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  • アラブのクエスチョン 本日休演 by SHINO OKAMURA July 22, 2015 1
  • 雨はひとひら 渚のベートーベンズ by SHINO OKAMURA July 22, 2015 2
  • coney Island yoji&his ghost band by SHINO OKAMURA July 22, 2015 3
  • No No No Beirut by SHINO OKAMURA July 22, 2015 4
  • Show Me Flo Morrissey by SHINO OKAMURA July 22, 2015 5
  • もしジョン・ケイルのいた時代のヴェルヴェット・アンダーグラウンドがモロッコのグナワをやったら? 現在の京都シーンの最重要バンド、本日休演が10月にはリリースする2ndアルバムにも収録される予定のこの曲は、そんなイマジネイティヴで創造性溢れる曲だ。それはまるで宗教儀式。そもそもグナワとはモロッコへと奴隷として連行されてきた西アフリカの精霊信仰がイスラム教文化と結びついた結果生まれた儀礼の音楽。こうした歴史認識を理解した上で、「喜びはどこにある/遥か彼方手の平に/悲しみはどこにある/忍び寄る月の影の中」という歌詞を編み出したのだとしたら……恐ろしく洞察力の深い曲ということになる。

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    本日休演の岩出拓十郎もアルバムにはギターとコーラスで参加している、やはり京都で活動する4人組。メンバー全員が曲を書くことをコンセプトに結成されたというだけあり、1stアルバム『フルーツパーラーミュージック』には全15曲中に一つとして同じタイプの曲がない。かつてのCSN&Yやはっぴいえんどのように、それぞれのソングライターの個性を楽しめる。この曲を書いたドラマー西村中毒は一聴すると素直なメロディを前面に出した、だがコード展開やハーモニーはかなり練り込まれた曲を得意とする。多重コーラスや12弦ギターが初期バーズを思わせるシンプルなフォーク・ロック・スタイルのこの曲は、聴きやすい旋律とは裏腹に、雨粒を「ひとひら」と喩え、心と体から何かが失われていく空虚さを瑞々しくも気怠く表現した言葉がいつまでも心に引っ掻き傷を残す。

  • こちらも京都を拠点に活動してきた大所帯バンドの新曲。鉄琴などの打楽器、サンプラー、管楽器を自在に取り入れた楽曲は楽団と呼ぶ方が似合う愛らしさを感じさせる。少しばかり不安定な音程が危うげな色気を醸し出す寺田耀児の歌も、どこか頼りなさげな風情を持つ彼らの魅力に繋がっている。寺田のニューヨーク滞在時の体験を元にして作ったこの曲は、ルー・リードも描いたかつてのリゾート避暑地、コニー・アイランドをモチーフにしたもの。デモに近い簡素な録音、音質やアレンジはいまだ未完成。だが、カントリーっぽさを残しつつ、ラフに一気に聴かせる辺りは、もはや室内楽的な作りにのみ力点を置いているわけではないことが窺える。ここから新章が始まるかも、と予感させる内容。

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    学校をドロップした後に東ヨーロッパ~バルカン半島周辺を放浪し、現地の様々なフォークロア音楽の洗練を受け、それをポップ・ミュージックの枠組みの中で現代的に昇華させてきたベイルート、久々の新曲。前作『ザ・リップ・タイド』時のツアーによる疲労もあったのか、体調不良で入院。その後、様々な別れと出会いを経て完成させた新作『ノー・ノー・ノー』からの先行曲は、とりわけ終盤に大きな展開を見せるジプシー・ブラス的管楽器アンサンブルと、ルーマニアのホラのような舞曲、レゲエとクレツマーをミックスさせてダウン・テンポにさせたような気怠いビートとが淡々と絡み合う。新たなフィールドへと踏み込もうとするザックの静かな気概が感じられる。

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    アントニー・ヘガティ、ボン・イヴェール、マーヴィン・ゲイ、レナード・コーエン、いくつものカヴァーをサウンドクラウドで発表、以前のソロ・ユニット9maryではフランス語によるシャンソン・カヴァー集も発表してきたロンドン出身の20歳の女性シンガー・ソングライター、初の個人名義のアルバム『トゥモロー・ウィル・ビー・ビューティフル』から。彼女が15歳の時に書いたこの“ショウ・ミー”は、シンプルなアコギとピアノをバックにストイックで優美な歌声が、音の気配の中に溶け込んではゆるやかに解放されていく幻想的な展開が聴きもの。清潔なアコースティック・ギターの響きとあどけなさを残した歌声はどこか寂寞感と終末感を孕ませていて、そのオカルト的な不気味な迫力は、ブロンテ姉妹の小説の世界を歌で表出させたかのよう。かつてのレジェンダリーな歌姫たち――ジョアンナ・ニューサムやココ・ロージー、アン・ブリッグス、カレン・ダルトン、ヴァシュティ・バニヤン――をも凌駕する恐るべき才能。

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