王”収録作『ロットバルトバロンの氷河期』のトレイラーです。〉
〈上の動画は、“夜を照らせ”収録作『恋する団地』のトレイラーです。〉
②「年間ベスト・アルバムから外された、我が心のアルバム5枚」(順不同)>>>
「〈サインマグ〉のライター陣が選ぶ
①『2014年ベスト・トラック5曲』+
②『年間ベスト・アルバムから外された
我が心のアルバム5枚』by 青山晃大」
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