1位に選んだ“야유회(yayou hoi/ピクニック)”は、ヒョゴのオ・ヒョクとバーミング・タイガーにも所属するソグムのデュエット曲。両者の歌唱もさることながら、グローイングドッグのトラックが最高で、スムースなビート・チェンジがいちいちかっこよすぎる。“フォー・ユー”はロンドン在住のレイヴを知らない世代が当時に想いを馳せた、歓喜のフィルター・ハウス。遊びに行きてぇと思いながら毎晩これをヘッドフォンで聴いてました。“ブルー・ワールド”はディスクロージャーのガイ・ローレンスがプロデュースで参加。そしてディスクロージャー2018年のシングル“ウェア・エンジェルス・フィア・トゥ・トリード”と同じく、フォー・フレッシュメンの歌がサンプルされている。こうしたアプローチはディスクロージャーの新作に対して個人的に期待していたものでもあった。リヴはアール・スウェットシャツ“MTOMB”でもフィーチャーされていたシンガー/プロデューサー。ジャズの生演奏を半ば強引につなぎ合わせた構成とラフな音像は、実際にアールの近作とも共振しているし、彼女がそれを背景に歌う様は、まるでエリカ・バドゥのようだ。スター・フェミニン・バンドは西アフリカ、ベナン北部に住む10~17歳の女の子7人組。どうやら育成プロジェクトで結成されたバンドらしいが、何にせよ演奏が素晴らしすぎる。
年明けにようやく観終えた『ゲーム・オブ・スローンズ』が現実のアナロジーとしてあまりに辛辣だったせいか、しばらくはドラマを観る気が起きなかった。そんな時に家族の影響でなんとなく観たのが、“現代版織姫と彦星”こと『愛の不時着』。これがきっかけですっかり沼にハマり、結果こういう偏った並びに。どれも現代を舞台にしたドラマだけど、パンデミック以降の世界を生きる今となっては、もはやこれらの方が『ゲーム・オブ・スローンズ』よりもファンタジーに思えてしまう。なお、自分が選んだ2020年のベスト・アルバムについては『ミュージック・マガジン』1月号に寄稿したため、ここでは割愛させていただきました。
〈サイン・マガジン〉のライター陣が選ぶ、
2020年のベスト・アルバム、ソング
&映画/ドラマ5選 by 小林雅明
「〈サイン・マガジン〉のライター陣が選ぶ、
2020年の年間ベスト・アルバム、
ソング、ムーヴィ/TVシリーズ5選」
扉ページ
2020年
年間ベスト・アルバム 50