「ポップ・ミュージック誕生以来のひとつの大きな流れが終わり、これまで見たことのない時代が始まるのだ」。
これは、昨年この〈ザ・サイン・マガジン〉に寄せた私的ベストにおける結びの一文だ。概ね正解だったと言えるのではないかと思うが〈サマーソニック2017〉におけるカルヴィン・ハリスのEDMセットに象徴されるように、正直なところ「こんなものか」という程度に収まってしまったという印象がある。
ポップ・ミュージックの基本フォーマットがロックからヒップホップ/R&Bに移行した? この変化の萌芽を、そんな数字をベースとした単なる「覇権交代」の話に終始させていいはずがない。それはもちろん「分業制によるソングライティングの勝利」なんてことでもない。
これは過程なのか、それとも本当にこの程度なのか? ここに紹介する5枚のベスト・アルバムと5曲のベスト・ソングは、ポップ・ミュージック変化の時代における、作家と受け手とメディアとのストラグルを感じさせる作品たちだ。きっと、インディーもロックも死んでなどいない。溶け始めているのだ。
〈サインマグ〉のライター陣が選ぶ、
2017年のベスト・アルバム、ソング
&映画/ドラマ5選 by 木津毅
「サイン・マガジンのライター陣が選ぶ
2017年の年間ベスト・アルバム/
ソング/ムービー/TVドラマ5選」
扉ページ
「2017年 年間ベスト・アルバム 50」
扉ページ