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  • Your Power Billie Eilish by YUYA WATANABE May 11, 2021 1
  • Serotonin girl in red by YUYA WATANABE May 11, 2021 2
  • Introvert Little Simz by YUYA WATANABE May 11, 2021 3
  • The Melting of the Sun St. Vincent by YUYA WATANABE May 11, 2021 4
  • Kiss Me More ft. SZA Doja Cat by YUYA WATANABE May 11, 2021 5
  • 権力の乱用を主題とするアコースティック・バラッド“ユア・パワー”は、ラッパーのセヴン・アンプことブラントン・アダムスとビリーの破綻した恋愛関係も示唆している。交際していた当時のビリーは16歳で、アダムは22歳。当初は対等な関係に思えていたはずが、やがて男は尊大な態度を取るようになり、年下の女を心身共に追い詰めていく。そんな彼が口にしていた「知らなかった」という言葉は、未成年の相手に同意なく関係を求めた男性がよくする言い訳で、ビリーはそんな男の姑息さを曲中ではっきりと非難している。つまり、ここで問題とされているのは男女の年齢差から起こるパワー・ハラスメント。アナコンダがビリーの身体をじわじわと締め付けていくMVは、若い女性アーティストを食い物にする音楽業界のメタファーとしても受け取れる。

  • 国連の幸福度調査で常に上位を占める一方、近年は自殺問題が深刻化している北欧諸国。この問題に対して現地メディアは慎重な姿勢をとっており、「国境なき記者団」の2020年報道自由度ランキングで1位に選ばれたノルウェーでも、自殺に関する報道は極力控えられているという。ノルウェー出身で現在22歳のマリー・ウルヴェン=ガール・イン・レッドがいま熱烈な支持と共感を集めているのは、こうした社会的背景とも恐らく無関係ではない。シンセ・ベースの重低音が蠢くビート上でロックとラップを往来しながら、マリーは脳内物質セロトニンの不足が引き起こす発作的な衝動と、その処方について述べていく。メンタル・ヘルスの多くには科学的な要因があることを暗に伝えながら、彼女はその疾患と向き合い、自死への誘惑に争い続けているのだ。同曲の共同プロデューサーは、ビリー・アイリッシュの兄フィニアス。

  • 勇壮なマーチング・ドラムとファンファーレで始まる“イントロヴァート”は、収録時間6分を超える大作。ザ・ウィークエンドの制作でも知られるサロモン・リグセルム監督が撮影したMVも、映画さながらの壮大なスケール感を放っている。ロンドン自然史博物館のホールで数名のダンサーたちに囲まれながら、この世界を蝕む差別と政治的腐敗についてラップするリトル・シムズ。そんな彼女のパフォーマンスとも呼応しながら、MVでは黒人男性を追いかける警察や公民権運動の様子が映し出されていく。そしてシムズはこう述べる。「私は政治に興味ないけど、暗い時代だってことはわかる/世界の一部ではまだアパルトヘイトが行われてる」。コーラスを歌っているのはクレオ・ソル。そしてアウトロでは、人気ドラマ『ザ・クラウン』の主演俳優エマ・コリンが朗読を披露している。様々な社会問題を取り上げながら、女性たちに連帯を呼びかけた“イントロヴァート”。最後のヴァースをシムズはこう締めくくっている。「私たちが団結している限り、私たちはすでに勝利している」。

  • セイント・ヴィンセントの新作『ダディーズ・ホーム』は、70年代の北米カルチャーをテーマに掲げているようだ。その先行トラックとなる同曲では、サウンドとリリックの両面でピンク・フロイド『狂気』が大々的に引用。MVで使用されている画面比率4:3のアニメーションは、ソニー社が家庭用ビデオテープ1号として1975年に発売したベータマックス・テープから復元されたものだという。そんな映像ともシンクロした歌詞で、セイント・ヴィンセントことアニー・クラークは様々なポップ・アイコンたちについて言及している。34歳という若さで悲劇に見舞われた俳優ジェーン・マンスフィールド。マスコミに私生活を晒されながらブルースを歌ったジョニ・ミッチェル。薬物の過剰摂取で命を落としたマリリン・モンロー。レイプされた経験を曲中で明かしたトーリ・エイモス。そして、公民権運動に多大な影響を与えたニーナ・シモン。〈ローリング・ストーン〉誌のインタヴューで、アニーはこの曲を「強くて素晴らしい女性アーティストへのラヴレター」と説明している。

  • ドージャ・キャットを一躍スターダムに伸し上げたヒット曲“セイ・ソー”とも似た、ソフト・ディスコ調のサウンドもさることながら、どことなく聴き覚えのあるコーラス・パートのメロディは、オリビア・ニュートン=ジョン“フィジカル”からそのまま引用したもの。実際に“キス・ミー・モア”のクレジットには“フィジカル”作曲者のスティーブ・キプナーとテリー・シャディックが連名で記載されている。また、MVはSF仕立てとなっており、パステル調の惑星ハーに不時着した宇宙飛行士が、ドージャとシザ扮するエイリアンたちと遭遇。二人に誘惑された飛行士は、いつの間にかガラス管の中へ閉じ込められてしまう。その後のオチも含め、このMVではドージャのきたるべきニュー・アルバム『プラネット・ハー』の甘美な世界観が、明確に提示されている。

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