「お前の父ちゃん、また炎上したんだって?」「お前の父ちゃん、また炎上したんだって?」。そんな往年のふかわりょうのネタのような心ない言葉を小学校で息子が同級生からかけられている(イジメられているわけではないのでご心配なく)ことを知って以来、2020年は「ノーバズ、ノー炎上」を目標にしてきて、それをなんとか完遂できたと思っていた矢先の2021年の年明け。父ちゃん、またやっちまったよ。
というのは冗談として(冗談ではないが)、「少なくとも家のスピーカーで聴く音楽じゃないですね」というのは、移動距離(自分の場合ほぼクルマだが)が激減した2020年の、というか2020年以降の、かなりクリティカルな問題なのではないか。だって、ずっと家にいたらRapCaviarとか流しっぱなしにしないっしょ、普通。いや、それでもティーンは流しっぱなしにしてるのか。でもさ、ロケや人集めの制限もキツくなってて、楽曲単位でリリースされるミュージック・ビデオも明らかにつまらなくなってない? まあ、なんだかアニメのミュージック・ビデオばかりになってきてる日本にはあまり関係のない話なのか。
というわけで、例年サイン・マガジンでは楽曲単位で年間パーソナル・ベストを選んできたが、2020年はアルバム(もしくはEP)単位で再生回数の多かった作品をオートマティックに選出。しかし、何が恐ろしいって、世界的にも2021年の秋くらいまではこれが続くであろうこと(政治家が無能すぎる日本はもっと遅いかもね)。ライブが万全な状態ではできないのはアーティストや事業者にとってはシリアスな問題ではあるけれど、それはあくまでも大きな地殻変動の一部に過ぎない。この「失われた(多分)2年間」でポップ・ミュージックそのものの定義が変わってしまうわけで、そこで自分の立ち位置をどこに見出すかは突きつけられている課題(他にも考えなくちゃいけないことがたくさんありすぎてまだ見つからない)として、基本的にそれはとてもエキサイティングなことだと思ってる。何故なら、自分はアーティストでも事業者でも消費者でもなく、もちろんそれらの代弁者でもなく、インディペンデントなクリティックだから。
〈サイン・マガジン〉のライター陣が選ぶ、
2020年のベスト・アルバム、ソング
&映画/ドラマ5選 by 辰巳JUNK
「〈サイン・マガジン〉のライター陣が選ぶ、
2020年の年間ベスト・アルバム、
ソング、ムーヴィ/TVシリーズ5選」
扉ページ
2020年
年間ベスト・アルバム 50