SIGN OF THE DAY

コーネリアス・プロデュースのキンクス?
スプーン最新作の「凄い音」をハイレゾで
体験してみてはいかが? というお奨めです
by YOSHIHARU KOBAYASHI August 17, 2014
コーネリアス・プロデュースのキンクス?<br />
スプーン最新作の「凄い音」をハイレゾで<br />
体験してみてはいかが? というお奨めです

「今、スプーンの新譜買わないで、他に何買うの?」と田中宗一郎がツイートしていましたが、なるほど、それには完全に同意。でも、あえてひとつだけ付け加えさせてもらいます。「今、スプーンの新譜をハイレゾで聴かないで、どうするの?」と。

近年のスプーンを特徴づけているのは、間違いなく音色やプロダクションへの徹底的なこだわり。その頂点は、音の配置、バランス、テクスチャーの実験を突き詰めた前作『トランスファレンス』でしたが、共同プロデューサーの一人であるデイヴ・フリッドマンの個性が色濃く出た最新作『ゼイ・ウォント・マイ・ソウル』でも、当然ながらプロダクションへの意識の高さは光っています。で、そんなスプーンが追求するモダン・ロックンロールの最新形をしっかりと味わいたいなら、できるだけ良い環境で聴くのが好ましい。じゃあ、買うべきはCD? ヴァイナル? それもありですが、ハイレゾがベストじゃないの? と我々は思っているわけです。

最近俄かに注目を集めているハイレゾ(「ハイ・レゾリューション=高解像度」の略)とは、音の情報量がCDの3~6倍もある高音質の音源データのこと。スタジオで録音したものをCDに落とし込む際にカットされてしまう周波数も収められているので、スタジオでの「原音」に限りなく近いサウンドが再現できる、と言われています。

つまり、アーティストが制作時に聴いているのとほぼ同じ音が、リスナーも耳にできるということ。実はCDでは失われていた音の奥行きや臨場感が、細部に渡って表現されている。そんなハイレゾで聴くべきは、やはり音作りにちゃんとこだわっている作品。だからこそ『ゼイ・ウォント・マイ・ソウル』は、ハイレゾに打ってつけだと思うんです。

勿論、ハイレゾはiTunesで再生できます。ただ、そのポテンシャルをフルに発揮するにはハイレゾ対応のUSB-DACなどを通す必要あり。ポータブル・デバイスであれば、ソニーのウォークマンや一部のスマホにもハイレゾ再生に対応しているものがあります。高級な機器がある一方、2~3万円程度の初期投資でもスタジオの「原音」に限りなく近いサウンドが体験できるのは魅力的でしょう。

実際、これからは、1)フリーの圧縮音源、2)ヴァイナル、と並んで、3)ハイレゾ、で聴くことが主要な選択肢の一つに入ってくるのは理にかなっていると思います。ぶっちゃけCDで聴くよりも。

そんなわけで、『ゼイ・ウォント・マイ・ソウル』のハイレゾ音源は、音楽配信サイトの『OTOTOY』で独占配信中。リンクから飛んでいけば、すぐに買えます。しかも、このハイレゾ音源には、『サイン・マガジン』特製の「THE SIGN BOOK VOL.1」付きなんです。

その中身はというと、田中宗一郎によるブリット・ダニエルとジム・イーノのロング・インタヴューです。しかも、ブリットの新作インタヴューが日本語で読めるのは、この「THE SIGN BOOK VOL.1」だけ。かなり貴重な代物です。

インタヴューは12000文字とヴォリュームもたっぷり! リード文も超濃密な7000文字で、ライナー要らず。これで108円(バラ売りだと216円)は本当に安い! と白々しく宣伝。でも本当に、中身のない600、700円の雑誌買うより断然価値があると思いますよ。ちなみに「THE SIGN BOOK VOL.1」は、スマホでの表示に最適化されたPDFと、PCでの表示に最適化されたPDFの2つがバンドルされた形での配信となります。

最後に、ハイレゾ音源と「THE SIGN BOOK VOL.1」のセット、そして「THE SIGN BOOK VOL.1」単体の購入リンクと一緒に、インタヴューで田中がブリットとジムに訊いている「質問だけ」を下に貼っておきますね。いじわるですね。購入のご参考にどうぞ!



『ゼイ・ウォント・マイ・ソウル』ハイレゾ音源と
「THE SIGN BOOK VOL.1」のセット購入はこちら。


「THE SIGN BOOK VOL.1」単体の購入はこちら。



●本作に収録されたアン=マーグレットの1961年のヒット――“アイ・ジャスト・ドント・アンダースタンド”のカヴァーの仕上がりが端的に示す通り、スプーンというバンドは、どんな時も伝統に繋がりながら、同時にモダンでコンテンポラリーなサウンドを追求してきました。あなたたちの音楽的アティチュードにおいて、そうしたポイントは重要ですか?

