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  • River Leon Bridges by MASAAKI KOBAYASHI February 03, 2016 1
  • (OO) Rone by MASAAKI KOBAYASHI February 03, 2016 2
  • Lift Me Up Vince Staples by MASAAKI KOBAYASHI February 03, 2016 3
  • Comix feat. La Mala Rodr guez El Guincho by MASAAKI KOBAYASHI February 03, 2016 4
  • As You Want Aristophanes by MASAAKI KOBAYASHI February 03, 2016 5
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    遠雷を追いかけるように聴こえてくる雨音に、モーテルの一室でギターを爪弾いていたリオン・ブリッジスだけでなく、他の人たちまで思わず耳を傾けてしまう瞬間がなんとも美しい。そして雨音に聞き耳を立てたまま、ギターのボディを叩きつつ、リオンたちが曲を再開したおかげで、もたらされたかのような変革もまた美しい。ゴスペル等で歌われているように、この曲のタイトル“リヴァー”は、変革や贖罪の象徴だ。この曲と共に、変革が、流れゆく河から直接にではなく、あらためて、天からの恵みとして人々のもとに振り注がれてくるのを見ているだけで、心が洗われるようだ。

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    昨年の5月に、この枠で取り上げたローンの新作MVは、映画『Ex Machina』(結局、一時決まったと言われた日本での劇場公開はどうなったのだろう?)が話題となった2015年の翌年に出てきた作品らしい、とも言えなくはない。が、クラッシュ・テスト・ダミーを主人公に設定し、それを一瞬たりともチープに見せず、ここまでハードボイルドに徹しているのは驚きだ。おまけに、ストーリーそのものは単純ではあるものの、復讐の相手を、フェリス・ボイルと名付け、バットマン・シリーズのファンに大いに目配せし、その名に気づいた人には、物語のオチを一足早く理解させるような、よくわからない配慮がなされていたり、凝り方もヘンだ。

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    ケンドリック、というよりは、むしろ、バタフライ(蝶)に羽化したどこかの誰かが、警官に威嚇され、地上めがけて落下、着地して終わる“オールライト”のMVを引き継ぐかのように、ここでのヴィンス・ステイプルズは、まず地上に横たわっている。ただし、曲を聴き、このMVの冒頭で大きな銃声を聞き取ることが出来る限り、これはヴィンス自身というよりは、この曲を収めたアルバム・タイトルとなった2006年の夏に、逝ってしまったギャングの仲間たちの動かなくなった姿と受け取るべきなのかもしれない。運が悪ければ、ヴィンスも、その一人になっていたかもしれないが、生き残った彼は、自らを奮い立たせ(“Lift Me Up”)、大いに楽しんで生きること(“Live It Up”)を決意したからこそ、曲が展開していくにつれ、彼は地面に横たわること、地上に近づくことを頑なに拒否し、上体を反り上げようとするような体勢(“Lift Me Up”)をとってしまうのだろう。ケンドリックが、“オールライト”のMVの前後に例のポエムの断片を組み込むことで、夢想として解釈可能な設定にしておきながら、パトカーや警官を登場させ、現実と接続させようとしたのに対し、このMVでは、ヴィンスが、いかにもシュールリアルなポーズをとることで、逆に、回避出来ない現実の耐えられない重みがずっしりと伝わってくる。

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    テーム・インパラの“ザ・レス・アイ・ノウ・ザ・ベター”のMVを手がけたことでさらなる注目を集めた、スペインの、カナダ(という名の映像作家)による新作は、以前から組んでいるスペインのアーティスト、エル・ギンチョの新曲。独自に考えだしたと思しき集団遊戯(ゲーム)が二つ盛り込まれているように見えるが、なぜか暗い感じのズラ当てゲームよりも、仕上がった映像/編集の見た目の面白さから逆算して導き出したような最初のゲームのほうが面白そう。映像にもしっかりとフィーチャーされている、スペインの女性ヒップホップ・アーティスト、ラ・マラ・ロドリゲスと、エル・ギンチョとの関係は、テーム・インパラのMVの設定と同じ? それにしても、ラストの増殖するゆで卵のイメージは謎だ(が、このカナダらしい表現ではある)。

  • 最後も女性ラッパーつながり。皮肉をギスギスした言葉ではなく、優美に表現したい、という思いから、夢で見たギリシアの、あのアリスファネスから、そのままMCネームをいただいたという、この台湾の25歳のラッパーは、昼は子どもたちの英語の先生。彼女を昨年の早い段階でフィーチャーした、日本の音楽家、食品まつり、によれば、彼女を偶然、サウンドクラウドで発見し、オファーしたそうで、日本のラッパー、志人の(スタイル)の大ファンなのだという。後にグライムスもこれと全く同じ出会い方をするわけだが、このMVでも、彼女は、とりあえず、台湾の歴史を背負ったかのような、お疲れ男には、直接手の届かない場所にいる設定だ。このMVと映画『ヴィデオドローム』との関係ははっきりしないが、(凝ったリリックを書いているのに)自分のラップがサウンドとして評価されていることを理解しているというから、MVのように聴く者を虜にしてしまう、自分(自身)の魅力についてもよくわかっているのだろう。

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