「これはもう過去のもの」と線を引くように、音楽も映画も、明確に”変わり目”を感じる1年でした。それと同時に「時間の流れとは人間の錯覚でしかなく、実際は過去も現在も未来も同時に同じ空間に存在している」というスポットライト理論をみんながナチュラルに理解し採用し始めたような”全部がここにある”感じもあり、それが豊かさなのかヒートデスなのかは悩む部分も。
さて、このランキングについて解説すると、音楽についてはミーム化を最優先する”YouTuber化”的な現象にはキツさを感じつつ、”ツイート感覚で新曲をリリース”していると捉えればむしろ理想的じゃんと思う部分もありながら、やっぱりマスターピースを望む葛藤が表れていると思います。映画/TVシリーズはどれも過去と未来と理想郷の話。『天気の子』の何が良かったかというと、拳銃があることです。
最後に、2019年最も感銘を受けたのは「世界基準のポップミュージックは、どんな意匠を纏っていても根本的にはブルースかカントリーに分類される(意訳)」という音楽プロデューサー玉井健二氏の指摘でした。これは人間の普遍性を示しているようでありながら、実は約100年前に生まれたルールがこの世界を支配しているということでもあります。なんか気分が軽くなりませんか?
〈サインマグ〉のライター陣が選ぶ、
2018年のベスト・アルバム、ソング
&映画/ドラマ5選 by 宇野維正
「〈サイン・マガジン〉のライター陣が選ぶ、
2019年の年間ベスト・アルバム、
ソング、ムーヴィ/TVシリーズ5選」
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「2019年 年間ベスト・アルバム 50」
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