●もしあなたたち同様のアティチュードを持ったアクトがいるとするなら、あなたなら、誰の名前を挙げますか?

●アルバム冒頭の“レント・アイ・ペイ”は、3拍目のスネアから始まります、1拍目のハイハットからではなく。こうした、決して奇をてらったわけでもないにもかかわらず、聴き手をはっとさせる、とても効果的なアイデアは、ディテールと細かいニュアンスに対するこだわりという、あなたたちの音楽的アティチュードを端的に表すものでもあります。ただ実際のところ、あなたの中には、曲やアルバム全体が表象する内容やメッセージよりも、語り口そのもの、あるいは、ディテールやニュアンスの方が重要なのだ、という価値観はありますか?

●あなたたちの基本的な音楽的アティチュードにおいて、上記以外にもっと大切な、付け加えてもらうべきことがあれば、教えて下さい。

●あなたがアルバムを作る際、いつも念頭に置いているのは、10なりのトラックそれぞれが独立した偉大な曲として成り立っていること、というとてもシンプルなアイデアだと認識しています。ただ本作において、それ以外に何か固有のアイデアがあったとすれば、それについて教えて下さい。

●今回、デイヴ・フリッドマン、あるいは、ジョー・チッカレリという外部プロデューサーの起用は、あなたたち固有のアイデアに何を付け加えたいという意図だったんでしょう? 特にそれが成功したトラックの、プロダクション的なアイデアについて指摘して下さい。

●本作の10曲38分というコンパクトな構成は、60年代の偉大なアナログ・レコードの伝統に連なるものでもあります。あなたにとって、アルバムの短さというのは、重要ですか?

●前々作『ガ・ガ・ガ・ガ・ガ』はどこかシュープリームスやマーヴェリッツといった60年代のソウル/R&Bからの反響を感じさせるアルバムでした。前作『トランスファレンス』はレゲエ/ダブなどヒプノティックな反復音楽を現代的なロックンロールとして再定義しようという試みでもあったように思います。だとすれば、本作の音楽的方向性において、あなたたちが何かしら前進させようとしたこと、あなたが意識したポイントがあれば、教えて下さい。

●あなたはこれまでも、例えば、全盛期のプリンスのようなプロダクションとソングライティングに明確な区別のないアーティスト、あるいは、歌と歌のレコーディング・プロセスを区別して考えないタイプのアーティストと同じく、ソングライティングとサウンド・メイキングを同等に扱ってきました。特に、反復の中にリズムの変化、あるいは、ギターや上物のサウンドで変化をつかせて、最後まで飽きずに聴かせるというスタイルが、ここに来て、遂に完成したという印象を持ちました。そうした意見について、所感を教えて下さい。

●“レイニー・タクシー”のメイン・リフに、スペンサー・ディヴィス・グループの“ギム・サム・ラヴィン”のベースラインを引用したアイデアの理由について教えて下さい。

●今作について私が用意したのは、ビートルズの『ラヴァー・ソウル』とフレーミング・リップスの『ザ・テラー』の出会い、あるいは、スモール・フェイセスの『オグデンズ・ノット・ゴーン・フレーク』とLCDサウンドシステムの『ディス・イズ・ハプニング』の出会い、という言葉です。それぞれについて、あなたの所感を聞かせて下さい。

●もしあなたなら、今回のアルバムの両側に並べるとすれば、どんなレコードを二枚選びますか?

●あなたの書く歌詞の全般的な特徴というのは、あからさまではなく詩的であり、長く聴き続けてると、少しずつレイヤーが剥がれてきて、少しずつ意味がわかってくるような歌詞と言えます。ただ、本作の場合、『ゼイ・ウォント・マイ・ソウル』というタイトルを筆頭に、基本的には詩的にはぐらかしてはいるものの、あなたにしてはいつになく直接的なリリックが多いと感じます。アルバムのリリックが全体的にそうした傾向を持った理由を、あなたなりに分析して下さい。

●ただ本作の大半のトラックには、失望と怒りがあります。あるいは、いろんなものが奪われつつある、裏切られようとしているという感覚が共通しているように思います。

●前作リリース時に、あなたの弟が保守系ラジオの著名コメンテーター、グレン・ベックの信奉者になってしまって、すっかり参ってしまったと話してくれました。そうした事実は、歌詞の一部に曲のナレーターとその弟とのダイアローグを含む“レント・アイ・ペイ”を書く上で何か影響を与えましたか?

