SIGN OF THE DAY

約40年ぶりの傑作ソロ・アルバム誕生!
2016年の今こそどうしても聴いておきたい
イギー・ポップ全人類必携の7枚:後編
by JUNNOSUKE AMAI March 16, 2016
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約40年ぶりの傑作ソロ・アルバム誕生! <br />
2016年の今こそどうしても聴いておきたい<br />
イギー・ポップ全人類必携の7枚:後編<br />

約40年ぶりの傑作ソロ・アルバム誕生!
2016年の今こそどうしても聴いておきたい
イギー・ポップ全人類必携の7枚:前編



3) The Stooges / Fun House (1970)

約40年ぶりの傑作ソロ・アルバム誕生! <br />
2016年の今こそどうしても聴いておきたい<br />
イギー・ポップ全人類必携の7枚:後編<br />
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「Raw=生の」という言葉はこのストゥージズの2ndアルバムにこそふさわしい。大量のPAを持ち込み完全スタジオ・ライヴ形式(&コカイン漬け)でレコーディングされたぶ厚いサウンドは、「サイケデリック・ストゥージズ」と名のり聴衆もろともフリークアウトに興じた原初のバンドの姿を甦らせるよう。とくにB面の3曲に記録されたストゥージズは、後にも先にもまったくの別物、と言っていい。

プロデューサーのドン・ガルッチはキングスメン仕込みの勝手知ったる術でストゥージズをロックンロール/ガレージ・パンクの最適解へと導こうとするが、それも終盤には完全にコントロールを失っている。MC5のお株を奪うフリー・ジャズへの接近。インプロヴィゼーションにより抽象化された演奏の霊感に満ちたエネルギー。サックスを吹かしファンキーに上下する“ファン・ハウス”から、フィードバックとノイズに塗れてのた打ち回る“LAブルース”に至るピークでストゥージズは、さながらスライ&ザ・ファミリー・ストーンとスワンズの交配を試みるような曲芸を演じている。

The Stooges / Fun House

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The Stooges / Freak (Later titled “LA Blues”)


ウッドストックの開催によって60年代のヒッピー・ムーヴメントが沸点を刻んだ前年、その祝祭の空気に冷笑を浴びせた処女作『ストゥージズ』に続いていわば「終わりの始まり」を禍々しく突きつけた、ロック・カルチャーのディストピア的作品。


2) Iggy Pop / Post Pop Depression (2016)

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ソロ名義の最新作であり、ラスト・アルバムとも本人がほのめかす通算20ウン作目。その出発点としてイギーとプロデューサーのジョシュ・ホーミーが意識したというのが、かつてボウイと制作された『イディオット』と『ラスト・フォー・ライフ』の2枚のアルバム。つまり本作は、あのもっともロックで、ポップで、メロウで、そしてエクレクティックだったイギーの「40年後」を思い描いて制作されたアルバムであり、同時にそれは、必然的にイギーの「40年間」とも向き合った作品――という言い方も出来るのかもしれない。

イギーがこの間、(ある種ミュージック・ビジネスを生き抜くための術として、少なからず)求められるがまま演じてきた中で多分にデフォルメされた自身のアーティスト・イメージ。クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジやアークティック・モンキーズのメンバーを従えた演奏は、そうして厚重ねをし、角化した皮を削り取るように屈強で鋭く、しかし、引き締まったリズムがヘヴィで無骨なサウンドをスウィングさせてエネルギッシュな抑揚をもたらしている。“サンデイ”と“ガーデニア”はその骨頂。

Iggy Pop / Sunday

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Iggy Pop Debuts / Gardenia (live on The Late Show 2016)

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かたや、枯れることなく朗々と聴かせるバリトン・ヴォイスの深い艶は、80年代以降、アコースティックな弾き語りやフレンチのカヴァーにも取り組みながら自身のシンガー像を探求してきた自負を窺わせる。

まさに、40年後のイギーだからこそ、40年間を経た現在のイギーだからこそ作りえたアルバム。そして、いわばイギー・ポップという「記号」を引き剥がして、その芯にある本質を新たに深彫りしてみせた作品。10年以上前にストゥージズを再結成した際、ソロとしての音楽性の壁に直面していたことを打ち明けたイギーだったが――そう、「イギーが足りない」と感じていたのは、誰よりもイギー自身だったのではないだろうか。


1) Iggy Pop / Lust For Life (1977)

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一言ずばり、イギー・ポップの「ロック・レコード」。そのもっとも力強くてナチュラルで、美しい一枚。前作『イディオット』に続いてボウイのプロデュースを受けながらもその色は後退し、代わりにイギーの素材感が腹の底から湧き上がるようにその存在を頑と主張している。

リズム・コンシャスな演奏を引き継ぎつつ、豪快なシンバルやドカドカと踏むドラムが活気とテンションを注ぎ込むバンド・サウンド。映画『トレインスポッティング』(1996年)でお馴染み表題曲の“ラスト・フォー・ライフ”は言うに及ばず、バックビートで揺れる“サム・ウィアード・シン”や“パッセンジャー”の問答無用のかっこよさ。

Iggy Pop / Lust For Life

Iggy Pop / Some Weird Sin


相まってイギーのヴォーカルには生気に満ちたハリがあり、まるでシナトラとジム・モリソンを喉に飼うように恰幅のある低音を聴かせたかと思いきや、一変して“シックスティーン”のダーティでロウな叫びはストゥージズの記憶も思い起こさせて毒々しい。

Iggy Pop / Sixteen


過去への内省やデカダンスの名残はまだところどころに影を落としているが、かつての自家中毒に堕ちた破滅型の天才の姿はここにはない。「成功がやって来たんだ/どん底の果てに……」(“サクセス”)。文字通り、死線を超えて「生への欲望」を再び手にした本作からは、この先、自立したソロ・ミュージシャン/シンガーとして迎えていく充実期の到来を確かに見通すことが出来るようだ。


約40年ぶりの傑作ソロ・アルバム誕生!
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黒い巨星、デヴィッド・ボウイ亡き今、
圧倒的に「イギーが足りない!」2016年の
ポップ・シーンについて考えてみました





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