●アルバムのタイトル・トラック“ゼイ・ウォント・マイ・ソウル”は、明らかにあなた自身とは考えの異なる、うんざりするような連中が何かを進めようとしていることに対しての拒絶が歌われています。ただ、これを何かしら政治的なコメンタリーだと捉えられることは、あなたとしては望まないことでもありますか?

●“インサイド・アウト”における「THOUGH THEY MAY WASH MY FEET AND I WON'T BE THEIR SOLDIER」というラインはどこか聖書を意識したようにも思えます。この曲を書くに際し、どこかで宗教と政治のかかわりがあなたの頭の中でよぎった部分はあったと思うか?

●“ノック・ノック・ノック”の歌詞における映画というメタファーは、有権者たちが自らの個人的な利益のために次々に為政者の首を据え変えていくことについてのアナロジーに基づいたものなのでしょうか? それとも、為政者たちが手を変え品を変え、有権者たちを騙し続けることについてのアナロジーなのでしょうか? 何故ここで映画というメタファーを使ったかについても教えて下さい。

●では、“ノック・ノック・ノック”の歌詞に出てくる「1892年」という単語は、韻を踏む以外の目的はありましたか? 何か具体的な事象を指すために使われているのでしょうか? グロバー・クリーブランド大統領の再選? それとも、GE社の設立?

●では、“アウトライヤー”における失望のフィーリングが向けられている具体的な矛先について教えて下さい。

●もし仮に“ニューヨーク・キス”という曲が何かしら失われてしまったものに対するレクイエムだとしたら、それは何に向けられたレクイエムなのか、教えて下さい。

●4年前にあなたと話した時は、いろんな懸念がありながらも、やはりオバマは応援したいと語ってくれました。現在、そうした意識はどんな風に変化したか、教えて下さい。また、ここ数年のオバマ政権の行ってきたことで、あなたがもっとも評価していること、憤りを感じることについて教えて下さい。

●現在、我々日本人の多くは、自分達が選んだ政権が行ったフクシマに関する諸々の虚偽の発表、あるいは、憲法9条を無視した集団自衛権を成立させたことなどのせいで、正直、あなたたち国外の人々と会話をすることさえ、どこか躊躇われるほどの羞恥心と無力感、後悔でまみれています。ただ実際のところ、あなたから見て、日本の状況はどんな風に映っていますか?

●ところで、アン=マーグレットの“アイ・ジャスト・ドント・アンダースタンド”は、初期ビートルズにおけるレノンが歌ったレパートリーのひとつとしても知られています。この曲をカヴァーすることになって理由について教えて下さい。

●あなたのハスキーで魅力的な声は、あなたが我々の世代のジョン・レノンでもあることを示すひとつの理由でもあります。ただ、レノンには世界最高のロックンロール・シンガー、史上最高のソングライターのひとり、希有な社会活動家、ひとりのハウス・ハズバンドといった、さまざまな顔がありました。そうした彼の多面性を前提にして、あなたのフェイバリット・レノン・トラックと、フェイバリット・レノン・アルバムを上げて、その理由を教えて下さい。

●これは私の暴論です。至極乱暴に言うなら、理想的なロックンロール・ソングの歌詞の方向性というのは、リトル・リチャードの“トゥルッティ・フルッティ”と“ルシール”の二つに集約されるのではないか。この暴論に倣うなら、あなたが理想と感じるロックンロール・ソングの歌詞を挙げて下さい。

●あなた自身はこれまでもずっとインディという言葉に対する違和感を感じ、自らの音楽をロックンロールとして位置付けてきました。優れたロックンロール・ソングというのは、「今この瞬間を生きること」をオファーするものでもあります。そして、聴き手の沈んだ気持ちを少しだけアップリフトさせてくれる以上のものでも以下のものでもないとも言えます。もしあなたがこのアルバムを聴いた人達に何かしら望むことがあるなら、それについて教えて下さい。

SPOON、4年ぶり新作のハイレゾ音源を独占配信!!

前々作の『GA GA GA GA GA』が全米初登場10位、前作『Transference』が初登場4位と作品を重ねる毎にその存在感を増しているSPOON。デビュー20周年、節目にもあたる記念すべき年に初の外部プロデューサーを迎えての新作『They Want My Soul』をリリース!! 迎えられた外部プロデューサーはフレーミング・リップスでお馴染みのデイヴ・フリッドマンと、マイ・モーニング・ジャケットなど多くのアーティストの作品を手がけるジョー・チッカレリ。OTOTOYではこのふたりが見事表した音の生々しさをより微細に伝える24bit/96kHzのハイレゾ音源で配信開始。『GA GA GA GA GA』以降の勢いに乗り、早くもピッチフォーク"ベスト・ミュージック"に選出された今作の豊潤さを語ってくれたレヴューとともにお楽しみください。...

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